地震警報システム
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地震警報システム(じしんけいほう-) は、別称リアルタイム地震防災システムとも言い、「地震が起こった後、震源要素や地震動の分布を迅速に決めて、その情報をいろいろなユーザー(防災関係者、電気、ガス、水道、電話、交通、報道、個人)に伝えて防災に役立てること[1]」の事であり、地震の際に警報を発して被害を最小限に抑えるための安全管理システムである。
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[編集] 各種の地震警報システム
地震警報システムは以下の2種類があり、リストしたシステムが稼働している。
- 早期警戒システム(地震早期警報システム、即時情報):主要動到達前に警報を発し、未然に被害を抑える
- 揺れの後(地震後情報、直後情報):被害等の予測し、適切な防災活動を行えるようにする
- 現在は、ユレダスとそれを進化させた「コンパクトユレダス」が新幹線など鉄道関係に於いて実用化されている。
- 気象庁の「緊急地震速報」(当初は「ナウキャスト地震情報」の名称であった)を利用した早期地震警報システム。九州新幹線に利用されている。気象庁は2006年8月1日から、特定利用者向けに「緊急地震速報」の本格運用を開始した。詳しくは緊急地震速報を参照。
- ユレダスの開発担当者がおこした会社(SDR)が、新システム「フレックル」(FREQL、Fast Response Equipment against Quake Load)を開発中。ユレダスやコンパクトユレダスの機能を持ち、さらに早くP波検知後1秒以内に警報発信することができるシステムになると発表されている。
[編集] 仕組み
地震警報システムは、地震の初期微動を観測して、早い段階で対応をとることにより、被害を最小限に抑えようと開発されたシステムである。
地震が起こると、主に2つの地震波が周囲に広がることにより振動が発生する。地震波のうちS波は大きな揺れ(主要動)で被害を引き起こす地震波で、比較的ゆっくり伝わる波である。対するP波は小さな揺れ(初期微動)のため被害を起こす地震波ではないものの、S波の約2倍の速さで伝わるため、このP波を観測してすばやく情報を伝えることで、被害を未然に防ぐことができる。
しかしシステムの性質上、震源に近いところでは、大きな揺れが来る前に速報を流すことがほぼ不可能なため、直下型地震で効果が上がりにくいとされている。
[編集] 実用例
- 新潟県中越地震(2004年)の際の新幹線停止(上越新幹線脱線事故)。
- P波が検出された後、1秒で警報を出し、200km/hで進行中の新幹線に緊急ブレーキをかけた。結果的に脱線をしてしまったが、早期警報システムは計画通りに動いた。
- 仙台地域の小学校での避難訓練
- 発生がある程度切迫している宮城県沖地震について、緊急地震速報を利用して避難訓練を行っている。
[編集] 脚注
- ↑ 菊池正幸(2003)リアルタイム地震学、東京大学出版会、pp.2022
- ↑ 「緊急地震速報の本運用開始に係る検討会」中間報告(気象庁)
- ↑ 技術概要(共同開発者による紹介)、システムを利用した有料サービス(東京ガスの関連会社のサイト)
- ↑ 横浜市における地震システムについて(横浜市)
- ↑ 川崎市震災対策支援システムについて(川崎市)
- ↑ 地震防災情報システムの整備(内閣府)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 観測と地震予知:ユレダス(消防防災博物館)
- 緊急地震速報とは (明星電気)
- 緊急地震速報システム導入について (白山工業株式会社)
- SDR(ユレダスの製品情報)
- 月1250円の緊急地震速報サービス(株式会社ウェザーニューズ)
- 緊急地震速報提供サービス「なまずきん」