ミーガン法
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ミーガン法(Megan's Law,Megan act)は1994年、アメリカのニュージャージー州で成立した、性犯罪者情報公開法。メーガン法とも呼ばれる。
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[編集] 概要
性犯罪を犯した加害者が刑期を終えた後もその情報を登録し、一般に公開する制度を規定している。
内容は各州によって差があるが、出所(仮釈放)時や転入・転出に際して、住居周辺の住民への告知が行われる。住居に性犯罪歴があることを示すしるしを掲げるよう求めている州や、累犯者に対してホルモン療法を強制する州もある。
犯罪者の社会復帰を妨げているとの批判があり、ミーガン法によって情報を公開された犯罪者の方が、そうでない犯罪者より再犯までの期間が短いとする研究もある。また、犯罪者への憎悪から住民が犯罪者に危害を加えるという新たな犯罪を招く危険性も指摘されている。
[編集] 制定経緯
1994年、ニュージャージー州で、ミーガンという少女が殺害され、犯人が過去にも性犯罪を犯していたことが判明した。これをきっかけに世論が高まり、性犯罪者の再犯率の高さを根拠として制定された。
1996年には連邦法でも規定された。
だがこの法案は、クリントン元大統領のセックススキャンダルの最中に制定されており、クリントン元大統領がセクハラ疑惑から世間の目をそらすために制定したとの意見もある。
[編集] 他国での法律
性犯罪者の情報公開は先進国においてはアメリカだけである。しかし多くの国では性犯罪者の登録制が実施されている。アメリカでは50万人、イギリスでは30万人の危険な性犯罪者が存在するという(2005年1月21日読売新聞)。イギリスは性犯罪者の登録制を実施しているが性犯罪者情報公開には警察、保護観察監がこれらの登録されている性犯罪者の管理に著しく障害が生じるとの理由で反対意見を表明している。
2004年の奈良小1女児殺害事件などを機に、日本においても導入が必要だとする意見が出されている。しかし、既に刑期を終えた人物のプライバシーを侵害し、更生の妨げになることが指摘されており、反対の意見も多い。
なお、警察庁では、暴力的な性犯罪を犯した者が刑務所を出所した後も、出所者情報を各警察署が把握し、捜査に利用してゆくことを決めた(2005年6月から実施)[1]。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
カテゴリ: 刑事政策 | アメリカ合衆国の法律 | 性犯罪 | 1994年の法律