ハシブトガラス
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ハシブトガラス | ||||||||||||||||||||||||
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神奈川県江ノ島で撮影 |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Corvus macrorhynchos Wagler, 1827 |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
ハシブトガラス | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Jungle Crow | ||||||||||||||||||||||||
亜種 | ||||||||||||||||||||||||
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ハシブトガラス(嘴太烏、学名:Corvus macrorhynchos)はカラス科の鳥。日本では「カラス」といえば本種かハシボソガラスを指すのが一般的である。
目次 |
[編集] 特徴
体長は 56cm ほどで、全身が光沢のある黒色をしており、雌雄同色。
ハシボソガラスに似るが、嘴が太く上嘴が曲がっているところと、額(嘴の上)が出っ張っているところで判別できる。
[編集] 分布
日本国内では留鳥で、小笠原諸島以外の全国で、低地から山地まで幅広く分布する。
[編集] 生態
食性は雑食で、主に地上に降りて歩きながら、虫や木の実、動物の死骸など、あらゆるものを食べる。また小鳥やネズミなどの生きた小動物を襲うこともある。嘴の力が強いため肉なども引きちぎって食べることができ、生態が類似するハシボソガラスよりも肉食性が強い。
英名 "Jungle Crow" も示すように、元来は森林に住むカラスであり、現在も山間部など森林地帯に広く分布しているが、近年日本では都市部において急速に分布を拡げた。
鳴き声は「カーカー」と澄んでおり、ここでもハシボソガラス(少々濁る)と判別できる。
[編集] 人間との関係
前述のように元来は森林などに住む鳥であったが、近年都市化が進んだ日本では、他の生物が住みにくい都市部においても分布を拡げており、「都会の鳥」としてのイメージが定着した。
何でも食糧にしうるハシブトガラスにとって都市部は食糧が豊かであったこと、止まり木代わりになる構造物が入り組んでいること、また天敵となる猛禽類が住めなくなった事などが相まって、その数は激増し、早朝に群れで生ゴミをあさる光景や、洗濯物を干す針金製ハンガーを集めて巣を造る様子などが各地で観察されるようになった。近年都会で急激に数を増やしたのには、自治体により黒色のゴミ袋に変わり、透明・半透明のゴミ袋が義務づけられたのが原因の一つとして指摘されているが、石原慎太郎都知事の政策により、カラスは大量に駆除された。
また、都市部の街路樹や電柱などでも造巣し繁殖を行うが、本能的に気性が荒くなりがちな繁殖期においては、ときに巣の近くを歩く人間を襲撃することもある。カラスは非常に頭の良い鳥で、集団には序列がある。リーダーのカラスに服従しないものが徹底的にリンチされることもあるという。
[編集] Sibley分類体系上の位置
スズメ目> スズメ亜目> カラス小目> カラス上科> カラス科> カラス亜科> カラス族
[編集] 日本国内で見られる亜種
日本国内では本亜種 (Corvus macrorhynchos japonensis ) のほか、次の亜種が確認されている。
- チョウセンハシブトガラス Corvus macrorhynchos mandshuricus
- 対馬付近に分布し、亜種ハシブトガラスよりやや小型。
- リュウキュウハシブトガラス Corvus macrorhynchos connectens
- オサハシブトガラス Corvus macrorhynchos osai
- 八重山列島に分布し、亜種ハシブトガラスより小型。