バックアップ
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バックアップとは、誤ったデータの変更や消去、メディアやドライブの紛失や破損など、さまざまな要因によって失われようとするデータの複製をあらかじめ作成し、データを復旧出来るようにすること。それを行うことを「バックアップをとる」などという。
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[編集] 概要
[編集] バックアップの必要性
データはさまざまな要因で失われる。失う要因としてもっとも大きなものは、ユーザ自身が誤って消したり、間違った情報を書き込んでしまうことである。それは100%防止することは不可能であり、その対策として取れるのは通常とは別の場所にコピーしておくことしかない。そのような行為をバックアップをとると言う。
OSの入った、普段使用しているストレージに複製するのもバックアップではあるが、コンピュータのストレージは、形あるものでありいつか壊れるものである。同じストレージにバックアップを取った場合、そのストレージが丸ごと破損するともはや復旧のしようがない。データ復旧サービスもあるが、その費用は、失われたデータを作り直すための費用と大差がない場合も多く、また作り直す事ができないデータは二度と復活できない。バックアップは、データを失うそれぞれの要因に巻き込まれないようにすることが肝心で、危惧される要因ごとに対策をとる必要がある。そのため通常は、普段使用しているデータのストレージとは別のストレージに、定期的にバックアップを取る事が強く推奨される。
[編集] データ保全
コンピュータで扱うデータが貴重な物であればあるほど、万が一のデータ紛失に十分な対策を取る事が必要になる。
データ紛失のリスクとしては大きく分けると以下のものがある。
- ユーザのミスや、ソフトウェアのバグ、ウイルス感染やクラッキング等による第三者による意図的な改ざん、データの論理的な破壊
- ハードウェアの故障(停電を含む)や、自然災害(火災、落雷、地震等)、さらには犯罪(盗難、テロ等)その他による、媒体の物理的破壊や紛失等
これらのリスク分析をし、それぞれの要因に対して必要かつ十分なデータ保全対策を取る事が重要である。
- 論理的な破壊に対しては、バックアップを数世代分に渡り取得し、時間的に遡る事が出来るようにする対策が必要。可能な限り意図的な改ざんに耐え、破壊される直前に戻れることが望ましい。データの重要度や更新頻度にあわせてバックアップを取得する期間を決定することが必要。
- 物理的な破壊に対しては、別の場所に保存したり、別のメディアに保存したりする対策が必要。バックアップ先が同じ理由で使えなくなることを避けるには、可能な限り離れた場所、可能な限り別のしくみのメディアを使うことが望ましい。
一般的にバックアップには論理的にも物理的にも保護を望める方法を使うが、方法によっては片方に対しての対策にしかならない方法もあるので、注意が必要。例をあげると:
- 同一ドライブ内にバックアップする。操作ミスなどの論理的な破壊に対しての対処としてのみ有効、操作ミスは最大の障害理由なのでとても有用だが、そのドライブが壊れてしまった場合にはまったくの無力。WindowsME以降に付属しているシステムの復元機能などもこれに該当する。
- 別のストレージに即座に反映する。物理的な破壊に対しては最良の手段、停止できないサービスを提供する場合は必須だが、操作ミスなども即座に反映してしまう。RAIDなどのミラーリングサービスがこれに該当する。
以上のような方法は、特定の目的の場合選択されるが、他の方法も組み合わせて使う必要があるといえる。
一般的な対策の例としてはコストに応じ、以下のものがある。
- リムーバブルメディアにバックアップを取り、別の場所に保管する事により、場所的なリスク(自然災害や犯罪等)や、オンラインにある事のリスク(データの論理的な破壊等)を軽減する
- 多重バックアップ。重要度とコストに応じて、2重・3重に多重バックアップ(バックアップのバックアップ)を取る。例として、1次バックアップにはハードディスクドライブ等の高速なメディアを使い、2次バックアップにはDVDや磁気テープ等の比較低速メディアを使う。
- ネットワークを通して、オンラインストレージやデータセンター等にバックアップを取る(もしくは、データセンター自体を通常使用のストレージとし、またそこから他にバックアップを取る)
RAIDはハードディスクドライブの耐障害性を向上させるだけの手段であって、RAIDだけでは完全ではなく、バックアップも同様に重要である。(RAIDはバックアップの代替にならず、バックアップもRAIDの代替にはならない)
バックアップは通常、バックアップした時点において最新なだけのデータしか復旧できないため、定期バックアップの期間が長い場合にはその分の期間のデータ編集を喪失する事になる。これも、期間の喪失リスクとバックアップのコストを天秤に掛ける事になる。また、後述のミラーリングにより、期間の喪失リスクはゼロに近づくが、専用のシステムが必要となる事が多い。リモートミラーリングにより場所的リスクの軽減も可能。
[編集] バックアップメディアの種類
- フロッピーディスク 数MB程度
- 近年のデータ大容量化により、よほど小規模なデータでなければ非現実的である。
- メモリーカード(各種) 数十MB~数百MB程度
- メディアが容量に比して高価なため、バックアップコストが高くつく。大容量の物もあるが、基本的には一時蓄積用のメディアである。
- 光学ディスク (光ディスク、光磁気ディスク等) 数百MB~数十GB程度
- メディアが比較的安価なため、ある程度まとまったデータに適している。また、メディアが大容量であるほど、バックアップ時の交換回数が減るため便利である。業務用には自動クリーニング機能を搭載したメンテナンスフリーな装置も見られる。
- 磁気テープ(各種) 数十GB~数百GB程度
- ハードディスクドライブ
- メディアが高価であり、取り扱いにも注意が必要だが、もっとも高速にバックアップが取れる。
[編集] バックアップの種類
バックアップには大まかに、以下の3種類に区分出来る。
- 必要なデータ全てを一度にまとめて一括に複製するフルバックアップ。
- 前回のフルバックアップ時からの変更/追加されたデータのみを複製する差分バックアップ
- 前回のフルバックアップ時からの変更/追加されたデータのみを複製する増分バックアップ。ただし、次回増分バックアップを行う際は直前の増分バックアップの変更/追加分だけが複製される
さらに、データベースなどではトランザクションファイルを利用したトランザクションバックアップがある。
- この他、必要データに対し内容に変化(更新・追加・削除・消去)が生じる都度、補助記憶装置の内容に対しても自動的に同じ動作を完全にとらせる(逐次、リアルタイムに内容の同期をとらせる事で、フルバックアップと同じ成果を持たせられる)ミラーリングという技法もある。復旧を必要とした時点で、既に全ての必要データが保管されている状態なので、すぐに復旧作業に入れる(物理的事故の場合。データ内容自体の不備が原因である論理的事故の場合、ミラーリング先の内容も同じ問題を抱えているので、この場合は当てはまらない)ばかりでなく、普段のバックアップ作業・動作時間を事実上必要としない点が、フルバックアップに比べ優れている。ただしミラーリングは最大の障害要因である操作ミスやウィルスやクラックなどによる論理的な破壊からデータを守ることは出来ない。
- 別の基準から区分すると、各個人または組織のデータを複製するバックアップと、システムを復旧させるためのバックアップとがある。前者は日常的に行われるが、後者はシステムの構成が変わった際(オペレーティングシステムのバージョンアップなど)に行う。
これらのうち最初の3種類の特徴を以下に挙げる。
[編集] フルバックアップの特徴
- 毎回すべてのデータを複製しなければならないためバックアップに時間がかかる
- 複製したすべてのデータが一ケ所にまとまっているので、復旧時にデータを探し回る必要がない。
- バックアップ先に充分な空きがないと行えない。
[編集] 差分バックアップの特徴
- 一回はフルバックアップを行っておかないと差分が取れない
- 変更/追加された分をすべて複製するだけなのでバックアップにかかる時間は短い
- ツールを使わない場合は自分で変更/追加したデータを把握しなければならない
- 復旧は、差分バックアップしたデータと、差分バックアップに存在しないデータをフルバックアップ時のものから取り出すことで行う
[編集] 増分バックアップの特徴
- 一回はフルバックアップを行っておかないと増分が取れない
- 変更/追加されたデータだけ複製するだけなのでバックアップにかかる時間は極めて短い
- ツールを使わない場合は自分で変更/追加したデータを把握しなければならない
- 復旧は、各回のバックアップをすべて探し出さなければ古いデータを使わざるを得なくなってしまう
- 一度フルバックアップを行っておけば、以降は前回のバックアップから変更/追加したデータだけを複製しておけば良いため、小さなデータならちょっとした場所に保存出来る
[編集] 関連項目
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