十二戦支 爆烈エトレンジャー
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十二戦支 爆烈エトレンジャー(じゅうにせんし ばくれつエトレンジャー)は1995年4月7日から1996年1月26日までNHK衛星第2テレビジョンで放送された池田仁男原作のテレビアニメ。全39話。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ストーリー
物語の舞台は、ムーゲンというさまざまな動物の精霊(第一話では「妖精」と呼称)が平和に暮らす異次元の国。人間が作った様々な物語の世界「ノベルワールド」で構成された果てしなく天空に続くノベルポールを存在の柱とする国である。ところがムーゲンの真下、深海の闇の中にある邪霊城に潜む邪霊王ニャンマーが、ノベルワールドを破壊せんと邪霊モンスター達を送り込んで来た。このままではノベルワールドが破壊され、ムーゲンは崩壊してしまう。オーラ姫は、ムーゲンの守護神である「エトレンジャー」を召集、「エトレンジャー」は時空間転移マシーン・キリンダーに乗ってノベルワールドに向かう。邪霊モンスターは侵入したノベルワールドの人物になりすまし、その世界観を狂わせ物語の進行を妨害することによって破壊しようとする。エトレンジャーが一つのノベルワールドにいられるのは2日間。その間に邪霊モンスターを見つけ出し「浄化」しなくてはならない。狂ったノベルワールドでエトレンジャーを待ち受けるものは…。
[編集] 登場人物
- エトレンジャー
- バク丸(爆烈丸)(声: 坂本千夏)
- ネズミの精霊で、エトレンジャーのリーダー的存在である。ビームサーベルと現魔鏡を所持。ネコが嫌いだったが、ガオウの協力で克服する。その際、必殺技「爆烈疾風剣」を編み出した。サーベルは元々持っていたものではなく、1~2話で訪れた桃太郎のノベルワールドから持ち帰ったものである(このときのみ「レーザーブレード」と呼称)。現魔鏡は2話にてキリンダーより託された。正義感は強いが、お調子者でドジな面も多い。
- 「邪霊照覧」のかけ声とともに現魔鏡で反射させた光を邪霊モンスターとおぼしき人物に当てると実際に邪霊モンスターであったときにその正体を現す。普通の人物にとっては単なるまぶしい光である。また「精霊召喚」のかけ声とともにメンバーの名を呼ぶことによりキリンダー内にいるメンバーを2名までバックアップメンバーとして呼び寄せることが出来る。
- ホルス(声: 森川智之)
- ウシの精霊。普段はのんびりしているが、赤いものを見ると興奮し、大牛に変身する。元ののんびり屋な性格のせいか他のキャラに比べてノベルワールド内の人物と深く関わることはなかった。
- ガオウ(声: 星野充昭)
- トラの精霊。「トラトラアイ」と呼ばれるサングラス状のアイテムを装着することにより大きな虎に変身することができる。いかつい大男だが心は優しい。本編中ではなぜか女の子(赤ん坊)に好かれたり少女にひそかに恋心を抱いたりやはり少女であるショコラ(後述)と恋仲だったりしていた。クリームに「顔に似合わずウブ」と評されている。
- クリーム(声: 氷上恭子)
- ウサギの精霊。ごく普通の、活発な女の子。変身ステッキで変身(というよりはコスプレ)する事ができる。呪文は「ラビット・キャロット・プリティチェ~ンジ!」。自身が変身するだけでなく、そばにいるメンバーに衣装を着せることも出来る。バク丸に好意を寄せているようである。
- ドラゴ(声: 山野井仁)
- タツの精霊。竜の玉「ドラゴンボール」を持っており、「イー・アル・サン!」の掛け声で足元にボールを投げることにより巨大竜(ドラゴン)に変身する。「雷(いかづち)よ!」のかけ声で雷を起こして相手を攻撃することが出来る。雲に乗り空を飛ぶことも出来る。エトレンジャーのなかで精神的にも肉体的にも一番成熟しているのか常に冷静沈着で、バックアップメンバーとして行動することのほうが多かった。
- ニョロリ(声: 納谷六朗)
- ヘビの精霊。お調子者であるが、豊富な知識を備えているエトレンジャーの参謀、軍師的な存在。空を飛ぶことにあこがれており、自作の飛行機械で飛ぼうと試みたことも。お世辞に弱い。
- パカラッチ(声: 長嶝高士)
- ウマの精霊。蹄鉄ブーメランを武器とする。「青春だ!」が口癖の、どんな事象にも青春を結びつけて思考・発言する熱血漢で、ノベルワールドの人物にも影響したこともある。スフレにひそかに恋心を抱いているようである。
- スフレ(声: 宮村優子)
- ヒツジの精霊。マジカルコンパクトで物や人の位置を確かめることができる。また占いもできる。「~ですわ」「~ですの」とお嬢様的な言葉で話す。低血圧なので朝に弱い。優しくおっとりしているが、かなりの天然ボケで素っ頓狂な事を言う事も少なくない。素敵な恋を夢見ている。
- モンク(声: 亀井芳子)
- サルの精霊。「サルまねポコーダー」を使って他人の声色を真似するのが得意。ポチ郎とは犬猿の仲でよく怒らせているが、戦いのなかで「喧嘩するほど仲が良い」友人同士となる。いたずら好きでかなりのお調子者だが、友情にあつい面も。
- タルト(声: 川村万梨阿)
- ニワトリの精霊。伝書ヒヨコを持っている。伝書ヒヨコの力で人間体に変身する事ができる。いわゆる姉御肌であり、クリームがそのりりしさにあこがれたことがある。男勝りで攻撃的気質があり、乱暴な面も。戦いのなかでガオウに惹かれていき、彼のショコラに対する思いを知りながらも彼を支えようとした。
- ポチ郎(佐々木ポチ郎)(声: 森川智之)
- イヌの精霊。骨如意棒を使った攻撃を得意とする。モンクとは犬猿の仲でお互いに罵り合っている。自身を拙者と呼称したり日本の江戸時代(にされてしまったノベルワールド)に来て思わず尻尾を振って喜んでいるなど、武士道に通じる精神を持っているようである。ちなみに彼らの尻尾は後頭部から生えている。最終話で失恋してしまった?タルトにさりげなくハンカチを手渡す。
- ウリィ(声: 沢海陽子)
- イノシシの精霊。エトレンジャーの中で恐らく一番幼い。泣き虫であるが、大声で泣き出すと腹部の大きなバッチから強力なビーム(ビエー砲)が発射される。
そのことをメンバーに逆利用されて無理やり泣かされたことも。
- オーラ姫(声: 川村万梨阿)
- ムーゲンの統治者。ムーゲン内で唯一人間の姿をしているが、作中で人間であるとは明言されていない。オーラ城に住んでいるが、テレパシーなどの霊波による特殊能力を持つ代わりにオーラ城の外へ出ることを大霊神ゴールから禁じられている。霊力が消えてしまうためである。
- キリンダー(声: 納谷六朗)
- 時空間転移マシーン。作戦会議室や休憩室などを備える。また邪霊モンスターを浄化させるビーム(霊波光)を備えている。しかしその正体は……。大阪弁に近い言葉を話す。かなり軽い性格をしているようである。
- キリンダーはエトレンジャーのなかから5人までのメンバーをノベルワールドに送り込むことができる。送り込まれるメンバーは透明な球状カプセルに包まれてノベルワールドに送られるのだが、到着する場所はほぼ例外なく高空であり、直後にメンバーは落下する。精霊召喚で呼ばれるバックアップメンバーが普通に現れることを考えるとこれはキリンダーのおふざけであろう。また送り込めるメンバーは5人まで、であったはずが一度だけ12人全員をいきなり送り込んだことがあった。もしかすると実際には人数制限はないのに緊迫感を出すために勝手にキリンダーが制限しているのかもしれない。
- リディア(声: 納谷六朗)
- キリン(麒麟)の精霊。ムーゲンの新聞記者であったが…。「ムーゲンタイムス」という新聞を発行していた。その職業ゆえムーゲン内のことならば、秘密であったガオウとショコラの仲をはじめ誰が誰を好きかなどの細かな情報まで知っていたりする。麒麟の精霊であるため、ムーゲンで一番速く走ることが出来る。
- ニャンマー(声: 沢海陽子)
- ノベルワールドの破壊をたくらむ邪霊王。その正体は……。
- ショコラ(声: 沢海陽子)
- ネコの精霊である少女。あることをきっかけに行方不明となる。ガオウの恋人。
- 珠献(声: 氷上恭子)
- 邪霊四天王の一人で、通称「赤の珠献(せき の じゅけん)」。少女。
- ニャンマーの分身である四天王のなかで、唯一ニャンマーがムーゲンの一員であった頃の心を受け継いでいるらしく、真の「仲間」とは何かについて思い悩む。
- 瓏爛(声: 長嶝高士)
- 邪霊四天王の一人で、通称「青の瓏爛(しょう の ろうらん)」。男性。
- 玄燕(声: 亀井芳子)
- 邪霊四天王の一人で、通称「黒の玄燕(こく の げんえん)」。女性。
- メカに取り付いて生身のバク丸たちを攻撃するなど、冷酷な性格をうかがわせる。
- 號茜(声: 山野井仁?)
- 邪霊四天王の一人で、通称「白の號茜(はく の ごうせん)」。男性。
- 邪霊神バギ(声: 谷育子)
- この物語の真の黒幕である。ショコラを騙して邪霊王ニャンマーに仕立てあげ、ムーゲンの破壊を企んだ。
- 大霊神ゴール(声: 大木民夫)
- ムーゲンの神様。
[編集] ノベルワールドについて
ノベルワールドは人間が作った様々な物語の世界。エトレンジャーが訪れたノベルワールドから考えて、基本的には昔話や児童文学、民間伝承の物語で構成されているようだが「白鯨」のような本格的な小説のノベルワールドも存在する。また最終話で新しいノベルワールドが誕生する描写があるのだが、どういう経緯で誕生するのかは不明である。例えば「本」などで具体的に形になった物語が自動的にノベルワールドになるとするならば、官能小説や同人小説、果ては漫画などもノベルワールド誕生の対象となってしまい収拾がつかなくなるであろう。故に人間が物語を創造するたびに勝手に増殖していくのではなく、ゴールが認めた物語のみがノベルワールドになるのであろうか。
エトレンジャーたちがノベルワールドを訪れたとき、基本的には彼らは物語にとってはアウトサイダーなのだが登場人物の一部になってしまうこともあった(桃太郎の犬:ポチ郎 猿:モンク 雉:タルト(鶏だが)…等)。
ノベルワールドに降り立ったメンバーたちの行動は基本的にキリンダーの作戦室内でモニターできるのだが、不可能な場合もあった。理由は不明である。邪霊モンスターによってジャミングされている場合があると考えるのが妥当であろう(脚本の都合や設定の不整合、ということを言わなければ、だが…)。
[編集] 備考
- バク丸のフルネーム「爆烈丸」は「キャッ党忍伝てやんでえ」の主人公、ヤッ太郎の設定段階での名前であったとの説がある。
- 「わらしべ長者の交換合戦!」でのラストシーンのパカラッチの台詞「時は2015年、燃える闘志を胸に秘め、澄んだ瞳で見たものは~」は1977年のテレビアニメ「ジェッターマルス」の主題歌歌詞のもじりである。
- エトレンジャーの放送時、鈴木典孝氏が手がけたそのデザインから「キャッ党忍伝てやんでえ」を連想した人は多いようである。漫画家の沖 由佳雄氏は当時カットを担当していた雑誌の読者投稿ページでクリームを描き「ウサ姫復活!」と書き込んでいる。
[編集] スタッフ
- 総監督:岡嶋国敏
- シリーズ構成:関島眞頼
- キャラクターデザイン(デザイン・ワーク):スタジオOX/鈴木典孝
- ゲストキャラデザイン:下坂英男
- 音楽:池毅、戸塚修
- アニメーション制作:シャフト
- 製作:ルネッサンス、シャフト
[編集] 主題歌
- OP「まだまだまだ」(作詞:白峰美津子 作曲:伊秩弘将 編曲:有賀啓雄 歌:神奈弓子)
- 前期ED「会いたくて」(作詞・作曲・歌:小林清美 編曲:水島康貴)・・・1~17話
- 後期ED「星座の屋根の下で」(作詞:凛々子 作曲:内田勉 編曲:島田昌典 歌:米屋純)・・・18~39話
[編集] CD
- 十二戦支 爆烈エトレンジャー 音楽集 (コロムビアミュージックエンタテインメント)
- 十二戦支 爆烈エトレンジャー ヒット曲集 (コロムビアミュージックエンタテインメント)
[編集] 放映リスト
- こんな冒険ありぃ~? (1995年4月7日)
- 倒せ邪霊モンスター (1995年4月14日)
- 〇時五分のシンデレラ (1995年4月21日)
- ウサギ失礼、カメしまへん (1995年4月28日)
- アヒルの子はダチョウ? (1995年5月5日)
- 決闘!ウェスタンで西遊記 (1995年5月12日)
- 本日開店?かぐや姫をさがせ (1995年5月19日)
- 赤頭巾ちゃんに気をつけて (1995年5月26日)
- おどろき豆の木巨人の国! (1995年6月2日)
- ピノキオ・黄金の日々!? (1995年6月9日)
- 白雪姫のアップルパニック! (1995年6月16日)
- 邪霊王ニャンマーの挑戦 (1995年6月23日)
- あっちでこっちで大ピンチ! (1995年6月30日)
- わらしべ長者の交換合戦! (1995年7月7日)
- えっ?飛べないピーターパン (1995年7月14日)
- 大武術大会!バク丸が結婚? (1995年7月21日)
- アラジンじいさんと魔法のランプ (1995年7月28日)
- 壮絶!××の恩返し (1995年8月4日)
- オカシなオカシなおかしのおうち (1995年8月11日)
- 長靴をはいた猫の陰謀 (1995年8月18日)
- よみがえれバク丸! (1995年8月25日)
- パワーアップ!ニューキリンダー (1995年9月1日)
- 青い鳥のタルト? (1995年9月8日)
- スフレよ銃をとれ! (1995年9月15日)
- ブロードウェイの人魚姫 (1995年9月22日)
- 金?のォ!おォのォ! (1995年9月29日)
- 砂漠の白い悪魔 (1995年10月6日)
- モンク抹殺!?さるかに合戦! (1995年10月13日)
- 愛と青春のパカラッチ (1995年10月27日)
- 想い出のバースディ・プレゼント (1995年11月3日)
- 大ピンチ!ニャンマーの罠 (1995年11月10日)
- 失われた記憶をとりもどせ (1995年11月17日)
- 哀しきニャンマーの過去 (1995年11月24日)
- 衝撃!キリンダー誕生の秘密 (1995年12月8日)
- 最終決戦!邪霊城へ突入せよ!! (1995年12月15日)
- はなて!十二戦支合体光線 (1995年12月22日)
- めざめよ珠献! (1996年1月12日)
- 怒りと憎しみのはてに (1996年1月19日)
- いつだってキミに会える(1996年1月26日)