バトルスピリッツ 龍虎の拳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バトルスピリッツ 龍虎の拳(-りゅうこのけん)は、1993年12月23日にフジテレビ系で放送された単発のテレビアニメ。当時人気だったSNKのネオジオ用対戦型格闘ゲーム『龍虎の拳』を原作としているが、ストーリーはゲームとは異なるアニメオリジナル。
目次 |
[編集] ストーリー
経営している空手道場が全く流行らないため、何でも屋稼業で日々の生活費と妹ユリの学費を稼ぐ極限流空手の継承者・リョウと、ガルシア財団の後継者ながら財団を嫌って日々気ままに暮らすリョウの親友ロバート。物語は、リョウが探す事を依頼された迷い猫を捕まえるため、二人があるアパートの一室へと忍び込んだ事から始まる。猫が見つかった直後、部屋の主・レイが帰ってきた。そしてその後を追って来た男達。男達は抵抗するレイを殺すと家捜しを始め、さらには居合わせたリョウとロバートをレイの仲間と決め付けて“ブツ”をよこせと銃を手に迫ってくる。関わりのない二人は部屋の窓から外へ飛び出て、ロバートの愛車フェラーリでさっさと逃げ出すのだった。
直後、サウスタウンの裏社会を牛耳るMr.ビッグのアジトにビッグとその組織の幹部達が集まっていた。彼らはレイが隠した“ブツ”を、部屋にいた二人組―――リョウとロバートが持っていると考えていた。幹部の一人キングがリョウとロバートに関するデータを探し出し、レイを襲った男達を率いていたジャックは早速リョウの家へと向かう。しかしキングは更にデータを検索してユリの存在を知り、彼女を使った“ブツ”をより確実に奪い返せる手段を思い付くのであった。その頃リョウはやっとの思いで連れ帰った猫が探していた猫とは違っていた為、仕事料も貰えず帰宅する羽目に陥っていた。一緒に戻ったロバートが点けたテレビでは“シリウスの瞳”と呼ばれる宝石が盗難に合った事を報じており、サウスタウン警察の藤堂警部がカメラに向かって「見つからなければ腹を切る」と物騒な発言を行っていた。直後、ジャック率いる一団がリョウの家へとなだれ込む。隠れてやり過ごそうとするも失敗し、結局リョウとロバートは男達と戦う事に。雑魚はロバートに任せ、ジャックと対峙するリョウ。ジャックの力任せの猛攻にてこずるが、怒り心頭のリョウは空手技を繰り出してジャックを倒す。しかしこの騒動は警察の知るところとなり、二人は駆けつけた藤堂に連行されてしまう。
藤堂はジャックの襲撃がシリウスの瞳の行方に関係していると考えてリョウとロバートを激しく問い詰めるが、結局二人はすぐに釈放される。リョウとロバートは再びリョウの家へと戻るが、そこへ今度は暴走トレーラーが襲い掛かった。トレーラーはロバートのフェラーリを跳ね飛ばし、突き当りの建物に突っ込んで停止する。その運転席にはユリの荷物と、「子猫は預かった。返してほしければシリウスの瞳を持って来い」と書かれた手紙が置かれてた。その夜、指定された場所―――表向きはレストランだが実態は秘密カジノのラ・モールにロバートが単身乗り込んだ。出迎えたキングに案内された隠し部屋にはビッグと幹部のジョン、そして囚われのユリがいた。ビルの外からロバートをフォローしていたリョウの強襲でユリを救い出せるかに思えたが、時を同じくして違法賭博の罪でビッグの逮捕を目論んだ藤堂が率いる警察の乱入騒ぎが起こる。その騒動の中またもユリは捕らえられ、ビッグの隠れ家へと連れ去られてしまった。
ユリを救うにはシリウスの瞳を探し出すしかない。全ての始まりとなったレイの部屋のある不自然さに気づいたロバートは、その不自然さが生じていた場所にこそシリウスの瞳が隠されていると推測する。再び部屋へと忍び込む二人だったが、シリウスの瞳は見つからない。タイムリミットが刻一刻と近づく中、この部屋で起こった小さなアクシデントを思い起こすロバート。そして朝日が街を照らす中、思わぬ場所からシリウスの瞳は見つかった。
今度こそユリを取り返すべく、ビッグの隠れ家=別荘へと乗り込むリョウとロバート。しかしビッグはユリを捕らえておけばガルシア財団の力も利用できると考え、シリウスの瞳を受け取るもユリを返さずに立ち去ろうとする。リョウはビッグ達が乗ったヘリに飛びつき、操縦していたジョンを引きずり下ろしてユリを奪回。そのまま眼下にあった別荘のプールへと飛び降りた。そして操縦者を失ったヘリもプールへと墜落する。リョウとユリは無事だったが、キングとビッグもまた墜落の衝撃で爆発するヘリから脱出していた。ムエタイを駆使するキングにロバートが、そして棒術で襲い来るビッグにリョウが立ち向かう。
[編集] ゲームとの違い
- 原作となったゲームは全体の流れや要素のみが使われたため、物語の仔細等は大きく異なる。全体的には『シティーハンター』の様な軽妙なテンポで展開されるアクションであり、特に重要ファクターであったタクマ・サカザキに関する下りがなくなった事でゲームの重いストーリーとはかなり趣が異なっている。
- 登場人物のうちタクマ・サカザキとミッキー・ロジャースが未登場。またキングはラ・モールのバンサー(用心棒)という設定は一緒ながら何のしがらみもなくビッグに与していて、更には最初から女性である事が明かされている(キャリアウーマンばりのスーツ姿でロバートにナンパされたり、ユリを誘拐すべく近づくシーンもある)。「熊殺し」の異名を持つジャックもビッグの命令に忠実なチンピラであり、ジョンに至っては戦争(ゲーム版『龍虎』~『餓狼』とは切り離された、現代が舞台の物語である事を考えると湾岸戦争か?)で精神を病んだ殺戮狂的なキャラに描かれている。
- ゲームの特長の一つともいうべき、派手な必殺技は基本的に出てこない。しかしリョウの家での戦いにおいて、ジャックは極ナックルパートと思えるパンチを繰り出している。そしてリョウも暫烈拳の様な連続突きと、飛燕疾風脚がモチーフと思しき回転を加えた飛び蹴りを繰り出してジャックをノックアウトしている。
[編集] スタッフ
[編集] 映像ソフト
VHS、DVD版が発売中だが、本放送及びVHS版では当時無名で本名表記だった浜崎歩(現在の浜崎あゆみ)がユリ・サカザキ役として出演した(ネオジオ版「龍虎の拳2」の実写CMにも出演)。しかしDVD版では声がネオジオ版のユリ役声優ほりえかおり(旧:堀江かおり)に変更されている(浜崎本人と事務所の意向か、契約上の都合ではないかと言われている)。
TV放映版より若干の作画修正が行われており、一部シーンの作画クオリティが向上している。