メンソレータム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メンソレータムとはアメリカ・メンソレータム社 (The Mentholatum Company, Inc.) が19世紀に開発し、同社または同社とライセンス契約を結んだ会社が製造・販売していた塗り薬。現在は親会社のロート製薬の塗り薬を含めたスキンケア商品群のブランド名称である。
名前の由来はmenthol(メンソール)とpetrolatum(ペトロレータム、ワセリンの別名)を組み合わせからである。
塗り薬としては日本では、かつてウィリアム・メレル・ヴォーリズ率いる近江セールス株式会社(のちの株式会社近江兄弟社)がライセンス(輸入・販売権)を所持し、製造・販売していたが、後に返上。ロート製薬にライセンスが移行し、資本と技術の全面提携になった後、ついには本体のアメリカのメンソレータム社をロート製薬が買収し同社の海外拠点となった。したがって、メンソレータムは現在、ロート製薬のブランドとして使用されている。
目次 |
[編集] ブランドとしての概要
アメリカのメンソレータム社は、1988年にロート製薬の子会社となった。そのため、現在は、メンソレータムの販売権・商標権と、マスコットキャラクターのリトルナースまたはナースちゃんの使用権は、ロート製薬が独占保有している。 その結果、現在は「メンソレータム」は塗り薬だけでなく、ロート製薬のスキンケア商品群の国際ブランドとして世界中の商品のブランドのみならず、現地会社の社名やロゴマークにいたるまで使用されている。
リトルナースは、日本で近江兄弟社がメンソレータムの販売権を持っていた頃、商業デザイナーの今竹七郎氏がデザインしたもの。モデルは、当時、天才子役として世界的に人気のあった女優シャーリー・テンプルである。 リトルナースには、家族の優しさや奉仕という意味が込められている。近江兄弟社が製造・販売権を米メンソレータム社へ返還した際、リトルナースの商標権もメンソレータム社へ売却した。
[編集] 近江兄弟社メンタームとの関係
近江兄弟社メンターム(おうみきょうだいしゃめんたーむ、略称メンターム)とは、メンソレータムの販売権を会社の再建の為にアメリカ・メンソレータム社へ返上した株式会社近江兄弟社が、残ったメンソレータムの製造設備等を活用して新たに製造・販売した塗り薬。主原料や効能はメンソレータムとはほぼ同じで、容器のデザインも酷似しているが、メンソレータムが黄色ワセリンを使っているのに対しメンタームが白色ワセリンを使っているため、若干色合いが異なる。
製品パッケージの大きな違いは、シンボルだったリトルナースの代わりに、メンタームキッドが描かれているところである。
[編集] 経歴
- 1894年 - アメリカのユッカ社が開発。後にメンソレータム社に改称。
- 1920年(大正9年) - 「ヴォーリズ合名会社」解散。「近江セールス株式会社」設立。メンソレータム輸入販売開始。
- 1974年(昭和49年) - 12月24日、近江兄弟社倒産、再建の為にメンソレータムの製造・販売権を米メンソレータム社へ返還。「リトルナース」の商標も売却。
- その後、近江兄弟社は大鵬薬品の資本参加等で再建。
- 以前まで利用していた生産設備を利用し、「メンターム」販売。「メンタームキッド」登場。
- 1975年(昭和50年) - ロート製薬が日本における「メンソレータム」専用使用権(製造・販売権)取得。後に技術と資本提携。
- 1988年(昭和63年) - ロート製薬、米国メンソレータム社を買収し傘下におさめ、商標と経営権を取得。米国における同社の拠点と位置づける。
[編集] 関連項目
- 今竹七郎(リトルナースちゃんのデザイナー)
- シャーリー・テンプル(リトルナースちゃんのモデル)