冠位・官位制度の変遷
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冠位・官位制度の変遷
603年に冠位十二階が制定されてから、大宝律令で、官位制が確立するまでの間の冠位制度の名称の変遷。
目次 |
[編集] 冠位十二階
- 大徳 (だいとく)(紫)
- 小徳 (しょうとく)(同上)
- 大仁 (だいにん)(青)
- 小仁 (しょうにん)(同上)
- 大礼 (だいらい)(赤)
- 小礼 (しょうらい)(同上)
- 大信 (だいしん)(黄)
- 小信 (しょうしん)(同上)
- 大義 (だいぎ)(白)
- 小義 (しょうぎ)(同上)
- 大智 (だいち)(黒)
- 小智 (しょうち)(同上)
[編集] 冠位十三階
冠位十三階は従来の冠位十二階を改訂し、従来冠位外とされていた大臣(おおおみ)の大紫冠を冠位に組み込んだものである。しかしながら大臣は旧冠を使い続けたと言われている。2年後にはさらに細分化された冠位一九階に改められている。藤原鎌足は、大織の冠位を貰ったため大織冠とも呼ばれている。
- 大織(だいしょく、おりもののこうぶり)(織冠、深紫衣)
- 小織(しょうしょく)(同上)
- 大繍(だししゅう、ぬいもののこうぶり)(繍冠、深紫衣)
- 小繍(しょうしゅう)(同上)
- 大紫(だいし、むらさきのこうぶり)(紫、浅紫衣)
- 小紫(しょうし)(同上)
- 大錦(だいきん、にしきのこうぶり)(大伯仙冠、真緋(あけ)衣)(大徳・小徳に相当か?)
- 小錦(しょうきん)(小伯仙冠、同上)(大仁・小仁に相当か?)
- 大青(だいしょう)(青絹・大伯仙、紺(ふかきはなだ)衣)(大礼・小礼に相当か?)
- 小青(しょうしょう)(青絹・小伯仙、同上)(大信・小信に相当か?)
- 大黒(だいこく、くろきこうぶり)(車形錦、緑衣)(大義・小義に相当か?)
- 小黒(しょうこく)(同上)(菱形錦・緑衣)(大智・小智に相当か?)
- 建武(けんむ)(黒絹)初位・立身
[編集] 冠位十九階
- 大化5年(649年)施行
冠位十九階は、冠位十三階を改訂したもので、一部名称の変更と下位の冠に位置する大花から小乙までを上下に分割したものである。
- 大織(だいしき)
- 小織(しょうしき)
- 大繍(だいしゅう)
- 小繍(しょうしゅう)
- 大紫(だいし)
- 小紫(しょうし)
- 大花上(だいか)(大徳/大錦に相当)
- 大花下(小徳/大錦に相当)
- 小花上(しょうか)(小錦/大仁に相当)
- 小花下(小錦/小仁に相当)
- 大山上(だいせん)(大青/大礼に相当)
- 大山下(大青/小礼に相当)
- 小山上(しょうせん)(小青/大信に相当)
- 小山下(小青/小信に相当)
- 大乙上(だいおつ)(大黒/大義に相当)
- 大乙下(大黒/小義に相当)
- 小乙上(しょうおつ)(小黒/大智に相当)
- 小乙下(小黒/小智に相当)
- 立身(りゅうしん)(旧建武)
[編集] 冠位二十六階
冠位二十六階は、冠位十九階をさらに細分化したものである。繍冠を縫冠に改訂し、花冠を錦冠に改称した。そして、大錦から小乙までを上下のから上中下に分割し、初冠である、立身を、大建、小建に分割した。
- 大織
- 小織
- 大縫(だいぷう) (旧大繍)
- 小縫(しょうぷう)(旧小繍)
- 大紫
- 小紫
- 大錦上(だいきん)(旧大花)
- 大錦中
- 大錦下
- 小錦上(しょうきん) (旧小花)
- 小錦中
- 小錦下
- 大山上
- 大山中
- 大山下
- 小山上
- 小山中
- 小山下
- 大乙上 (だいおつ)
- 大乙中
- 大乙下
- 小乙上
- 小乙中
- 小乙下
- 大建(だいこん) (旧立身)
- 小建
[編集] 冠位四十八階
冠位二十六階を冠位四十八階に改訂したものである。八色の姓と関連がある。大宝令の新位階制が作られるまで継続した。親王・諸王を、諸臣と分離し、別の冠を与え、諸臣の上位においた点も注目すべき点である。明・浄などの冠位の名称については道徳観念や徳目を表したものなどの説がある。明位の実例はない。 この日に草壁皇子尊に浄広壱位(じょうこういちのくらい)を授けたまふ。大津皇子に浄大弐位(じょうだいにのくらい)を授けたまふ。高市(たけいち)皇子に浄広弐位を授けたまふ。川嶋皇子・忍壁(おさかべ)皇子に浄大参位(じょうだいさむのくらい)を授けたまふ。(『日本書紀』天武天皇十四年正月の条)
- 明位二階(みょうゐふたしな)、明大(みょうだい)、明広(みょうこう)
- 明大一位 一品(朱色)
- 明広一位 二品
- 明大二位 三品
- 明広二位 四品
- 浄位四階(じょうゐよしな)、浄大(じょうだい)、浄広(じょうこう)
- 浄大一位 正一位(朱色)
- 浄広一位 従一位
- 浄大二位 正二位
- 浄広二位 従二位
- 浄大三位 正三位
- 浄広三位 従三位
- 浄大四位 正四位
- 浄広四位 従四位
- 諸臣 正位四階(しょうゐよしな)、正(しょう)直(じき)勤(ごん)務(む)追(つい)進(しん)
- 正大壱 正一位(深紫)
- 正広壱 従一位
- 正大弐 正二位
- 正広弐 従二位
- 正大参 正三位
- 正広参 正三位
- 正大肆 従三位
- 正広肆 従三位
- 直大壱 正四位上(浅紫)(じきゐ)
- 直広壱 正四位下
- 直大弐 従四位上
- 直広弐 従四位下
- 直大参 正五位上
- 直広参 正五位下
- 直大肆 従五位上
- 直広肆 従五位下
- 勤大壱 正六位上(深緑)(ごんゐ)
- 勤広壱 正六位上
- 勤大弐 正六位下
- 勤広弐 正六位下
- 勤大参 従六位上
- 勤広参 従六位上
- 勤大肆 従六位下
- 勤広肆 従六位下
- 務大壱 正七位上(浅緑)(むゐ)
- 務広壱 正七位上
- 務大弐 正七位下
- 務広弐 正七位下
- 務大参 従七位上
- 務広参 従七位上
- 務大肆 従七位下
- 務広肆 従七位下
- 追大壱 正八位上(深蒲萄えびぞめ=青)(ついゐ)
- 追広壱 正八位上
- 追大弐 正八位下
- 追広弐 正八位下
- 追大参 従八位上
- 追広参 従八位上
- 追大肆 従八位下
- 追広肆 従八位下
- 進大壱 大初位上(浅蒲萄えびぞめ=青)(しんゐ)
- 進広壱 大初位上
- 進大弐 大初位下
- 進広弐 大初位下
- 進大参 小初位上
- 進広参 小初位上
- 進大肆 小初位下
- 進広肆 小初位下
[編集] 律令官位制 大宝律令
- 大宝元年(701年)
大宝律令の官位制は、冠位四十八階をベースにしているが、シンプルでわかりやすい名称体系に整理されている。階数は、48から30に減らされている。また、諸王は、諸臣と同じ、正一位から従五位下の間におかれ、親王と区別されている。外臣に対しては、従五位上以下の外位がおかれ、朝廷への功績(献金など)に応じて授与された。
- 親王
- 一品
- 二品
- 三品
- 四品
- 諸王
- 正一位
- 従一位
- 正二位
- 従二位
- 正三位
- 従三位
- 正四位上
- 正四位下
- 従四位上
- 従四位下
- 正五位上
- 正五位下
- 従五位上
- 従五位下
- 諸臣
- 正一位(正冠)
- 従一位
- 正二位
- 従二位
- 正三位
- 従三位
- 正四位上(直冠)
- 正四位下
- 従四位上
- 従四位下
- 正五位上
- 正五位下
- 従五位上
- 従五位下
- 正六位上(勤冠)
- 正六位下
- 従六位上
- 従六位下
- 正七位上(務冠)
- 正七位下
- 従七位上
- 従七位下
- 正八位上(追冠)
- 正八位下
- 従八位上
- 従八位下
- 大初位上(進冠)(※明治維新時に大小初位は正従九位に改称)
- 大初位下
- 小初位上
- 小初位下
- 外位(地方の有力者や外国人に与えられる官位)
- 外正五位上
- 外正五位下
- 外従五位上
- 外従五位下
- 外正六位上
- 外正六位下
- 外従六位上
- 外従六位下
- 外正七位上
- 外正七位下
- 外従七位上
- 外従七位下
- 外正八位上
- 外正八位下
- 外従八位上
- 外従八位下
- 外大初位上
- 外大初位下
- 外小初位上
- 外小初位下
- 勲位(特別な軍功などがあった際に与えられる)
- 勲一等 正三位
- 間不明。
- 勲十二等 従八位下