ナズ
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ナズ(Nas、本名:Nasir Olu Dara Jones, 1974年9月14日 - )は、アメリカ合衆国のヒップホップMCである。ナスと表記されることもある。
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[編集] 概要
ラキムに影響を受けた詩性あふれる表現とフロウ、クールGラップやトラジェディ・カダフィなどジュース・クルー直系の、ストリートでの生活を生々しく切り取る描写力、スリック・リック譲りのストーリーテリングなど、過去の偉大なラッパーの美点を多数受け継ぎ、そういった完成されたラップを枯れた趣のある声で紡ぐナズは多数のヒップホップ・ファンから史上最高のラッパーであるとされる。
[編集] 経歴
ニューヨークのブルックリンに生まれ、クイーンズの南西部、ロングアイランドシティーに位置するブリッジプロジェクトで育つ。父はジャズトランペッターのオル・ダラ。弟もラッパーで、ブレイブハーツというヒップホップ・ユニットのジャングルである。
ナズは学校を八年生で退学し、そのころからドラッグの売人となる(そのために若くして声が枯れる)。退学をしてもナズは勉強を続け、クルアーンや聖書、5%ネイションの教書を熟読する。幼いころのナズは、漫画家になるか、父のように楽器奏者になろうと思っていたが、ヒップホップに親しんでラップも早い時期から始めていた。
ナズのラップがレコード上に登場したのは1991年、メイン・ソースの曲、「ライヴ・アト・ザ・BBQ」においてである。16歳にしてすでに枯れて趣のある声、ラキムに影響を受けたフロウと詩性を感じさせる歌詞が話題となる。その後サード・ベースへの客演などを経てファースト・アルバム「イルマティック」をリリース。当代随一のリリシストであるナズのラップに加えて、ラージ・プロフェッサー、ピート・ロック、DJプレミア、Qティップら当時のニューヨークのトップ・プロデューサーがこぞって参加した本作は多くのヒップホップ雑誌から高い評価を受けた。また、本作自体はセールス面で振るわなかったが、当時の「西高東低」の情勢に一矢を報いたし、同郷クイーンズのラッパー達(同世代のモブ・ディープ、1世代上のトラジェディなど)が人気を得るための布石となった。
[編集] ディスコグラフィー
[編集] アルバム
- Sony Urban Music/Columbia
- イルマティック - Illmatic (1994年)
- イット・ワズ・リトゥン - It Was Written (1996年)
- アイ・アム... - I Am... (1999年)
- Aftermath Entertainment
- ザ・ファーム:ザ・アルバム - The Firm: The Album (1997年)
- Ill Will Records/Columbia
- ナストラダムス - Nastradamus (1999年)
- QB’s ファインネス - QB's Finest (2000年)
- スティルマティック - Stillmatic (2001年)
- ロスト・テープス - The Lost Tapes (2002年)
- ゴッズ・サン - God's Son (2002年)
- ストリーツ・ディサイプル - Street's Disciple (2004年)
- Def Jam/Columbia
- ヒップホップ・イズ・デッド - Hip-Hop Is Dead... The 'N' (2006年)
- ロスト・テープス2 - The Lost Tapes 2 (2007年)
[編集] DVD
- ヴィデオ・アンソロジー・ボリューム1 - Video Anthology Vol. 1 (2004年)