ブルセラ
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[編集] 意義
ブルセラとは、ブルマーやセーラー服等を含めた、女性が着用した後の衣類をいう。
90年代まで学校教育機関で多く体育授業用として採用されていた「ブルマー」の「ブル」と、学校教育機関で制服・標準服として採用されることのある「セーラー服」の「セ」「ラ」を単純に構成した、合成語である。
[編集] ブルセラをめぐる諸概念
「ブルセラ」をめぐる諸概念には、さまざまなものがある。
[編集] 「ブルセラショップ」
例えば、「ブルセラショップ」は、使用済みのブルマーなどの体操服やセーラー服などの制服等を販売する店をいう。
この店は、単にブルマーを販売する体操服販売店や、セーラー服を販売する制服販売店とは異なる。この店にくる客は、販売された制服を着用して学校教育機関に通うことをしたり、体操服を着用して体育授業を受けることは少ない。むしろ、制服や体操服を本来の用法外で使用する目的で購入する客が多い。
[編集] 販売されている物
通常、以下のような着用済み衣類である。
- 「ブルセラ」とされている、ブルマーやセーラー服のみならず、体操服やブレザーの制服や、水泳授業で用いられるスクール水着・スポーツ用サポーターが販売される。
- また、これらの学校教育機関で用いられる衣類のみならず、日常生活で女子中高生が着用するショーツ・ブラジャーなどの下着や、ルーズソックスなどの靴下、普段着や外出着などの衣類も販売される。
- また、衣類でも、着用済み衣類でないものが販売される場合もある。
- さらに、衣類でなくとも、経血の付いたナプキンやタンポンなどの生理用品、陰毛や、陰部を拭いて恥垢などの付着しているウエットティッシュや、唾液や尿・糞便が販売される場合もある。
- さらに、化粧品・香水・筆記用具・かばんなど日用品も販売される場合もある。
当時、ブルマーは3000円から7000円程度、水着・制服は3000円から10000円程度、下着は2000円から6000円程度で販売されていたとされる。
これらは、本来の用法を目的として客が購入するものでない場合が多い。多くは性的目的である。
つまり、着用済みの制服や体操服・普段着・外出着を近く触れることで、日常では近づけない女子中高生に接触しているという印象を抱き、性的に興奮するものである。また、女子中高生が着用したショーツやブラジャー・水着・サポーター・ナプキン等生理用品等に触れることで、性器や胸に密着した部分を見たり触れたりにおいを嗅いだり舐めたり着用したりして性的に興奮するものである。さらに、陰毛・尿・糞便は性器などの陰部から排出されるものであるから、同様に性的に興奮させるものである。
[編集] 取引形態
ブルセラショップでは取引形態は、買受形態、受託・あっせん形態の二類型に分類される。
- 買受形態
買受形態では、女子中高生からブルセラショップが制服体操服下着等を買いうける。女子中高生はその後の客との取引には関わらない。このために、女子中高生は売買契約が成立したのか否かを問わず、ショップに買い受けられた時点で代金を受けることができる。
商品を買受けて入荷したショップは、商品に値をつけて店舗において客に対して販売したり、客との交渉の中で商品の値を決定し売買する。
この場合に特徴的なのは、客は女子中高生と直接取引関係に立たないために、別の女子中高生の商品を購入している危険を負ったり、さらには女子中高生でない女性が使用した商品・男性が使用した商品や、ひいては使用済みでない商品を購入している危険を負ったりする点で、商品の価値を見誤る可能性がある。 また、女子中高生としては客と直接交渉することで、より高い価値をつけるための交渉をすることができず、本来の価値よりも低い価格でショップに買い受けられてしまう可能性がある。 しかし、ブルセラショップで商品を買受取引に立っていることは、性的な商品を取引するものであることから、このような破廉恥な行為を通っている学校や親などに知られる危険も同様に負っているものである。とすると、女子中高生がショップとのみ取引関係に立ち、広く客と取引関係に立たないことで、破廉恥な行為を知られる危険を負わずに済むという特徴もある。
- 受託あっせん形態
あっせん形態では、女子中高生からブルセラショップが制服等を買い受けることをしない。むしろ、女子中高生が販売する場を提供したり、購買する客を女子中高生に紹介したりすることで、売買取引をあっせんすることになる。
女子中高生が販売する場を提供する場合は、女子中高生が店舗内で直接客に姿を見せたり写真を通じて客に姿を見せたりして、客はどの女子中高生の商品を購入するかを意思決定することが多い。このとき、客は女子中高生に商品の代金を支払い、店舗内で商品の引渡しを受けることになる。そして、ショップは女子高生が客から受けた代金の中から一定の金額を受けて、販売の場を提供したことの対価を受ける。
また、購買する客を女子中高生に紹介する場合は、女子中高生が店舗内で客に姿を見せるに否かに関わらず、どの女子中高生の商品を購入するかを意思決定した客が、店舗外で商品の代金を支払いと商品の引渡しを受けるものである。このとき、店舗は予め女子中高生からあっせん料の支払いを受けている。
これらの売買契約成立時やあっせん契約成立時と、代金支払い時や目的物引渡し時、あっせん料支払い時は前後したり、取引の場所が異なる場合はあり、さまざまなケースがある。
いずれの場合にせよ、受託あっせん形態において特徴的なのは、女子中高生が売却利益を受けるのは、客との売買契約が成立した時点においてである点で、女子中高生は売買契約成立が無い場合の危険を負担する点である。 また、受託あっせん形態の特徴としては、女子中高生は客と直接取引に立つ点である。この取引形態であれば、客はどの女子中高生の商品であるのかを直接知ることができて、買受形態のように商品の価値を見誤ることは少ない。例えば、商品がショーツであれば客はその女子中高生が直接脱ぐ姿を見ることができて、別の女子中高生のものであったり使用済みでない商品でないことを確実に知ることができる。 また、女子中高生が客と直接取引関係に立つことで、商品がより高い価値であることを客と交渉することができる。これは、客としても、女子中高生本人と接触したり、制服・下着・体操服を脱ぐ姿を見ることができる点で、単に商品の引渡しを受けるだけである場合よりも高い価値であると考えることができて、より高い代金の支払いをする動機付けとなる。
[編集] 「ブルセラ女子中高生」
上記「ブルセラショップ」に出入りする女子中高生を「ブルセラ女子中高生」と呼ぶ場合がある。
[編集] 女子中高生が利益を上げる目的
女子中高生は、ブルセラショップでの取引を、専ら容易な経済的手段としての目的であると考えた。
自らの有する衣類等をショップに販売することで利益を上げ、その利益を娯楽やファッション等のために使用することが多い。つまり、利益を貯蓄することはなく、短期的に極めて多額を、彼女らの本分である進学や就職以外の目的にしようすることが多い。(もちろん少数ではあるが例外も存在する。)
[編集] 女子中高生の取引の動機付け
衣類等は、使用することで使用する前よりも本来は価値が下がるものであるところ、価値磨耗分が無視された金額が取引額とされ、むしろ使用前の価値よりも上がった金額が取引額とされることが多い。
自らの有する衣類を販売すると、本来自らが使用することができなくなるという困難にもかかわらず、それ以上に利益を上げることができるために、その利益によって元の衣類と同様の商品を購入し、それ以上の余剰額を娯楽等に利用することができるのである。
また、制服や体操服・水着・普段着・外出着等は、使用前もそれなりの対価を支払わねば手に入らないものであるが、ショーツのような下着は女子中高生がそれなりの対価を支払わずとも安価に購入することができる。このため、安価にショーツを購入し、価値磨耗分に比べて異常な高額で買い取られるために、利益を上げることができることになる。このため、ブルセラショップで取引される商品の多くが、ショーツとなった。このショーツは、客にとっても陰部に直接触れ膣分泌液や尿・経血等が付着していることから、高い価値で取引された。
さらに、使用済み生理用品等や陰毛・尿・糞便は、本来取引価値がないはずである。これが、ショップでは価値がつけられたために、女子中高生はこれらを取引する動機付けとなった。特に陰毛・尿・糞便は、自らの身体から排出されるものであるから、初期資本を一切投下せずに利益を上げることができるために、一層拍車をかけた。
[編集] 時代の変遷
[編集] ブルセラ世俗の加熱
ブルセラ産業は、1990年代に東京・神奈川などの関東圏、大阪・神戸・京都などの関西圏、名古屋などの東海圏を中心とした大都市に始まり、仙台・札幌・福岡の地方都市に広がって行った。
この産業は、本来価値の希薄な商品を高額で取引されるという女子中高生や店の利害、そして安価にかつ容易に自己の持ち物等を販売できるという女子中高生の利害、普段接触できない女子中高生と接触したりショーツなどの性的意味合いを持つ商品に価値を見る客との三者の利害が合致したために、急速に繁栄した。
この繁栄はますます加熱する。例えば、ブルセラショップの取引物となったショーツを引き渡す際に、女子中高生が客の前でショーツを脱ぐ場合に、客がその姿や陰部を写真撮影・映像録画させる場合もあった。
さらに、より高額な娯楽等の費消を目的に、下着姿や全裸姿を撮影・録画する場合もあった。客と食事をしたり遊ぶといった擬似交際に出たり、性交や性交類似行為に及ぶ形態の擬似交際にまで出る、援助交際にまで及ぶ者もでる。
[編集] 検挙・法規制
この産業は、ブルセラ商品の販売を目的としているが、実情としてはそれ以外の非行的側面が強い。
このために、1993年8月、警視庁は古物営業法違反容疑でブルセラショップを初めて摘発した。「一度使用された物品」を販売等する古物営業には、「許可」(同法3条1項)を受けなければならないとされているが、この許可を受けない場合、「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金」(31条)の罰則が科せられる旨規定されている。
この後も、「許可」を受けて古物営業を続けたり、頻繁に営業場所を変えて許可を受けることなく営業を続ける者も現れた。
本来、古物営業法は、盗品の売買の防止や速やかな盗品の発見を目的として規定されているため、ブルセラ業者による青少年の非行等を抑止することを目的とする法規定ではない。これを正面から規制するには、別途法又は条例によって規制することがあることから、2004年に、全国の都道府県において条例が改正された。
例えば、東京都青少年の保護育成に関する条例の、第15条の2は1項で「何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。以下この条において同じ。)を買い受け、売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。」と規定し、2項においては、「何人も、前項に規定する行為が行われることを知つて、その場所を提供してはならない」としている。 これらの行為の罰則として、第24条の4第1号において、「業として」着用済み下着の買受・売却受託・売却あっせんをした者、2号で、そのための場所を提供した者は、「五十万円以下の罰金に処する。」とされている。また、第26条では、業としてではなく、着用済み下着の買受・売却受託・売却あっせんをした者を、4号において「三十万円以下の罰金に処する。」としている。
この状況において、女子中高生などの「青少年」の下着を、ブルセラショップや女子中高生自身から直接購入することができない状況となった。そのために、使用済み衣類等は、「青少年以外」の下着をショップや女性から直接購入することのみに限られることとなった。
[編集] 近年の状況
以上の法規制の状況から、「ブルセラショップ」や「ブルセラ女子中高生」は、過去の遺物となったとされている。このために、このようなブルセラ産業等が繁栄した時期に中学生・高校生の時期であった女性や人を「ブルセラ世代」と呼ばれている。
また、法規制の網を潜脱して、依然として使用済み衣類等を販売して利益を上げるために、女子中高生がインターネットや携帯端末を利用した掲示板やサイトに販売する旨を書き込むなどして、直接客に対して販売する例もある。また、ブルセラショップが繁栄した時代は、使用済み商品等は中高生のものであったが、小学生にまで商品の範囲を広げているというケースも見受けられる。
さらに、ブルセラ時代には、ブルマーに性的な意味合いを持たせたり、女子中高生が容易に販売して不労利益を上げるという状況を生み出したブルセラショップの繁栄があったことから、学校教育機関において体育授業に用いられる衣服としてブルマーが使われなくなった原因のひとつとされる。