ローレンス・ハーヴェイ
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ローレンス・ハーヴェイ(Laurence Harvey、1928年10月1日-1973年11月25日)は、リトアニア出身の映画俳優、監督。
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[編集] 来歴
20代後半から、俳優として活動の拠点をハリウッドに移して以降、1954年『ロミオとジュリエット』、同年『善人は若死にする』、『獅子王リチャード』などに出演して評判となり、多く重要な役がついた。端正で古風な顔立ちをいかし、重厚で知的かつインテリな役どころが多く、スマートで冷徹なことから逆手にとってライバル役や敵対者役にキャスティングされる事もあったが、現代劇、ミステリー、スパイ物から歴史、時代物まで演技の幅は広いものであった。
日本では、1968年のクールなスタイリッシュアクション作品で監督代行も兼ねた傑作『殺しのダンディー』、1972年のスリリングな逃避行劇を描いた社会派作品『亡命者』の2作品の主演で知られる。
しかし、この作品の後、胃ガンの進行により体重が激減し、元々体調不良を訴えていたがついに病状が深刻となって翌73年の暮れに45歳の若さでこの世を去った。
[編集] 刑事コロンボゲスト出演時のエピソード
死の一年前、人気シリーズ『刑事コロンボ』の「断たれた音」でゲスト出演し、耳の不自由なチェスのチャンピオンを演じ(事実、抗癌剤や鎮痛剤の影響によって聴力が衰えていたと思われる)コロンボ警部と対決していたが、撮影中は胃ガンの病状の悪化が進んでいたため、コロンボとレストランでの会話のシーンの際、食事をとっていたコロンボを前に、料理には一切、手をつけていない(演技上ではなく、本当に自身の体調で手がつけられない状況だったため)ハーヴェイの姿を見ることができ、後日談を知るファンにとっては痛々しい。「夜を見つめて」とほぼ同時並行で今作品は撮影されており、遺作となってしまった。
[編集] ドミノ
2005年、キーラ・ナイトレイ主演の映画『ドミノ』が公開された。実在した賞金稼ぎで、自由奔放に生きた女性の半生を描いた作品であったが、この主人公ドミノは、ハーヴェイの愛娘ドミノ・ハーヴェイをモデルにしたものに他ならない。幼いころ、父ハーヴェイを亡くして以後、屈折した生き様を見せた彼女の極限的な精神状態と人物交差を生々しく描くあたりをテーマとした作品だったが、この作品公開と前後して、2005年6月にドミノ・ハーヴェイ死亡説が流れ、さらに話題を呼んだことは記憶に新しい。
[編集] 作品一覧
- 熱砂の掟 1950年
- ロミオとジュリエット 1954年
- 善人ほど若死にする 1954年
- 獅子王リチャード 1954年
- 年上の女 1958年
- バタフィールド8 1960年
- アラモ 1960年
- 不思議な世界の物語 1962年
- 影なき狙撃者 1962年
- 忘れえぬ慕情 1963年
- 暴行 1963年
- 脱走計画 1963年
- ダーリング 1965年
- ブルドッグ作戦 1966年
- 殺しのダンディー 1968年
- 彼女と彼 1970年
- 亡命者 1972年
- 刑事コロンボ「断たれた音」 1972年
- 夜をみつめて 1973年
- オーソン・ウェルズのフェイク 1975年