セロハンテープ
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セロハンテープ(cellophane tape)は、セロファンの片面に接着剤を塗り、細長い帯状にしたもの。通常の製品は、これを巻き取った巻物状にして供給される。セロファンテープ、セロファン粘着テープとも。両面に接着剤を塗ったものは、両面テープと呼ばれ区別される。また、素材もセロファンでないことが多い。
日本国内で製造・販売されているものは、幅が12mm~24mm、長さは3.5m~35m程度のものが多い。通常はテープカッターと呼ばれる刃のついた台にセロファンテープを設置して使う。帯状になったセロファンテープの端を引っ張ると、設置されたテープが回転してはがれるようになっており、これをテープカッターについた刃で切断する。切り取られたテープは、紙などを止めるために、また、封筒に簡易的な封をするためにも使われる。紙以外にも接着するため、用途は広範囲に及ぶ。ただし、主原料のセロファンは元々パルプから作られる素材であり、経年変化により劣化する。このため、長期間の接着には推奨されない。また、はがした跡が残るという欠点もある。しかし、安価で入手しやすいため、これらが問題にならない分野で多用されている。
セロファンと接着剤のみで製造できそうに見えるが、実際には巻き取られた状態のテープがべたつかずに片面だけはがれるように剥離材などが塗ってある。セロファンと接着剤の間にも両者を接着するための薬剤が塗ってあり、通常の製品は4層構造になっている。
なお、一般的に普及しているセロテープという呼称はニチバンの登録商標であり、一般名詞として使うことは推奨されない。また、アメリカでは同様に商標名であるスコッチテープという言い方が一般的であり、セロハンテープでは通じない。
[編集] 歴史
1930年、アメリカ合衆国の3M社によって開発された。元々は、荷物を輸送中の湿気から守るために、防湿効果のあるセロファンを活用しようとしたものだが、この用途では製品化されず、テープでの製品化となった。
戦後、GHQが事務用にアメリカ本国から輸送していたが、足りなくなったため、医療用絆創膏メーカーであったニチバン(当時:日絆工業株式会社)に製造を打診。ニチバンはたまたまアメリカから製品を輸入して製品化のための研究を行っていたため、1ヶ月後に試作品を持っていくと、あまりに早かったので驚かれたという逸話がある。
[編集] 外部リンク
- 製品開発史 (住友3M社によるセロハンテープのページ)