ハードドライビン
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ハードドライビン | |
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ジャンル | ドライビングシミュレーター |
対応機種 | アーケード[AC] Atari Lynx[Lynx] メガドライブ[MD] プレイステーション2[PS2] |
開発元 | アタリ |
発売元 | アタリ [MD]:テンゲン [PS2]:サクセス |
人数 | 1人 |
メディア | [MD]:2Mbitロムカセット [PS2]:DVD-ROM |
発売日 | [AC]:1989年 [Lynx]:1990年 [MD]:1990年12月21日 [PS2]:2006年9月21日 |
価格 | [MD]:5,900円(税抜) [PS2]:5,040円(税込) |
その他 | PS2版は「ゲーセンUSAミッドウェイアーケードトレジャーズ」に収録 |
『ハードドライビン』( HARD DRIVIN' )はアタリから発売されたアメリカのゲームソフト。尚、現在はミッドウェイが正式な権利を所有している。
1989年にアーケード用のスーパーリアル・ドライビングシミュレーターとして発売された。
目次 |
[編集] 作品解説
ポリゴンによって描かれたコース、筐体にはクラッチ付4段マニュアルとフォースフィードバック付大径ハンドル(パワーステアリングの装備されないものを想定しており重たい)がおごられ、当時のレースゲームとは一線を画する内容に当時のゲームセンターでマニアの視線を集めていた。当時唯一のリアル志向が評価されヨーロッパの教習所で使用されていたという逸話もあるほど。
ゲームセンター用の筐体には1画面のものと3画面のものがある。
日本市場向けには、表示されるメッセージは意図的に怪しい日本語に変更され、本作品のタイトルも画面上では「ハード ドライビイン」である。
[編集] システム
ゲーム開始はコイン投入後にイグニッションキーを模したスタートスイッチで行うと言う斬新なものであった。 運転方法は4速MTと、ATが選択できた。ATの場合はいずれかのシフトポジションにシフトレバーを入れておかなければニュートラル扱いとなり、加速できない。この時点でつまづいているプレイヤーも存在した。
スタート直後、いきなり分かれ道が現れ選択を迫られる。一般道を模したスピードコースと、360度ループ橋等のあるスタントコースに分かれる。ここで躊躇すると、分岐点にある標識を「カン!」という小気味良い音とともになぎ倒し、牛に衝突し「モー」と言わせ、牛小屋に衝突することとなる。
まっすぐ行くとハイスピードなコーナリングをハンドルの反動に負けないようにねじ伏せながら、微妙なアクセルワークで駆け抜けるコースに、右に曲がれば現実にあれば苦情間違い無しのジャンプ跳ね橋やループしている不思議な道路などが体験できる今までのゲームには無かった斬新なコースが味わえる。
味わい深いのは、なんと言ってもクラッシュシーン。走行中に対向車にぶつかったり、空を舞ったりすれば、とても物悲しい危機的な音楽が流れ、今起こした事故を違う視点からリプレイ(日本語版では画面に“インスタント リープレー”と表示される)してくれる。そして爆発。
また、タイムエクステンド時の「ドーン」という重低音のインパクトあるSEに、ハンドリングミスを誘発したプレイヤーも多い。
[編集] その他
このゲームは、ゲームセンターの専用筐体で味わいたいものだが、2005年現在日本にほとんど現存しない。
その主な理由は次の2つである。
- 当時セガから発売されていたドライビングゲーム(アウトラン)の圧倒的な疾走感が好評で、理論的ではあるものの地味で疾走感に欠ける本作は目を集めにくかった。特に本作が発売された時期は、ゲームセンターのデートスポット化の真っ最中で、本来のゲームマニアではない「新しい顧客層」へのアピールが重視されていた。この作品は彼らに対して訴求力を持っていなかった。「ハードドライビンが上手」より「アウトランが上手」の方が確実に彼女や友人にウケたことは明らかである。
- ハンドルが単なる入力装置ではなく、路面状況や車の状態に応じて抵抗力を与えるように制御されていた(モーター駆動によるフォースフィードバックを極めて早い時期に採用していた。デモンストレーション画面では画面にあわせてハンドルが動いていた)。しかし故障の際には機械的なメンテナンスの行き届かないゲームセンターでは修理が不可能なケースが多発。故障した場合にはわずかに直進することさえ困難になり、正常なゲームが成立しないという憂き目を見た。
[編集] 移植作品・続編
- 1990年 - Atari Lynx、メガドライブに移植されている。発売元はテンゲン。MT(マニュアルシフト)を選択すると、ギアチェンジ時にコントローラによるクラッチ操作が必要となり、まさに「ハード」なドライビングを体験できた。
- レースドライビン(1990年)前作のコースに加えて、短いサーキット風のコースと、「スーパースタントコース」が追加された。スーパースタントコースは、「垂直の壁でターン」「360度ループの頂点部だけ床がなくなっている」「長距離のジャンプ」など、さらに過激さを増す。車種もオープンカーやNASCAR風レーシングカーなどが追加されている。ジェネシス(海外版メガドライブ)に移植されているが日本での販売はなし。なお、このジェネシス版では、表示能力の問題からガケ沿いを走り抜けるコースが、ジェットコースターのような「空中に浮いた一本道」となってしまっているなど、アーケード版のコースを完全再現したものではない。
- レースドライビン(レースドライビン・ア・ゴー! ゴー!)(1996年)セガサターンとプレイステーションの最初期に登場。レースドライビンに、さらにスポーツカータイプや三輪軽トラックなど使用できる車種を追加、コースにテクスチャーマッピングを施した「リアルモード」を追加したもの。オリジナルのままの「アーケードモード」もある。プレイステーション版は「レースドライビン・ア・ゴーゴー」というタイトル。
- 2006年 - プレイステーション2に移植されている(「ゲーセンUSA ミッドウェイアーケードトレジャーズ」に収録)。発売元はサクセス。