バンパイヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウィキポータル |
日本の漫画作品 |
日本の漫画家 |
漫画原作者 |
漫画雑誌 |
カテゴリ |
漫画作品 |
漫画 - 漫画家 |
プロジェクト |
漫画作品 - 漫画家 |
『バンパイヤ』は、手塚治虫が「週刊少年サンデー」及び「少年ブック」に連載した漫画作品。特撮テレビ番組化もされた。
目次 |
[編集] 漫画
週刊少年サンデーに連載された第1部では、動物に変身する能力を持った「バンパイヤ」一族のトッペイ少年(本名は立花特平)と、世界を支配しようという野望を抱き、トッペイを利用しようとするロック(間久部緑郎)の確執、さらにロックと結託して世界に「バンパイヤ革命」を起こそうとするバンパイヤたち描く。手塚治虫本人がこれまでに無く重要な登場人物となっているのが特徴である。
第2部は少年ブックに連載。ロックが、人間に変身するウェコという動物を使って再びこの世の支配を目指す物語。
[編集] 第1部
「週刊少年サンデー」に1966年第23号から1967年第19号まで連載された。動物に変身するという理由だけで化け物扱いされ人間たちに迫害され続けてきた一族の復讐を果たし、新たにバンパイヤの支配する世界を作るため蜂起するバンパイヤたちの物語。そこに悪魔のように知的で冷酷な少年ロックが絡み、事実上の主人公として描かれる。
トッペイは、月が出ている時に感情が高ぶると狼に変身する「狼男」で、木曽の山奥の集落でバンパイヤの「夜泣き一族」として母と弟のチッペイと暮らしていたが、行方不明の父親の探索、それにアニメーターになりたいという夢を持って村から抜け出し、手塚治虫の下(虫プロダクション)で働くことになった。だが、ある夜手塚治虫に正体がばれてしまう。手塚は、親友で怪奇現象の研究家でもあった熱海教授に相談するが、教授はトッペイを研究しようと無理やり狼に変身させ、逆にトッペイに追われてがけから落ち、事故死してしまった。
その様子を目撃したロックは、熱海教授事件を楯にトッペイを悪事に利用しようとする。ロックは、3人の老婆の占い師から、「世界の支配者になれる。人間にも動物にも倒されることはない」と予言され、それを信じて悪事を重ねたのである。トッペイは変身してロックを襲うが、古井戸に落ちてロックに助けられ、いやいやながら命の恩人ロックの命令を聞く羽目になってしまった。ロックは、なんと孤児であった自分を引き取ってくれた恩人である大富豪大西氏の娘ミカを誘拐して身代金を強奪することを計画、トッペイにミカの誘拐を手伝わせる。ロックに命令され、警視庁の下田警部の追跡も振り切って身代金を奪い、指示された寺院に逃げ込んだトッペイは、そこで父とその助手の岩根山ルリ子に出会う。父の立花博士は、世界中のバンパイヤを結束し、人間からの不当な抑圧から解き放つための「バンパイヤ革命」を計画していたのだった。トッペイを追って来た警官隊の銃撃を受け、父はトッペイの身代わりになって死に、トッペイとルリ子は脱出する。
手塚治虫はロックが山口県の秋吉台で大西ミカを殺害するのを目撃するが、逆にロックに追われて鍾乳洞に逃げ込み、バンパイヤたちの集会場に迷い込む。バンパイヤたちが革命のために会議を開いていたのだ。ちょうどルリ子に連れられてきたトッペイのおかげで手塚は釈放されるが、途中で再びロックに出会い、自動車に乗せられたまま谷底へ落とされる。さらにロックは、自分が大西家の財産を譲られることを知り、大西夫婦を交通事故に見せかけて殺害してしまった。その上、彼をバンパイヤだと信じる岩根山ルリ子を通じてバンパイヤたちをも味方に付け、自分の屋敷を改造して彼らの基地に提供する。トッペイは、そんなバンパイヤたちの行き方に反対し、ロックを下田警部に告発するが、ロックは警部をも殺してしまった。警部の死に際にロックのことを聞いたおじのヒゲオヤジは、早速ロックを追い始める。
ロックは、丸薬状で飲み込むと体内で爆発する丸薬爆弾で政府要人を爆殺し、いよいよ野望の成就に乗り出した。彼の悪事に気付いた唯一無二の親友の西郷は監禁されてしまう。だがヒゲオヤジはロックを追って海外にまで飛ぶ。一方、死んだと思われた手塚治虫が生還した。死ぬ直前にバンパイヤに助けられ、「マッドPA(パー)」という、熱海教授が発明した謎の薬品のありかを尋ねられたというのだ。手塚はトッペイと共に廃屋となった熱海教授の屋敷に行き、マッドPAの資料を探し出した。そしてテレビでバンパイヤ革命の秘密を明かす。その存在を知られてしまった日本のバンパイヤは、ついにバンパイヤ革命を開始した。
バンパイヤ革命で日本全土がバンパイヤの支配下に落ちたある日、手塚治虫はトッペイらの協力で極秘にマッドPAを完成する。それは、変身したバンパイヤを本物の動物に変えてしまう作用があった。本心ではバンパイヤを支配して世界の王者になろうともくろんでいたロックは、手塚たちからマッドPAを奪おうとするが、ヒゲオヤジとの戦いに敗れて捕らえられる。ヒゲオヤジはバンパイヤの幹部たちをマッドPAで全滅させた。計画が挫折したロックは脱走し、監禁していた西郷の下に走るが、西郷の諫言にカッとなり西郷を射殺、彼に変装して逃げようとするが、トッペイたちに追われ、さらに無数の幽霊や妖怪の幻覚に襲われて海に飛び込み、姿を消した。そして全ては終わる。
[編集] 第2部
ロックが、ウェコという、猫のような姿をして人間に変身する動物を使って、大富豪の桧山家の財産を手に入れ、世界征服をたくらむ物語である。江戸時代に現われたウェコの逸話やトッペイとウェコの出会い、インドの山猫少年(正体は人間の姿になったウェコ)などのエピソードを織り込みながら展開する。掲載誌の休刊により未完であったが、後に結末を書き足してコミックス版として刊行されている。ロックはウェコを仕込んで桧山家の息子に変身させ、本物とすり替えて財産を乗っ取ろうとするが、正義感に目覚めたウェコのため洞窟の奥の人目につかない池に引きずり込まれるところで物語は終わる。
[編集] テレビ
1968年10月5日から1969年3月29日までフジテレビ系で全26話が放送された、実写とアニメの合成のモノクロ作品。バンパイヤの変身シーンと変身後の動物形をアニメーションで描いている。カラー放送が主流になっていた頃だったが、合成の関係でモノクロ作品として制作されたためにスポンサーが決まらず半年ほどお蔵入り状態であった。なお、8分半ほどのカラー版パイロット・フイルムがある。
原作者である手塚治虫も実名で登場する。当時の虫プロダクションの様子も窺い知ることができるのも見どころである。
[編集] スタッフ
- プロデューサー:池内辰夫、鈴木芳男、岸本吉功
- 監督:まふねてい(真船禎)、菊地靖、山田健、松田寛夫、西島孝恒、戸木啓八
- 脚本:山浦弘靖、藤波敏郎、久谷新、中西隆三、宮下教雄、今村文人、三房加也、安藤豊弘、雪室俊一、石郷岡豪
- 脚本監修:福田善之
- 音楽:司一郎
- 動画監督:杉井ギサブロー
- エリアル合成:虫プロダクション
- ナレーター:小林昭二、富山敬
- 主題歌(作詞:福田善之、作曲:林光)「バンパイヤの歌」松川義昭、「ロックのバラード」佐藤博、「チッペイ音頭」堀絢子、「トッペイのバラード」尾藤イサオ
- 製作:虫プロ商事株式会社
[編集] キャスト
- トッペイ:水谷豊
- チッペイ:山本善朗
- ミカ:桐生かほる
- ルリ子:嘉手納清美
- ロック:佐藤博、梶健司(整形後)
- ロック(変装):水上竜子、小笠原章二郎ほか
- 下田警部:岩下浩
- 熱海教授:戸浦六宏
- 別府博士:外山高士
- 森村記者:渡辺文雄
- 林記者:石井竜一
- トッペイの母:磯野道子
- トッペイの父・立花博士:左卜全
[編集] DVD
DVD-BOX(5枚入り)が2002年12月にコロムビアミュージックエンタテインメントから発売されている。特典映像としてパイロット・フイルムや未放送部分やNG版などが収録されている。
[編集] 前後番組の変遷
フジテレビ系 木曜19時台前半 | ||
---|---|---|
前番組 | バンパイヤ (1968年10月~1968年12月) |
次番組 |
わんぱく探偵団 | スター対抗大乱戦 | |
フジテレビ系 土曜19時台前半 | ||
戦え! マイティジャック | バンパイヤ (1969年1月~1969年3月) |
日清ちびっこのどじまん |
カテゴリ: 漫画作品 は | 手塚治虫 | 週刊少年サンデー | SF漫画作品 | 特撮 | フジテレビのテレビドラマ | 1968年のテレビドラマ | 1969年のテレビドラマ | 1960年代の特撮作品 | 漫画関連のスタブ項目 | テレビ番組に関するスタブ