人権教育
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人権教育(じんけんきょういく)とは、かつての同和教育を発展させた概念である。
同和教育で問題にされたのは、被差別部落出身者に対する差別であったが、次第に内容を拡張して、在日韓国・朝鮮人、女性・障害者なども含めた人権問題一般をも扱うようになった。
他方、国による同和対策も進行して実体としての差別的状況がおおよそ改善されたこと、人々の意識に上る被差別部落が減ったことなどの状況の変化があり、地対財特法などの特別措置も期限が切れ、具体的対象が明確化しづらくなったこと(被差別部落というべき対象の形式的な消失)から、同和という言葉そのものの存在理由が見いだしづらくなった。ニューカマーの急増(=在住外国人すなわち韓国人・朝鮮人ではなくなった)、障害者の概念が変り、これまで障害と認識されなかったものが障害と認識されるようになった(=「見えない」障害者の存在が知られた)などの諸事情から、人権啓発は、あらゆる社会的少数者に向けられなければならないとする。