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ミニディスク

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Disambiguationこの項目ではソニーが開発した小型録音再生メディアについて説明しています。旧西ドイツのテレフンケン社が開発したミニディスクについてはミニディスク (DAD)をご覧ください。

ミニディスク (MiniDisc) とは、ソニーがアナログコンパクトカセットを代替するために1992年に発表したデジタルオーディオ記録用の光学ディスク媒体およびその規格である。略称はMD

目次

音楽MD

初期の音楽MDの規格は"Rainbow Book"と呼ばれている。

メディア

音楽MDメディア
拡大
音楽MDメディア

音楽MDメディアは、直径64mm(2.5インチ)・厚さ1.2mmのディスクが横72mm、縦68mm、厚さ5mmのカートリッジに封入された構造になっている。このため傷やほこりが付きにくく、取り扱いが容易である。

ディスクには再生専用ディスクと録音用ディスク、ハイブリッドディスクの3種類が規定されているが、2000年代において流通しているディスクはほぼ録音用ディスクのみとなっている。

再生専用ディスクはCDと同様の構造の光ディスクで、当初はCDのように既成曲の入ったパッケージメディアが発売されていたが、普及しないまま姿を消した。

普及に失敗した原因としては、以下の要素があげられる。

  • 圧縮によりCDと比べて音質が劣るため、オーディオマニア層に嫌われた。
  • 初期はポータブル機から普及が進んだため、据え置き型のMDプレーヤーやMDデッキ内蔵コンポが相対的に普及していなかった。そのため一般層が再生専用ディスクを購入しても、外出時と在宅時で使いまわしできなかった。
  • ダブルデッキがコンパクトカセットほど広まらなかったため、複製がCDや音楽テープよりも面倒であった。
  • 多くの人々に「MDはCDをコピーして外に持ち出すことのできるメディア」として認識されたため、CDでも発売されているタイトルをわざわざMDで購入するメリットを訴求できなかった。
  • ミュージックMDのレンタルサービスが無かった。

録音用ディスクは磁界変調オーバーライト方式により記録される光磁気ディスクであり、通常はユーザーが自身で録音を行うためのブランクディスクとして販売されている。

ディスクタイプは当初60分タイプのみだったが、その後74分タイプ、80分タイプが順次発売され、3種となった。なお、この分数はステレオモードでの録音可能時間であり、モノラルモードや各種拡張モードを使って録音した場合はこれと一致しない。

ハイブリッドディスクは、再生専用エリアと録音用エリアの双方を持つ特殊ディスクである。しかし使い道がないためか、現在のところ規格書上のみの存在と化している。

フォーマット

曲情報はTOC (Table Of Contents) 領域に書き込まれる。トラックの移動・分割・結合・消去といった編集を行うこともできる。最大255トラックまで作成できる(ただし、条件次第ではもっと少ないトラック数しか作れないケースもある)。音楽データ以外に曲名などの文字情報の記録や編集、録音日時の記録などが可能である。

録音モード

録音モードにはステレオとモノラルの2種類がある。モノラル録音モードではディスク額面表記の2倍の長時間録音ができるため、会議やラジオ番組の録音などに利用される。

どちらのモードで録音した場合も、ソニーが開発したATRAC (Adaptive Transform Acoustic Coding) 符号化方式で音声の非可逆圧縮が行われる。

ビットレートは通常、ステレオ録音時で292kbps、モノラル録音時で146kbpsとなっており、これにより記憶容量が小さいMDメディアにおいてCDと同等の録音時間を実現している。

最初期のMD機器での録音ではエラー制御に容量を割いていたため、音声記録には現在の半分しか割り当てられていなかった。そのため音質が非常に悪く、MDの音質に対する悪評価が後年に残るほどの定評となってしまうという事態を招いた。

なおATRACはスケールファクターが独立しているため、録音後に音量の調整などが可能である。この特徴は一部機器が「S.F.エディット」機能として利用している。

著作権保護

MD機器には、SCMSおよびHCMSによるコピー制限が適用される。

SCMSではデジタルコピーを1世代のみに制限しているため、CDなどからデジタル録音したトラックはアナログコピーしか行えない。マイクやライン入力などからアナログ録音したトラックはデジタルコピーを行えるが、コピー先のディスクからさらにデジタルコピーを行うことはできない。

据え置き型のMD機器にはMDドライブを2つ備えたものがあり、これらは2枚のミニディスク間でトラックの転送を行えることが多い。しかしいずれもSCMSによる制限の範疇内の機能となっている。

例として1998年にソニーから発売されたMDS-W1は、MDからMDへの曲の移動のみの対応で、コピーはできない(移動元の曲は消える)。また日本ビクターのダブルMDミニコンポはコピーが可能だが、機器内ではアナログ接続されている。

一方HCMSは、CDから高速録音を行った際、一定時間(74分であることが多い)は再び高速録音できないようにしている。一定時間以内に高速録音を行うとするすると、録音を停止したり、通常速度の録音に切り替える。

編集

MDは、録音後に編集が行える。アナログコンパクトカセットと違うのは、もう1台のデッキが要らないことである。

編集モードは、曲をつなげるコンバイン(Combine)、曲を分けるディバイド (Divide)、曲順を入れ替えるムーブ (Move)、曲を消すイレース (Erase) の4つがある。なおイレースには、1曲を消すトラックイレース(Track Erase)と、全内容を消すオールイレース(All Erase)がある(後述の文字入力も、厳密には編集機能の1つである)。またコンバインはつなげる曲が同じ録音モードである必要がある。

クイック編集

ケンウッドのMD機器では、一時期クイックムーブ (Quick Move) とクイックイレース (Quick Erase) が搭載されていた。

クイックムーブは20曲までの複数曲を1回の操作で移動できるモードで、1曲目を4曲目に、続いて3曲目を7曲目に、続いて9曲目を2曲目に…といった操作が、1回の動作でできる。

クイックイレースは1度の操作で複数曲を消去できるモードで、1回の操作で2曲目と6曲目と11曲目を消す…といったことができる。

普通のムーブやイレースでは、移動または消去により曲順と曲名がずれ込む曲が出てくるが、このモードはそういった計算をしなくてすむため、便利であった。ただ、現行機(2005年時点)では採用していないと思われる。

文字入力

MDでは文字入力が可能である。これはコンパクトカセットでは不可能な機能であり、MDユーザーを増やした一因とも言われている。MDには文字領域が2つあり、半角カタカナと英数字を記録するセクタ1と、漢字やひらがなも入力可能なセクタ4がある。それぞれ、セクタ1はJIS X 0201で、セクタ4はシフトJISで記録される。セクタ1はほとんどの機器で扱える(ただし最初期はカタカナを扱えない機種もあった)が、セクタ4は対応機器が限られる。

データ領域は2332バイトあるものの、一部領域がトラック管理などで利用されるため、半角約1700文字、全角約800文字に制限される。
なお、半角カタカナも約800文字に制限される。これは、カタカナ表示ができない機器で、ローマ字に置き換えられるようにしているためである。

MDLP

2000年より導入されたMDLP (MiniDisc Long-Play mode) は、従来の音楽MD規格に2倍、4倍の長時間録音モードを追加する上位規格である。

MDLPはメーカー・ユーザーのいずれからも歓迎され、登場から数年で、市場において従来型の音楽MD機器を置き換えるに至った。

録音モード

追加録音モードはそれぞれLP2モード、LP4モードとよばれ、従来のステレオモード(MDLP対応機器ではSPモードと呼ばれる)のそれぞれ2倍、4倍の録音時間が確保できる。

MDLPにおける各録音モードと使用ディスク、録音可能時間の関係
モード名 符号化方式など CH 80分ディスク 74分ディスク 60分ディスク 額面表記比
SP-STEREO ATRAC 292kbps ステレオ 80分 74分 60分 1.0倍
SP-MONO ATRAC 146kbps モノラル 160分 148分 120分 2.0倍
LP2 ATRAC3 132kbps ステレオ 160分 148分 120分 2.0倍
LP4 ATRAC3 66kbps ステレオ 320分 296分 240分 4.0倍

LPモードの符号化方式には表のとおりATRAC3を採用し、ビットレートはLP2モードで132kbps、LP4モードで66kbpsとなっている。

LP4モードではステレオ音声の左右相関を利用して圧縮するJoint Stereoを導入することで、ビットレートの不足を補っている。これに関係してか、各LPモードにはいずれもモノラル2倍録音モードは用意されていない。また、ATRACと違いスケールファクターが存在しないため音量の調整も出来ない。

なお、これらLPモードのビットレートはSPモード (292kbps) の2分の1、4分の1より若干小さい数値になっている。これは、MDLP非対応機器でLP形式のトラックを再生した際に問題が起こるのを避けるために、各サウンドグループ (212バイト) 毎に20バイトのダミーデータが挿入されているためである。

互換性

MDLP規格で録音されたディスクはMDLP非対応機器でも認識が可能で、そのうちSPモードで記録されたトラックは正常に再生ができる。ただし、LP2・LP4モードで記録したトラックを再生すると曲名欄には「LP:」と表示され、音声が流れない。

なおMDLP対応機器は従来型音楽MDとの上位互換性を確保しているため、従来機器で記録されたディスク・トラックの再生が問題なく行える。録音も可能である。

このように、MDLPにおける互換性は比較的高いのが特徴である。これはMDLPが録音モードの追加を目的としているため、ディスク・ファイルフォーマットなどが従来のまま引き継がれたことが大きい。しかしこのことで1ディスクあたり最大255トラックという従来の制約までも引き継いでしまったため、使用法によってはせっかくの長時間録音を生かせないという問題もみられた。また、文字入力においての半角約1700文字・全角約800文字という制約も引き継いでしまい、録音曲数やタイトル長等の条件次第では全曲に曲名をつけられない問題も発生した。

グループ機能

2001年にはMDLPグループという機能が登場した。

これは、ディスク内の各曲を幾つかのグループに振り分けることで簡易的なフォルダ分けを行う機能。前年のMDLPの導入で1ディスクあたりの録音可能曲数が増えたことが、図らずもトラックの閲覧性の低下を招いており、グループ機能の導入はこの問題に対する解決策となった。

なお、この機能には以下のような制約がある。

  • 作成できるグループの数は最大で99である。各グループ名の長さによってはこれより短くなることもある。
  • 複数の曲をひとつのグループに入れる場合、それらのトラック番号は必ず連続していなければならない。もしばらけている場合はグループ化する前にトラックの並べ替えを行い、連番に直す必要がある。
  • グループ非対応機ではグループ機能は利用できず、ディスクタイトルに管理用の文字列がそのまま表示される。

実際に記録されるグループ情報は、従来から存在するディスクタイトル領域に一定の書式に従って入力された文字列である。したがって、グループ機能に対応していないレコーダーでも、タイトル入力機能があれば手動でグループ情報を入力することができる。

グループ機能の書式の例 
0;WikiMD//1-5;J_Pops//6-11;World//

この例の場合、ディスクタイトルはWikiMDとなり、1曲目から5曲目までがJ_Popsグループ、6曲目から11曲目までがWorldグループに振り分けられる。

Net MD

Net MDは、MD・PC間の音楽転送規格。2001年6月27日ソニーによって発表されたこのシステムは、当時流行の兆しを見せていたUSBメモリを記録媒体とするシリコンオーディオプレーヤーのように、PCの音楽を転送して持ち出すスタイルをMDに持ち込んだ。

MD機器とPCの接続にはUSBを使用し、MagicGateで認証。OpenMGで暗号化したデータをPC・MDに相互転送する。Net MD機器でのMDへの録音・転送はATRAC3もしくはATRACとなるため、従来のMDLP対応機器で問題なく再生できる。ただし、編集は一部制限される。

2005年現在、Net MD対応機器は各メーカーの上位機種が主となっている。

Hi-MD

Hi-MD(ハイエムディー)は、高音質化や長時間録音、PCとの親和性向上など多岐に渡る拡張がなされた規格。2004年1月8日ソニーによって発表された。音楽MDの拡張規格という形がとられているが、PCデータや写真などの保存も想定されている。

以前の音楽MD・MDLP・Net MDからの主な変更点や特徴は次の通り。

  • 新たに発表された大容量ディスクを使い、最大45時間もの超長時間録音ができる。
  • 従来のディスクはHi-MD用に初期化することで、以前の2倍の容量で利用できる。
  • 48kbpsから352kbpsまでの、幅広い用途に使える圧縮録音モードが追加された。
  • MDでは初となる、44.1kHz、16ビットリニアPCMによる非圧縮録音モードに対応した。
  • 録音したトラックをPCに吸い出せるようになった。
  • PCからミニディスクをストレージメディアとして利用できるようになった。
  • 別売りのHi-MD専用カードリーダーを使用して、HI-MDモードのディスク(従来MDを初期化したものを含む)へ画像データの転送ができる。

また、2005年3月2日には規格拡張が発表された。

  • DCFExifをベースにした写真管理用規格Hi-MD PHOTOを追加。
  • これにあわせ、音楽用規格の名称はHi-MD AUDIOに変更。
  • Hi-MD AUDIOの対応コーデックにオプション扱いでMP3を追加。

Hi-MDは従来のMD機器をベースに、普及が拡大している記録装置内蔵型MP3プレーヤーへの収斂を試みた規格と考えられている。しかし規格発表と同じ2004年にはソニーもHDDタイプのウォークマンを投入、その後は専らそちらに力を入れるようになった。ソニー以外のメーカーでHi-MD製品を投入しているのはオンキヨーなど数社であり、MDLPやNet MDほどの成功は得られていない。

メディアとフォーマット

Hi-MDフォーマットでは信号処理技術が変更されたことで高密度化され、従来に比べ大幅な大容量化を実現している。

80分、74分、60分の従来型ミニディスクは、Hi-MDフォーマットで初期化することで2倍の容量を持たせることができる。例えば80分ディスク (177MB) は、Hi-MD機器で初期化すると305MBの容量になる。

一方で、Hi-MDフォーマット専用の大容量ディスクも追加された。このディスクは1GBの容量を持ち、Hi-MD AUDIOの最低音質 (48kbps) では45時間の録音ができる。発売当初の価格は1枚700円前後。

ただし最低音質の48kbpsは音楽としては実用的なビットレートではない。音楽の場合最低64kbpsほどは必要と思われるため、48kbpsはラジオ録音などの用途向けといえるだろう。

ファイルシステムにはFATを採用。パソコンからMODVD-RAMUSBメモリのように、大容量の外部記憶メディアとして手軽に利用できるものとなった。なおHi-MD AUDIO機器から利用される音楽トラックもFAT領域に格納されているが、PCからは不可視の"Proprietary Area"に記録された情報により暗号化されているため、PC上での再生・コピーを正常に行うことはできない。

Hi-MD AUDIO

録音モード

Hi-MD AUDIOでは多くの録音モードがサポートされ、幅広い用途に対応できるようになった。しかし録音操作の複雑化を避けるためか録音モードの多くはPCからの転送のみの扱いとなり、Hi-MD機器本体のみで録音できるモードは3モードに絞られている。

また、MD創生期から利用されていたATRACの両モード(292kbps、146kbps)は廃止となった。このため、Hi-MD機器でこれらのモードを利用したい場合には従来フォーマットでディスクを使う必要がある。

Hi-MD AUDIOが対応する録音モードは以下のとおり。

  • ATRAC3plus 352kbps、256kbps、192kbps、64kbps、48kbps
    256kbpsはHi-SPモード、64kbpsはHi-LPモードと呼ばれ、Hi-MD機器単体で録音ができる。
    一方で352bps,192kbps,48kbpsにはモード名が無く、録音手段はPCからの転送のみとなっている。
  • ATRAC3 132kbps、105kbps、66kbps
    いずれもPCからの転送のみ対応。132kbps、66kbpsはMDLPで導入済みだが、105kbpsはHi-MD AUDIOで新たに追加された。このビットレートは従来からネットワークウォークマンなどで利用されていたがMDには導入されていなかったため、使いまわしに難があった。なお、ビットレートという概念が一般的になったためか、132kbps、66kbpsの呼称として従来使われていたLP2、LP4というモード名は基本的に廃止されている。
  • リニアPCM(1.4Mbps)
    従来のMDはどの録音モードでも必ず非可逆圧縮がかかっていたため高音質を求める層には敬遠されていたが、今回無圧縮モードが追加されたことでそれらの層にもアピールできるようになった。
    また、これにあわせてソニーからは、Hi-MDの音声トラックをPC上で汎用のWAV形式に変換するWindows用のソフトウェアWAV Conversion Toolが無償公開された。なお、現在この機能はSonicStageに統合されている。
    なお変換元トラックの録音モードはPCMに限らずどれであっても問題ないが、いずれの場合でもディスクがHi-MDフォーマットのみに限定されている。
  • MP3 32kbps~320kbps
    2005年春の規格拡張で追加されたコーデック。サンプリング周波数は44.1kHz、ビットレートは32~320kbps(固定・可変両対応)とされている。PCからの転送においては、他のコーデックと同様にSonicStageなどの専用ソフトウェアで暗号化を行う必要がある。
    なお、このコーデックはオプション扱いであるため、2005年春以降のすべてのHi-MD AUDIO機器が再生に対応するわけではない。
Hi-MDにおける各録音モードと使用ディスク、録音可能時間の関係
モード名 符号化方式など 録音手段 1GBディスク 80分ディスク 74分ディスク 60分ディスク 備考
PCM リニアPCM 1.4Mbps 本体・PC 約1時間34分 約28分 約26分 約21分 MD初の無劣化モード。
Hi-SP ATRAC3plus 256kbps 本体・PC 約7時間55分 約2時間20分 約2時間10分 約1時間45分  
Hi-LP ATRAC3plus 64kbps 本体・PC 約34時間00分 約10時間10分 約9時間25分 約7時間40分  
名称なし ATRAC3plus 48kbps PCのみ 約45時間00分 約13時間30分 約12時間30分 約1時間45分  
(旧・LP2) ATRAC3 132kbps PCのみ 約16時間30分 約4時間50分 約4時間30分 約3時間40分  
名称なし ATRAC3 105kbps PCのみ 約20時間50分 約6時間10分 約5時間40分 約4時間40分  
(旧・LP4) ATRAC3 66kbps PCのみ 約32時間50分 約9時間50分 約9時間00分 約7時間20分  
名称なし MP3 128kbps PCのみ 約17時間00分 約5時間00分 約4時間30分   MP3対応機種のみ再生可能。
これ以外にも多くのレートが利用できる。

互換性

Hi-MD専用ディスクは従来の音楽MD・MDLP機器からは一切の認識・再生が出来ず、Hi-MDフォーマットで初期化された従来ディスクは、ディスク名がHi-MD DISCと表示されるだけで、編集や再生はできない。一方、Hi-MD AUDIO機器側では従来の音楽MD・MDLP規格との上位互換性を確保している。このため従来規格で録音されたディスクの再生(従来規格での録音は一部機種のみ)が可能となっている。

Hi-MD PHOTO

Hi-MD PHOTOは、2005年春のHi-MD規格拡張の際に発表された画像記録用規格。

ベースはデジタルカメラのアプリケーションフォーマットとしてデファクト・スタンダードとなっているDCFExifだが、独自にサムネイル用キャッシュファイルの仕組みを追加することで画像閲覧の高速化を図っている。

この規格の発表と同時に、対応機器の第1弾であるHi-MDウォークマン「MZ-DH10P」が発表された。この機種は約130万画素のCMOSカメラと1.5インチのカラー液晶を内蔵しており、撮影した画像はHi-MDへ記録される。 また、Hi-MD AUDIOにも対応しているため、音楽再生中に写真をスライドショー再生する機能や内蔵カメラでCDなどのジャケットを撮影してHi-MD AUDIOトラックのジャケット画像として登録する機能なども用意されている。

MD DATA

音楽用MDの数年後には、MDをデータ記録用に活用するMD DATAも開発された。容量は140MBで、ファイルフォーマットには特定のOSに依存しない独自のものを採用していた。

容量が当時の3.5インチMOと同等だったことやコンパクトさから普及が期待されたが、読み書き速度が極端に遅かった(150KByte/s)ことや、安価な音楽用ディスクではなくMD DATA専用ディスクしか利用できなかったことなどから敬遠され、PC用メディアとして普及することはなかった。

PC用ドライブはソニーが1993年7月に発売したSCSI接続のポータブル型ドライブMDH-10が唯一の存在で、このドライブは通常のポータブルMDプレーヤーとしても利用ができた。

一方、PC以外ではソニーの自己完結型スキャナDATA EATAや、ヤマハのマルチトラックレコーダーMD4S、MD8、デジタルカメラなど多岐に渡る製品で利用され、一部には現在でも使用されているものもある。

また、MD DATAで画像を扱うための規格としてPicture MDがある。この規格の採用製品はデジタルカメラが主で、ソニーのMDサイバーショット (DSC-MD1) やシャープのMDデジタルビューハンター (MD-PS1) などがある。

なおPicture MD規格で規定された要素はMDを使用しないタイプのソニー製デジタルカメラにおいてもそのまま流用され、初期のサイバーショットではPicture MD規格準拠の画像形式(JPEGベース、拡張子pmp)が使われていた。

MD DATA2

1996年末、容量を650MBに大容量化し、転送速度を9.4Mbpsに高速化したMD DATA2が発表された。

1999年末に発売されたMDビデオカメラMD DISCAMで初採用され、映像記録にMPEG-2、音声にATRACを利用し、動画は最大20分、静止画約4,500枚、音声最大260分が記録できた。

MDのランダムアクセス性を生かしたカメラ単体でのノンリニア編集10BASE-TによるPCとの連携に対応するなど意欲的なカメラだったが、後継機種が出ないまま市場から消えていった。

製品としては一世代限りのものとして終わったが、この製品がビデオカメラの世界に持ち込んだディスクの利便性は、後にDVDビデオカメラとして花咲くことになる。

流通性

CDが全世界に通用するメディアとして広まっているのに対し、MDは日本のみで流行ったのみである(米国等外国はポータブルCDプレイヤーが流通している)。 そのため、外国向けに発売されるオーディオ機器にはMDドライブは搭載されておらず、CDとカセットテープが主流である。

関連項目

外部リンク

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