マグネトロン
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マグネトロン (magnetron) は真空管の一種で、電波の一種である強力なマイクロ波を発生する。 レーダーや電子レンジに使われている。
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[編集] 構造と動作
マグネトロンは他の熱電子管と同様、加熱されたフィラメントによる陰極(カソード)と陽極(アノード)からなる。
カソードは管の空洞の中央にあり高圧の直流あるいは高周波の電圧がかけられている。 また管には永久磁石などで強力な磁場がかけられており、管の周囲に規則的に設けられたキャビティという小さな空洞を電子流が通過する際に強力な高周波発振が発生する。 それを導波管を通じて取り出すことで各種の利用が可能である。
[編集] 応用
マグネトロンが発生するマイクロ波はさまざまであるが、電子レンジなどもっとも一般的に使用されている周波数は2.450GHz(ISMバンド)である。電子レンジによる加熱の原理は、水分子は極性分子であるため水分を含む物質にマイクロ波をあてるとその周期に従い分子が振動し摩擦熱が発生することを利用したものである(マイクロ波加熱参照)。
また、発生するマイクロ波は強力であり、直進性もあるのでその反射の強度と方向を受信することで、離れた地点の物体の質や方向の探知を行うことが可能であり、この装置をレーダーという。
[編集] 歴史
最初のものは1927年、東北帝国大学の岡部金治郎博士により開発された。
その後1940年代、第二次世界大戦でのマイクロ波レーダー開発を目的として主に英国で大きく進化し、その技術が米国にももたらされて大発展し、連合国側の勝利に貢献することになる。日本のレーダーは大きく出遅れ、実用領域に達したのは終戦近くになってからだった。
現在でもレーダーに使われているが、当初予想もされなかった用途である電子レンジ用に大量生産されている。