ダイニン
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ダイニン (dynein) は、分子モーターの一種で、ATPアーゼ 活性を持ち微小管と作用する一群の蛋白質複合体。
真核生物の鞭毛・繊毛の運動を生み出す蛋白質として同定され、これは軸糸ダイニンあるいは鞭毛ダイニンと呼ばれる。また後に細胞内での様々な分子の移動に関わっている種類も存在することが明らかとなり、このクラスは細胞質ダイニンと呼ばれる。これまでの所知られる全ての亜種が微小管マイナス端方向に移動する。つまり、繊毛内では末端から細胞体に向けての逆行性輸送、細胞体内では中心体に向けた向心性輸送に関わる。
ダイニンの機能単位は複数のポリペプチド鎖から成り、1〜3の重鎖、数種の中鎖、及び軽鎖から形成される。その形態は一般に2つの重鎖それぞれが形成する頭部と、頭部から突き出たストークと呼ばれる部位、さらに柄の部分が基本となり、中鎖や軽鎖は柄の部分に結合している。
[編集] 重鎖
ダイニン重鎖はダイニンの骨格を形成し、かつATPのエネルギーを運動に変化する機能を持つ。重鎖のアミノ末端が柄の部分となり、これはダイマー形成や、他のダイニン形成分子との相互作用を担う。中央部からカルボキシル末端にかけてはリング状の頭部を形成し、6個のAAA+ATP アーゼ ファミリーに属するドメインと、一つのC末端ドメインが形成する7個のサブユニット様構造となる。AAA+ ATP アーゼドメイン4と5の間に存在する100アミノ酸残基程度の領域がストークとして突き出た部分となって微小管と作用すると考えられている。ATP が結合するのは6個の中でも始めの4個のAAA+ ドメインで、さらに始めの一つのドメインのみが ATP アーゼ活性を持つとされる。
[編集] 中鎖・軽鎖
ダイニン重鎖に強く結合している分子量100~20 kDaの分子種は中鎖及び軽鎖と呼ばれる。これらの蛋白質はダイニンの構造蛋白質としての機能、あるいは細胞質ダイニンが輸送する分子との相互作用を担うと考えられている。