共同保険
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共同保険(きょうどうほけん;Co-insurance)とは、複数の保険会社が共同で保険を引き受ける方式をいう。1保険会社では引き受けきれない巨大なリスクを分散したり、各保険会社が自ら抱えるリスクを多様化・平準化するために共同保険とすることが基本的な姿だが、自動車ディーラーや企業系列においては、特定顧客やマーケットにおける営業権として用いられることもある。各引受保険会社の引受割合を分担割合あるいはシェア(Share)という。形式上、保険契約者が幹事保険会社を指名することになっているが、実態は保険会社・代理店がアドバイスするなど、保険会社主導で幹事保険会社が選定されることも多い。通常は、分担割合が最も大きな会社が幹事保険会社となる。共同保険となる保険証券は、幹事保険会社が代表して発行し(代表保険証券)、そこには各引受保険会社の分担割合が記載される。保険契約者は、幹事保険会社を通じて、複数の保険会社と同一内容の保険契約(契約の束;bundle of contracts)を同時に締結することになる。非幹事保険会社は幹事保険会社に対して、保険募集や契約保全(例えば、保険契約上の通知義務に基づき保険契約者等が行う通知の受領)に関する事務の代行を委託している(事務委託契約)が、幹事保険会社には損害保険代理店とは異なり、非幹事保険会社のために行う契約締結権はない。また、幹事保険会社には保険事故発生時の損害査定の代理権はなく、実務上、保険事故発生時に、幹事保険会社が代表して損害査定を行うこととし、保険会社は保険事故時にその点、改めて被保険者の同意を取り付けている。共同保険の契約に関しては約款上、「共同保険に関する特約条項(Co-insurance clause)」が付帯されるので、保険契約者等は幹事保険会社と非幹事保険会社間の役割分担について確認することができる。なお、稀なケースだが、団体保険等で、保険契約者が予め、幹事保険会社を複数選定する例、別個、副幹事保険会社を選定する例、契約締結主体とは別に事務・システムを主体となって行う事務・システム幹事会社を置く例、損害査定に関しても査定幹事会社を選定する例がある。