三すくみ
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三すくみ(さん- 三竦とも書く)とは、3つの物が、互いに得意な相手と苦手な相手を1つずつ持ち、それで三者とも身動きが取れなくなるような状態のこと。つまり、AはBに勝ち、BはCに勝ち、CはAに勝つという関係。
下で例に挙げるヘビ → カエル → ナメクジの場合は、カエルがナメクジを食べると、その後ヘビに食われてしまうから、ナメクジを食べられない、このため、三者とも身動きがとれず三竦みとなる。
じゃんけんは三竦関係を用いた代表的な例である。 また、3つの個人・集団など力関係が拮抗している時に、「三竦」であると表現されることがある。
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[編集] 三竦みの例
- グー → チョキ → パー → グー ……
- じゃんけんでは「石」は「はさみ」をうち砕き、 「はさみ」は「紙」を切り刻み、 「紙」は「石」を包み込む。
- 狐 ← 猟師 ← 庄屋 ← 狐 ……
- 狐は猟師に鉄砲で撃たれるので狐は猟師に負け、猟師は依頼主の庄屋に負け、庄屋は狐に化かされるので狐に負ける。
- 象 → 人 → 蟻 → 象 ……
- 象は人を踏み潰し、人は蟻を踏み潰し、蟻は象を刺し殺す。ちなみにインドネシア周辺のじゃんけんはこの形になっている。親指が象、人差し指が人間、小指が蟻。
(上記は、矢印の向く相手に勝つ、と言う関係を表す)
[編集] 三竦みの構造
trade-offs(トレードオフ) 原文「螂蛆食蛇、蛇食蛙、蛙食螂蛆、互相食也」 「螂蛆」は、百足(むかで)のこと。
正三角形の配置構造を連鎖構造に言葉として表記した。 「じゃんけん」の勝負とはことなるが、互いの影響を説明するうえで「三つ巴」や「三竦み」 と表現される説明が多くの理論で利用されている。
[編集] 経営理論の例
産業組織論(経済学)の主要なパラダイムとして構造 → 行為 → 成果(S-C-P)がある。 産業構造がその産業にいる企業の行為(戦略)を決定し、行為が産業の成果を決定する。
同様な論理構造として
- 重要制約(Core Constraints)
利益 → 技術 → 権利(Economic-Technical-User)
- 物資(Resources)リソース
ヒト → 作用 → モノ(People-Process-Product)
- 顧客(Customers)カスタマー
時間 → 費用 → 品質(Schedule-Budget-Performance) が上げられている(上記は、矢印の向く方向に強い影響を与え行動を決定させる、関係を表す)。
各要素の影響の強弱は1対1の関係(部分構造)では勝ち、負けである。拮抗状態が全体最適(継続)である各要素が正三角形の位置に配置されている状態である。
三竦み(さんすくみ)は位置関係と互いの距離によってバランスされている。「蛇」と「蛙」が一呑みで「蛞」から余裕で逃走可能な距離(状態)では成立しないという論理構造である。この状態で、3匹が逃走する為には互いに距離を伸ばす(正三角形が相似的に拡大)する状態と説明される。