二次形式
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数学において、二次形式(にじけいしき、quadratic form)とは斉二次の多項式のことである。一般には xi を変数として次の形に表される:
各項の係数 ai, aij はその標数が 2 でない任意の体 K の元とする。ここで ai = aii, aij = aji (i > j) とおくと、この二次形式は
- xTAx (A = (aij), xT = (x1, x2, ..., xn))
と表すことができる。A[x] = xTAx と記すことがある(シーゲルの記号)。
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[編集] 諸定義
変数の数が n である二次形式 A[x] は、 rank A = n であるとき正則あるいは非退化 (non-degenerated) であるといい、そうでないとき退化している (degenerated) という。
正則行列 P による変数変換 x = Py により二次形式は A[x] = PTAP[y] に変換される。二つの二次形式 A[x], B[y] が適当な正則変換により A[x] = B[y] を満たすとき、二次形式として同値であるという。
任意の二次形式 A[x] は rank A = r であるとき、r 個の文字 y1, y2, ..., yr に関する正則二次形式 B[y] に同値である。
[編集] 対称双線型形式
二次形式と対称双線型形式(対称双一次形式)は表裏一体の関係にある。計算に向くように二次形式そのものを公理的に特徴付けようとするとあまりうまくいかないが、対称双線型形式を用いればそれが可能になる。
体 K 上のベクトル空間 V に対し、V 上の対称双線型形式 とは
- f(x + y, z), = f(x, z) + f(y, z)
- f(kx, y) = f(x, ky) = kf(x, y),
- f(x, y) = f(y, x)
(for all x, y, z ∈ V, k ∈ K) が成立する写像 f: V×V → K のことである。 対称双線型形式 f はある対称行列 A により f(x, y) = xTAy と表せる。
対称双線型形式の定義で y = x とおくと二次形式が得られるが、逆に二次形式 A[x] は対称双線型形式 f によって特徴付けられる。実際、
- A[x + y] - A[x] - A[y] = 2f(x, y)
とおけば、f は対称双線型形式になる。これを A[x] の極化形式という。
[編集] 性質
K が実数体 R または複素数体 C のときには、二次形式の偏微分に関して
が成立する。このことは多次元正規分布の共分散などを求める際にも利用される。
一般の体 K 上では、二次形式 A[x] は変数の適当な正則一次変換で
なる形に変形される。
[編集] 関連項目
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