マヨット
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マヨットは、フランスの海外準県(仏語でcollectivité départementale d'outre-mer)である。アフリカ大陸南東、マダガスカル島との間のモザンビーク海峡に浮かぶコモロ諸島に属する島である。コモロ諸島の最も南東に位置する。マヨット島を除く他の島々は独立国家コモロ連合であり、同国はフランスに対しマヨット島の領有及び返還を主張している。
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公用語 | フランス語 | ||||
首府 | マムズ | ||||
面積 - 総計 - 水面積率 |
世界第x位 374km² 極僅か |
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人口 - 総計(2004年) - 人口密度 |
世界第x位 186,026人 497人/km² |
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GDP (PPP) - 合計(2003年) - 1人当たり |
世界第x位 4億6,680万ドル 2,600ドル |
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通貨 | ユーロ (EUR, €) ¹ | ||||
時間帯 | UTC +3 | ||||
ccTLD | .YT | ||||
国際電話番号 | 269 | ||||
注2 : 1999年までの通貨は、フランス・フラン (₣) |
目次 |
[編集] 領名
フランス語名は、Mayotte(マヨット)。英語読みでは、マイヨット。
フランス領となる以前からの伝統的名称は、Mahoré(マオレ)で、この島の帰属を主張するコモロは、こちらで呼んでいる。
日本語の表記は、マヨットが最も多く、マイヨット、マホレ、マオレとも書かれる。
[編集] 歴史
1843年、フランスは、海賊の被害に悩まされていた島民の要請に基づき、この島を属領としていたマダガスカルの王からこの島を買収してフランスの保護領とし、その後、他のコモロ諸島と共に植民地とした。1912年7月25日、コモロ諸島植民地は、フランス領マダカスカルに併合。第二次世界大戦中は、マヨット島にイギリス海軍の基地が置かれた。1946年に自治領になり、1958年にマダガスカルがフランス共同体の自治共和国になったため、コモロ諸島はフランス海外領土となり、1961年に内政自治権が認められた。1962年、コモロ諸島の首府がマヨット島のザウジから、グランドコモル島のモロニへ移転された。1974年12月22日に、コモロ諸島全域でフランスからの独立に関する住民投票が行われ、独立賛成が多数を占めたが、唯一マヨット島のみが反対票が多かった。そのため、マヨット島の処遇についてフランス政府とコモロ自治政府で話し合いがもたれたが、結論が出る前の1975年7月6日に、マヨット島を含むコモロ諸島全体について独立を宣言した。これに対して、マヨット島では、1976年2月8日及び4月11日に再度住民投票を行い、フランス残留と自治権拡大について賛成多数となり、フランス政府はこの結果を受諾した。そのため、コモロは国連に裁定を委ねた。10月21日国連総会は、住民投票におけるフランスの不正の疑いが強いことを理由に、マヨット島のコモロ帰属を決議した。しかし、フランスはこの決議には従わず、自治権を拡大するため、12月1日にマヨットを領土的共同体とした。さらに、フランス本土で地方分権化がすすむのにあわせて、海外県・海外領土への権限移譲を推進するため、2000年7月の住民投票での賛成を経て、2001年7月11日に実験的な制度である海外準県になった。
[編集] 政治
海外準県 (collectivité départementale d'outre-mer) は、県と類似した地方公共団体である。
自治体の長である知事は、地方議会議員による互選で選出された議長が兼任する。任期は6年。中央政府と地方自治体との調整役として、大統領が任命する長官が置かれる。
地方議会は、全19議席。任期3年で、住民の直接選挙で選出される。また、マヨットの住民は、フランスの上院と下院にそれぞれ1名の代表を送ることが認められている。
[編集] 地理
マヨット島(マホレ島)は、コモロ諸島の南東端に位置する。本島(通称、グランドテール: 「大島」)とパマンジ島(通称、プチトテール: 「小島」)、その他周辺の小島及び珊瑚礁で構成されている。本島は、コモロ諸島の中で地質学上最も古くに形成された火山島である。火山岩のため、土壌は肥沃である。
島全体を珊瑚礁が包囲するため、その内側の海は穏やかで、漁船および軍艦の待避港として役立っており、また、マリンスポーツにも適している。
[編集] 経済
肥沃な土壌に恵まれているため農業を中心にして、漁業、畜産が行われている。しかし、狭い耕地を輸出用作物に割いてしまっているため自給自足はできず、食料需要の大部分をフランスからの輸入に依存している。また、交通が不便なため、観光業は不振である。
輸出されている農作物は、バニラ、イランイラン、コーヒーなど。
[編集] 住民
ムスリム(イスラム教徒)で占められる周辺のコモロ諸島の他の島々やマダガスカルに比べ、マヨット島にはカトリックが多いと言われるが、住人の大半がムスリムであることに変わりはない。
公用語のフランス語を話すのは住民の約3分の1。マダガスカル語やスワヒリ語の方言、コモロ語などが話されている。
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