フェイザー
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フェイザー(Phaser、フェーザー)とはアメリカのSFドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空の兵器で、「位相変換型エネルギー兵器」の総称。「Phaser」は「位相エネルギー整流作用」(PHASed Energy Rectification)の略称とされている。
ノベライズの「宇宙大作戦」シリーズの初期~中期にかけては、「位相光線砲」「位相光線銃」と訳されていた。中期~後期にかけては「位相光線砲」の表記に「フェイザー」の振り仮名が、現在のスタートレック作品では「フェイザー砲」と訳されている。
原理はタージオンやグルーオンといった原子間核力を伝達する素粒子の一種のナディオンという架空の素粒子を制御することによって起こるRNE(Rapid Nadion Effect)という反応によるものであり、対象物を原子未満のレベルで破壊する能力がある。
惑星連邦のフェイザーはビームタイプの調整が可能という設定で、大きく分けて「麻痺」「加熱」「破壊」の3種類で使用できる。また、その規模により個人携帯用のタイプ1から艦載用のタイプ12まで存在する。
携帯用のフェイザー銃(ハンドフェイザー)ですら、最大出力で照射すればビルや巨大な岩石を吹き飛ばすほどの破壊力を持ち、ギャラクシー級の宇宙艦に搭載されるようなタイプ10以上のフェイザー砲にいたっては一撃で惑星表面の広範囲を焼き払うことができ、ビームを収束させれば惑星の地殻をいとも簡単に撃ち抜くことが可能であるという。
22世紀半ばを舞台とする『スタートレック:エンタープライズ』の深宇宙探査艦NX-01エンタープライズには、「フェイズ砲」という兵器が搭載されている。これは(phase modulated energy weapon)といい、フェイザー砲のような位相エネルギー兵器の初歩的なものだと考えられる。NX-01の機関クルーが敵対勢力に対抗するために完成させたこの兵器は一砲門あたり500GJの出力を持ち、月に似た無大気の惑星で発射実験を行ったところ、エイリアンの妨害工作でオーバーロードを起こし、マッキンレー山ほどの山(標高6200m)を跡形も無く消し飛ばした。 その結果、オーバーロードの反動でエンタープライズにも相当な被害を被った為、実際は前述より威力は低い