タウシュベツ橋梁
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タウシュベツ橋梁(-きょうりょう)は、北海道上士幌町の糠平湖にあるコンクリート製アーチ橋。タウシュベツ川橋梁とも呼ばれる。よく晴れた風のない日に、湖面に橋が映るとめがねのように見える。またアーチ橋ということもあり、「めがね橋」の別名をもつ。古代ローマの遺跡を思わせるその姿は、周辺の景色とも調和しているとされる。第1回北海道遺産に選定された「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」の1つである。
もともとは、旧国鉄士幌線(1987年廃線)が1939年に十勝三股駅まで開通した際に、音更川の支流であるタウシュベツ川に架けられたものである。1955年に、発電用人造ダム湖である糠平湖が建設され、橋梁周辺が湖底に沈むことになったため、士幌線は湖を避けるように新線がひかれた。その際に、橋梁上の線路は撤去されたものの、橋梁自体は湖の中に残されることとなり、現在までその姿をとどめている。
糠平湖は人造湖であり、季節や発電によって水位が劇的に変化するため、橋梁全体が水に覆われてしまう時期もあれば、水位ゼロとなって橋梁全体が見渡せる時期もある。その様子から、「幻の橋」とも呼ばれる。
糠平市街に鉄道記念館があり、士幌線の説明資料や他の橋梁についての情報もあるので参考にするとよい。
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[編集] 沿革
- 1937年 - タウシュベツ橋梁竣工。
- 1939年11月18日 - 士幌線の糠平駅~十勝三股駅間が延伸開通する。
- 1955年8月1日 - 糠平湖建設のため、清水駅~糠平駅~幌加駅のルートを変更。タウシュベツ橋梁を通る旧線が廃止される。
- 1978年12月25日 - 士幌線の糠平駅~十勝三股駅間がバス代行化される。
- 1987年3月23日 - 士幌線全線廃止される。
- 2001年10月22日 - 「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」が第1回北海道遺産に選定される。
- 2003年9月26日 - 2003年十勝沖地震により、中央部が一部崩落する。
[編集] データ
- 種別
- コンクリート製アーチ橋
- 全長
- 11連・130m
[編集] 水位
タウシュベツ橋梁は、それを取り巻く糠平湖の水位によってその姿を大きく変える。降水量等に多少左右されるものの、概ね次のような推移をとるようである。
- 3月~5月頃:ほとんど水位ゼロとなり、橋梁全体が見渡せる。湖底には、ダム湖建設の際に切り倒された木の切り株が見える。
- 5月~6月頃:雪融け水が流入するため、徐々に水位をあげ、橋梁の下半分が水に覆われる。「めがね橋」に見える可能性あり。
- 6月~9月頃:さらに水位をあげ、7~9割が水に覆われて線路敷設部周辺のみが覗く。若干の勾配があることが、観察できる。
- 9月~12月頃:大雨が降るなどすると、完全に水没することもある。
- 12月~3月頃:氷が張る。発電用に水を抜くため、日に日に水位(氷面)がさがり、氷面を突き破って橋梁が現れる。冬期は一貫して水位が下がっていく。
ただ年によって差があるのも事実で、右上画像は9月の撮影だが、まだ半分強しか水没していない。また、台風が上陸した2003年には、8月に完全水没したようである。
なお、NPOひがし大雪アーチ橋友の会のホームページで、「タウシュベツ橋梁の近況」をチェックできる。
[編集] 保存状態
タウシュベツ橋梁を含め、糠平湖付近に残されているアーチ橋梁群は、士幌線廃線後、国鉄清算事業団によって解体される予定であったが、地元の有志が保存活動を行い、保存されることとなった。
しかし、タウシュベツ橋梁は湖の中という悪環境にあるため、残念ながらいずれ崩壊する運命にある。1955年の水没以来、50年以上にわたって水没と出現とを繰り返している。夏には大量の水の水圧に押され、冬には氷により削られ、春と秋には水の凍結と氷の融解の繰り返しにさらされるため、その傷み方は年々ひどくなる一方である。
さらに、鉄筋コンクリート製の型に石が詰めてあるだけ、という橋のつくりになっているため、一旦外側の鉄筋コンクリート部分が崩れると中央が急速に崩れていってしまう(上記の崩落部分の画像参照)。このことも、橋の崩壊に拍車をかけている。
北海道遺産に登録され、他のアーチ橋に保存措置がとられている一方で、タウシュベツ橋梁はその立地の悪さから保存の対象外とされている。ぜひとも保存をとの声もあるが、「あえて補修・保存はせずにあるがままに任せ、いずれ失われるのもやむなし」との考えから、現在は手付かずのまま見守られている状態だ。
ただし、崩落を招く危険があることから、橋の上を歩くことは禁じられている(立入禁止の札あり)。
[編集] アクセス
糠平湖の西側には国道273号が、東側には糠平三股林道が通っている。水位が上がれば、湖底を歩いて近づくことはできない。水が張っている時期にタウシュベツ橋梁に到達するには、糠平三股林道を北側からないしは南側から進めばよい。ただし、いずれも狭く曲がりくねった道を進む必要がある上、熊が出没することから、アプローチには注意が必要である。以下では、車やバイクでアプローチする方法を記載する。
- 林道北側からのアプローチ
国道273号を三国峠から南下していくと、左側に士幌線アーチ橋がいくつか見え始める。幌加除雪ステーションや幌加温泉への分岐を過ぎ、渡鹿橋と丸山橋の間に左へ入る道があり、それが林道の入口となっている。大変見つけづらいので、注意深く見ていないと、容易に見逃してしまう。入口に、木製の小さな案内札が掲げられているのみである。
上士幌市街側から北上する場合は、糠平市街を越えて三国峠側に進むと、左手に幌加発電所の木製看板が見えるのでそこから少し先にある丸山橋を過ぎて右の道に入る。上述の案内札はこちらから行く方が見つけやすい。
林道入口から2kmほど急カーブとアップダウンの連続する道がつづく。ブラインドコーナーが多いため、徐行の上、警笛を鳴らしながら運転する必要がある。さらに1kmほど直線道路を進むと、右手に湖に続く小道が現れる。すぐ近くに駐車スペースがあるので、車などをとめ、小道を300mほど歩くとタウシュベツ橋梁に到達できる。なお、この小道とそれに至る直線道路は士幌線の旧線(1955年7月まで)の廃線跡である。
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