低精白酒
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低精白酒(ていせいはくしゅ)とは、2005年ごろ開発された日本酒の一種で、おもに精米歩合80%前後の純米酒のことである。それ以前は、純米酒は精米歩合70%以下と決まっていて、75%を超えると普通酒なみの低い酒質を生むとして、それ以上の精米歩合は軽んじられてきたのだが、あえてその逆を追及した酒種ともいえる。米ほんらいの素朴な風味と旨みを特徴とする。
[編集] 背景
日本酒を造るために、酒米は精米すればするほど、完成酒の雑味の原因となる米粒の周囲の部分が取り除かれ、中心部の心白(しんぱく)だけになっていく。吟醸酒を初めとする高級酒の製造には、こうした高度な精米技術、すなわち低い精米歩合は必須とされ、今では精米歩合30%台の高級酒もめずらしくなくなった。
しかし1930年代に縦型精米機が登場する以前は、日本酒は低い精米技術、すなわち高い精米歩合の酒米で造られていた。その意味で、もともと日本酒が持っていた昔の良さを探究しているともいえる。
また、純米酒の精米歩合をめぐる法規制として、平成15年(2003年)までは「精米歩合が70%以下のもの」という項目があったのだが、平成16年(2004年)以降それが削除されたため、こうした酒種の開発が可能になった。
また、日本酒を「米だけで造ったワイン(rice wine)」として喜ぶ海外市場をターゲットにした側面もある。
今度どのような展開をたどるかが楽しみな酒種である。