利府線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
利府線(りふせん)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)東北本線の支線、岩切駅~利府駅間の通称である。利府支線ともいう。
目次 |
[編集] 通称区間の路線データ
- 路線距離(営業キロ):岩切駅 - 利府駅 4.2km
- 軌間:1067mm
- 駅数:3駅
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(交流20,000V 50Hz)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式
- Suica利用可能区間:全線
[編集] 概要・沿革
利府線は、岩切駅から東北本線と分岐し、新幹線総合車両センターのある新利府駅を経て利府駅に至る単線の路線である。現在は東北本線の盲腸線として利府町と仙台方面を結ぶローカル輸送が主である。
1890年に岩切駅~一ノ関駅間が開業した際、東北本線は岩切駅から利府駅・松島駅(旧駅)を経て品井沼駅へ至るルートであり、当線は東北本線のメインルートの一部であった。しかし、この区間には最大16.7‰の勾配が存在し、長大列車では補助機関車を連結する必要が生じ、さらには列車の遅れや運休がしばしば見受けられた。
戦争が激化すると、貨物輸送を船舶から鉄道へ転移させる必要が生じ、各地で勾配緩和のための新線(東海道本線大垣~関ヶ原間、函館本線大沼~森間など)の建設が進んだ。岩切駅~品井沼駅間においても、勾配緩和ルートとして1944年11月15日に陸前山王駅~品井沼駅間に新線(東北海岸線、海線。当初は貨物のみ)が開業(同時に岩切駅~陸前山王駅間を塩竈線から東北本線に編入)し、2つのルートが併存する形となった。
やがて、沿線人口が多く、松島などの観光地も近い新線側がメインルートとなることとなり、利府経由の山線ルートは普通列車によるローカル輸送が主体となった。新線側の複線化が進むと両ルート併存の意味も薄れて山線側が廃止されることになり、複線工事の影響を受けて1962年4月20日に松島駅(旧駅)~品井沼駅間を廃止、同年7月1日に利府駅~松島駅(旧駅)間が廃止された。
ただし、新線ルート上に利府駅の代替となる駅がないため、利府駅周辺の利用者の便を図って、岩切駅~利府駅間は利用者が少ないながらも廃止を免れた。その後1968年に東北本線の東京~青森間電化・複線化が完成するが、利府線は単線非電化のままであり、1978年に交流電化された後も多くは気動車によって運行され、完全に電車に置き換えられたのは1995年である。
1982年の東北新幹線開業と同時に仙台総合車両所(現:新幹線総合車両センター)が利府線沿いに設置され、車両基地関係者の通勤の便を図るために新利府駅が新たに設置された。
利府駅~品井沼駅間の廃止後、長らく仙台市方面と利府町を結ぶローカル輸送を主体に担っていたが、2002 FIFAワールドカップ開催のため宮城県総合運動公園が開設されたため、スポーツ試合やコンサートイベントに合わせて列車の増発が行われるようになった。ワールドカップ開催の際には、列車の増発に対応すべく、利府駅のホームが増設(実際には復活)されている。
[編集] 運行形態
日中(10時台~15時台)は岩切~利府間の運行となる。運行頻度は1時間に1~2本。列車はワンマン運転の2両編成である。
始発から9時台と16時台から終電までの列車は東北本線仙台まで直通する。利府~仙台間の運行がほとんどであるが、一部列車は仙台以南の白石・福島方面、常磐線原ノ町・いわき方面に直通する。運行頻度は1時間に1~3本。列車編成は最大で6両。
[編集] 運行車両
[編集] 歴史
- 1890年4月16日 日本鉄道の路線として岩切駅~一ノ関駅間が開業(山線)。
- 1894年1月4日 利府駅開業。
- 1906年11月1日 国有化。
- 1909年10月12日 線路名称制定。東北本線となる。
- 1913年3月20日 利府駅~松島駅(旧駅)間に赤沼信号所開設。
- 1918年8月16日 松島駅(旧駅)~鹿島台駅間に幡谷信号所開設。
- 1922年4月1日 赤沼信号所、幡谷信号所を赤沼信号場、幡谷信号場に改称。
- 1932年12月26日 幡谷信号場を格上げし品井沼駅開業。
- 1944年11月15日 陸前山王駅~品井沼駅間開業(海線、東北海岸線)。岩切駅~陸前山王駅間を塩竈線から東北本線に編入。当初貨物営業のみ。
- 1950年10月1日 利府駅~松島駅(旧駅)間の赤松信号場廃止。
- 1956年7月9日 陸前山王駅~品井沼駅間(海線ルート)に塩釜駅と新松島駅(現・松島駅)開設。
- 1962年4月20日 松島駅(旧駅)~品井沼駅間(山線ルート)廃止。東北本線の支線となる。
- 1962年7月1日 利府駅~松島駅(旧駅)間廃止。利府線と呼ばれるようになる。海線の新松島駅を松島駅に改称。(旧)松島駅の代替駅として愛宕駅開設。
- 1978年10月2日 交流電化。
- 1982年4月1日 新利府駅開業。
- 1989年3月11日 ワンマン運転化。
- 1995年3月24日 利府線の全列車を電車化。
[編集] 駅一覧
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
岩切駅 | 0.0 | 東日本旅客鉄道:東北本線(一ノ関・仙台方面) | 宮城県 | 仙台市宮城野区 |
新利府駅 | 2.5 | 宮城郡利府町 | ||
利府駅 | 4.2 |
[編集] 関連項目
カテゴリ: 鉄道関連のスタブ項目 | 東北地方の鉄道路線 | 東日本旅客鉄道