仙台空港線
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仙台空港線(せんだいくうこうせん)は、宮城県名取市の名取駅から同市の仙台空港駅までを結ぶ7.1kmの鉄道路線である。運営は第三セクターの仙台空港鉄道が行う。2007年3月18日の開業を予定している。
名称に曖昧さがあるので、以下に整理列挙する。
- 仙台空港線:仙台空港駅~名取駅間の正式路線名。(株)仙台空港鉄道が運営。
- 仙台空港アクセス線:実際の列車運行区間である仙台空港駅~仙台駅間の愛称。
- 仙台空港アクセス鉄道:実際の列車運行区間である仙台空港駅~仙台駅間の構想段階からの通称。現在でもマスメディアを中心に使用される。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):仙台空港鉄道(第一種鉄道事業者)
- 区間・路線距離(営業キロ):名取~仙台空港 7.1km - 未開業
- 軌間:1067mm
- 駅数:4駅(起終点駅を含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(交流50Hz 20,000V)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(予定)
- Suica対応予定。
- 1日の予定利用者数:1万人の見込み。(2006年12月8日報道発表)
[編集] 経緯
仙台空港線の構想は、仙台空港と仙台市中心部をつなぐ軌道系交通機関として、1984年(昭和59年)3月に仙台地方陸上交通審議会が可能性検討の答申をしたことに始まる。日本政府が1991年(平成3年)11月に仙台空港の滑走路を大型ジェット機対応の3,000mに拡張することを決定したのに合わせ、12月に空港アクセス鉄道整備検討委員会が宮城県を中心に設置され、仙台市営地下鉄南北線延伸、モノレール・新交通システム新設、JR線分岐などの案が比較検討された結果、1992年(平成4年)8月にJR線分岐案に決定した。しかし、運営母体の決定が難航し(JR東日本へ打診したものの、採算面から拒絶される。下記参照)、新たに第三セクターを設置することに決定、2000年(平成12年)4月に仙台空港鉄道株式会社が設立され、6月に第一種鉄道事業の認可を取得した。
仙台空港線の建設は2002年(平成14年)12月5日に着工された。総事業費は416億円で、2007年(平成19年)3月18日に開業予定である。建設と同時に、JR東日本では仙台駅の改良や仙台空港線へ相互で乗り入れるための新形式の車両(E721系電車)の製造を進めており、仙台空港鉄道も仙台空港線の開業までに同形の車両(SAT721系電車)を用意する予定。2006年11月までに両社の車両が完成した。
[編集] 運行計画
開業後は、すべての列車が東北本線へ乗り入れを行い、仙台駅まで直通運転が実施される。仙台空港駅から仙台駅までは、快速列車で17分、各駅停車で23分で結ばれる。列車は2~6両編成である。運行本数は1日約40往復、1時間につき2~3本程度で検討されている。
現在、仙台駅と仙台空港の間は、仙台市交通局が運行するエアポート・リムジンバスが、片道910円、空港行き48本/日・仙台駅行き37本/日、所要時間40分程度で繋いでいる。そのため、大幅な時間短縮となり、運賃も安くなる。運行本数については、仙台駅行きは増加し、仙台空港行きは減少する見込みである。特に時間短縮について、仙台駅乗り換えで仙台空港の利用圏に入っている山形県や岩手県の隣接自治体からも歓迎されているとの報道がしばしばある。
[編集] ワンマン運転の検討
仙台空港鉄道株式会社へはJR東日本が出資しており、仙台空港線における列車の運行方式は事実上、JR東日本が決定することになっている。JR東日本は東北本線乗り入れ区間を含め最大6両編成でのワンマン運転を検討中であるという。しかし、日本の地方鉄道でのワンマン運転は一般的に運転士が目視で安全確認をし易い4両編成以下で行われている例がほとんどであり、仙台空港から仙台までの各駅にセンサーやホームドアの設置予定もないため、このことが地元マスメディアによって報道された後、安全性を懸念した宮城県がJR東日本に説明を求めている。一方、地下鉄や都市鉄道では6両編成以上でもワンマン運転を行っているケースがあり、センサーやホームドアなどの設備を用意すれば、騒ぎ立てることでもないといえる。
[編集] 運賃(認可申請予定)
2006年内に東北運輸局に認可申請予定。(2006年12月8日報道発表)
事業計画当初、仙台駅~仙台空港駅間の運賃は片道700円程度(JR230円 + 仙台空港鉄道470円程度)で検討されていた。しかし、自家用車利用者を取り込むために割安な運賃設定が必要であるとの判断から、仙台空港鉄道は仙台駅~仙台空港駅間の運賃を片道630円(JR230円 + 仙台空港鉄道400円)として、運賃の認可申請をする予定となっている。
[編集] 採算性の問題
この空港アクセス鉄道事業について、採算性を疑問視する声がある。黒字転換は、開業後30年目を見込む。
[編集] 建設費用と運賃のバランス
仙台空港アクセス鉄道の構想の段階で、JR東日本が運営主体となることを要請されたもののこれを断り(但し同社は仙台空港鉄道株式会社に出資)、結果的に宮城県が事業主体となったという経緯がある。
仙台駅から仙台空港駅まで、仮にすべてJR東日本の路線とすると、JR東北本線の仙台駅~名取駅が10.4km、仙台空港鉄道部分が7.1kmで合計17.5kmとなり、JR東日本の運賃体系では320円となる。建設費用の償還も考えると、他の空港連絡鉄道路線などに見られるような200円以下の加算運賃を含めても採算が見込めない。
[編集] 他の交通機関との競合
現在、仙台駅と仙台空港間を結んでいるエアポート・リムジンバスは、仙台空港線開業と同時に廃止される予定となっている。このリムジンバスは、仙台空港利用者の約4分の1が交通手段とし、1日約2,000人が利用している。仙台空港線の事業計画は、これらのバス利用者が仙台空港線に移る事が想定されて、進められた。
これに対し、リムジンバスの廃止後に仙台市中心部と仙台空港を結ぶバス路線として、愛子観光バスが計51便[1]、東日本急行が往復計30便、共に片道運賃800円で参入すると表明した。
[編集] 隣接県とのアクセス
山形県や宮城県は、仙台空港線の列車を仙山線経由で山形駅まで直通運転することをJR東日本に要請したが、JR東日本は採算性の問題などから現時点では困難と回答している。
また、都市圏自動車専用道路の候補路線として、東北道の村田JCTから分岐して仙台空港に直線的に接続する宮城県横断自動車道および仙台空港連絡道が調査中である。全通すれば、山形県や福島県中通りから仙台空港へアクセスするのに最短ルートとなって、仙台空港線と競合する事になるなど、将来的にも仙台空港線の採算面での不安要素がある。
なお、宮城県横断自動車道に並行する道路として、県道25号・岩沼蔵王線、および、県道258号・仙台館腰線の通称「愛島バイパス」部分があり、仙台空港連絡道と並行する道路として県道20号・仙台空港線がある。25号岩沼蔵王線の村田~岩沼間は高舘丘陵を越える山岳道路、258号愛島バイパスは自動車専用道路(2006年度内完成予定)、20号仙台空港線は片側2車線の一般道となっている。
[編集] 駅一覧
[編集] 接続路線
- 名取駅:東北本線
仙台市営地下鉄南北線との乗り換えは、仙台駅か長町駅となる。長町駅の方がJRと地下鉄の駅同士が近いが、仙台空港線に直通する快速列車は長町駅を通過する予定となっている。
[編集] その他
仙台空港アクセス鉄道構想が具体化し始めた1991年(平成3年)、特に1994年から1996年にかけて、仙台市と名取市との合併について議論があった(外部リンク参照)。名取市が仙台市に編入されることで、仙台空港も仙台市内となり、臨空工業地区への工場誘致が容易となるとの考えが一部にあったこともあるが、仙台市としては、名取市と合併することで、仙台空港線への出資を空港接続道路・臨空工業地区・仙台空港線等からの莫大な固定資産税によって回収する目論見があり、他方、名取市は予想される税収増を見す見す仙台市に渡すことを嫌って、結果として両市の合併は実現しなかった。
財政以外で『名取市を仙台市「名取区」へ』という機運が盛り上がった背景として、仙台市に南接している名取市がベッドタウンとなっていたこともあったが、泉市・宮城町・秋保町を編入合併して1989年(平成元年)に仙台市が政令指定都市となり、バブル景気の追い風も重なって、当時の仙台都市圏は、1990年から1995年の5年で約10万人の人口増があるなど、DID拡大・人口急増の時期だったこととも関係する。しかし、合併論議は、旧奥州街道沿いの旧住民・地元商店街店主と、ベッドタウンに主に居住する新住民(主に仙台市内からの移住)との間に溝を生んだ。激しい議論の末、1996年の名取市長選で合併推進派が破れ、合併論議は収束した。
仙台空港線は仙台市内を走る部分がなく、仙台空港鉄道の本社も名取市に移転し、ダイヤモンドシティ・エアリも名取市内に出来るなど、名取市のメリットは多いが、仙台市としては、CBDや中心商業地の打撃を食ったり、仙台市営バスのドル箱路線であるエアポート・リムジンバスが廃止されて収入減少となったり、と、直近ではデメリットの方が多い。しかし、仙台駅と仙台空港が鉄道で繋がれることは、長期的には仙台市の拠点性向上にメリットがあるとのことで、仙台空港鉄道の採算性が問題視されても、出資を問題視する者は見られない。
[編集] 関連項目
- 日本の鉄道路線一覧
- 空港連絡鉄道
- エアポート・リムジンバス
- ダイヤモンドシティ・エアリ(2007年3月オープン予定。杜せきのした駅直結)
[編集] 外部リンク
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