フィラデルフィア染色体
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フィラデルフィア染色体(—せんしょくたい; Ph染色体)とは、慢性骨髄性白血病および一部の急性リンパ性白血病に見られる染色体の異常。22番染色体と9番染色体間での転座によって、c-ablとbcrという遺伝子が融合し、異常な蛋白質を生じる。造血幹細胞を無制限に増殖させるようになる。以前は急性リンパ性白血病や急性期転化した慢性骨髄性白血病の強力な予後不良因子であった。
[編集] 分子標的薬
この染色体により作られる酵素(abl-bcrチロシンキナーゼ)の働きを特異的に抑える分子標的薬が開発された。グリベック(一般名イマチニブ)である。この薬は2001年に慢性骨髄性白血病の治療薬としては認可されたが、急性リンパ性白血病に対しては未認可である(2006年11月現在。2005年12月追加適用申請、2006年9月EUで承認、2006年10月米国で承認)。また、グリベックに耐性をもつフィラデルフィア染色体陽性白血病に対して新たにスプリセル(一般名ダサチニブ、2006年7月米国で承認)・Tasigna(一般名ニロチニブ)などが開発されている。
[編集] セカンドオピニオン
もし、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 (Ph+ALL) と診断され予後不良と言われた場合は、セカンドオピニオンとして他の医療機関の医師の見解も聞くべきである。地域の癌拠点病院といえども認可された範囲内でしか治療できない場合があるからである。医療機関の選択の目安としては骨髄移植(造血幹細胞移植)の実施例の多い病院、あるいはJALSG(日本成人白血病研究グループ)標準に基づく治療を行っているという病院がよい。