ソッピースキャメル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソッピースキャメル (Sopwith Camel) は第一次世界大戦中のイギリスの複葉戦闘機で、正式名称は、〝Sopwith Camel F1〟である。
目次 |
[編集] 概要
1916年からソッピース(Sopwith Aviation Company)で製造され、約6000機が製作された。小柄な機体の機首に、150馬力の9気筒グノームエンジン(ロータリーエンジン)を装備して、プロペラ回転面から発射する2丁のビッカースの機関銃をコクピット前面に装備している。速度は115mphに達した。
機銃の周りを覆うフェアリングがコブのようになっていたことから、キャメル(駱駝)の名がついた。軍司令部はこの呼び名を禁じたが、定着してしまった。
ロータリー・エンジンの強いジャイロ効果がキャメルの操縦性を独特なものにして、新人パイロットには難しいものであり、着陸時の事故が多かった。意図的に不安定にされており、いつも真直ぐ飛ぶためにパイロットは常に調整する必要があった。これによって比類ない機敏さを与えられたキャメルは、第1次大戦における、全軍通じての最多撃墜数を記録した戦闘機となった。
撃墜王〝レッドバロン〟こと〝リヒトホーフェン〟が乗るフォッカー Dr.Iをソッピースキャメルに乗っていたブラウン大尉が撃墜したと公式にはなっている。しかし、オーストラリア軍の兵士達は「その瞬間、彼のキャメル機は、リヒトホーフェンの後方にはいなかった。彼を撃墜したのは我々だ。」と主張していて、ブラウン大尉の証言にも矛盾点が多いと言う研究者もおり、現在も真相が明かされてない。(当時の騎士道精神に則れば、無名の兵士の対空砲火によって撃墜されるのは不名誉なことであり、意図的にブラウン大尉の戦果ということにしたと思われる。)
飛行船に吊るされた最初の寄生戦闘機(パラサイト・ファイター)の実験に用いられた。
アメリカ軍も使用したが〝Pilot Killer〟と呼び嫌った。
『ピーナッツ』のキャラクターであるスヌーピーが「第一次世界大戦の撃墜王」として操縦しているつもりなのはこの機である。
[編集] 要目
- 初飛行:1917 年
- 乗員:1 人
- 全長:5.73 m
- 全幅:8.53 m
- 全高:2.60 m
- 重量:659 kg
- 最高速度:182 km/h
- 失速速度:64 km/h
- 航続距離:455 km
- 到達高度:5490 m
- エンジン:クレルジュ 130 馬力
- 武装:ビッカーズ社製7.7m機関銃×2