命令 (コンピュータ)
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コンピュータにおいて、命令とはCPUが処理する操作のこと。通常、命令操作部と複数のオペランドからなる。あるいは操作者がコンピュータに入力する簡易な書式による指示の総称として用いられることもある。
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[編集] 命令の種類
通常、加算・減算・乗算・除算の四則演算、ロード・ストア命令、条件分岐命令などからなる。シフト演算・論理演算なども含まれることが多い。CPUによっては、さらに複雑な命令も多数持っている(平方根の逆数を求める命令など)。また、一般に、NOPと呼ばれる「なにもしない」命令も含まれる。これは、VLIW方式を採用しているCPUでは必須の命令である。極めて特殊な例として、未定義の命令を実行したときと同じ効果が得られる命令が定義されているCPUがある。
分岐命令は、引数として少なくともターゲットアドレスを持つ。ターゲットアドレスとは、分岐命令が実行される時、プログラムカウンタに代入される値である。元来、分岐命令が実行された直後に実行される命令は、ターゲットアドレスに配置された命令であった。しかし、増え過ぎたパイプライン段数に伴って肥大化した分岐命令実行ペナルティを少しでも軽減するため、遅延分岐方式を採用したCPUもある(MIPS、PowerPC、SH、SPARCなど)。遅延分岐方式では、分岐命令が配置されたアドレスに後続するアドレスに配置された命令(ディレイスロットにある命令)を実行してから、ターゲットアドレスに配置された命令に制御を移す。RISCでは比較的採用例が多い遅延分岐方式は、1986年にNECから発表されたμPD77230、1988年にTIから発表されたTMS320C30、などに見られるように当初DSPによって採用されていた。ディレイスロット(にある命令)の数は、μPD77320の場合で 1 、TMS320C30の場合で 3 であった。大多数のRISCのディレイスロットは 1 である。
[編集] 命令の方式
命令の方式は、CPUの種類によって大きく異なる。例えば、固定長命令のものと可変長命令のものがある。また、命令セットの設計方針では、CISCとRISCがある。さらに、主記憶メモリのアドレス指定方式に関しても、様々である。
[編集] オペランドの個数による分類
- 0アドレス命令形式
- 処理対象のデータがスタックに格納されているコンピュータで使用される。例えば、加算や乗算などの演算は、スタックの上二つを取り出して演算結果をスタックにプッシュする。よって、命令語は、ADD, MULのように一語で表現できる。
- 1アドレス命令形式
- 加算や乗算の対象となる二つのデータのうち、少なくとも一方がレジスタ上に存在しなくてはならない命令形式。たとえば、「ADD レジスタA メモリX」(レジスタAの中身とメモリXの中身の和をレジスタAに保存せよ)という命令は書けても、「ADD メモリX メモリY」などとは書けない。演算対象にしたいデータは、一旦、レジスタにロードする必要がある。
- 2アドレス命令形式
- 演算対象の二つの数値が共にメモリに存在していても、演算できる方式。例えば、「ADD メモリX メモリY」(メモリXの中身とメモリYの中身の和をメモリXに保存せよ)という命令が使える。
- 3アドレス命令形式
- 2アドレス命令形式に対し、データの保存場所を指定できるようにしたもの。例えば、「ADD メモリX メモリY メモリZ」(メモリYの中身とメモリZの中身の和をメモリXに保存せよ)という命令が使える。
[編集] 命令の依存関係
近年のCPUは、パイプライン処理やアウト・オブ・オーダー実行を行うことが多い。こうしたCPUでは、先行命令より後続命令が先に処理を終える可能性があるので、命令の依存関係が問題になる。命令の依存関係は、以下のように分類できる。
- フロー依存
- 前の命令の結果を、後続の命令が使用する場合。
- 逆依存
- レジスタに関して、前の命令が読み出した後に、後続の命令が書き込まなくてはならない場合。これは、レジスタの個数が多ければ、後続の命令は別のレジスタに書き込めば問題ない(レジスタ・リネーミングという)。
- 出力依存
- レジスタに関して、前の命令と後続命令が結果を同じ場所に書き込む場合。これも、命令の結果を別の場所に書き込めるようにできば問題ない。