医局
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
医局とは、主に大学医学部・歯学部・病院等においての各「研究室」、「診療科」、「教室」ごとのグループ組織のこと。
大学病院内だけの組織だけでなく、大学病院を頂点として関連病院等も含めた一大グループ組織であることが多い。
目次 |
[編集] 構成
以下に旧来よりの一般的な医局の階級の一例を示す。
[編集] 人事
医科大学・歯科大学附属病院では、各診療科の医師・歯科医師の人事については大学病院ではなく各医局の長である教授が実質的人事権を持つことが多い。なお、附属病院における医局と学部における講座は実質的に同一であることを考えれば、各講座の医師・歯科医師の人事については大学ではなく各講座の長である教授が実質的人事権を持つことが多いと読み替えることができる。
上記人事は病院内での職場配置だけでなく、関連病院への派遣も含まれる。すなわち関連病院は診療科ごとに医師・歯科医師の人材の供給を大学に依存している。公立病院であっても例外ではなく、このことを問題視する声もある。
教授を頂点とする医局のシステムは、診療科の診療方針全般、及び人事権について決定権を持つため、治療薬の選択、医療機器の導入など大きな利権が生じる余地があると長年批判の対象となってきた。しかし、2004年の新研修医制度導入などの厚生労働省の政策により、近年の医局の影響力の低下は著しい。以前ならば大学の医局に入局した卒後医師の多くが、都市部の大病院での研修を希望した結果、医局に入局する医師の数は激減している。特に地方の医大において、その傾向は著しい。このため医局の指導力と絶対的人事権が崩れてきており、旧来ならば恵まれない環境でも出向せざるを得なかった医師がいなくなってきており、その結果、地方の関連病院や過疎地の診療施設へ赴任する医師が激減している。地方の基幹病院の統廃合とレベルアップの方策がないままに、医局の影響力を削いだ厚生労働省の施策は、医局による医師派遣を必要としてきた地域医療の崩壊をもたらしている。
[編集] 近年の傾向
研修医は、卒後、卒業大学、または他の大学の医局に入局する義務はないが、多くの場合、どこかの医局に属することになる場合が多い。知識・技術を向上させる上で医局での教育システムが重要であることと、後期研修のできる職場を自分で探すのは大変だからである。近年では医師不足の傾向があり就職は大きな問題点とはならなくなりつつある。