スミレ
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スミレ | ||||||||||||||
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スミレ(菫)は、スミレ科スミレ属の植物の総称であるが、狭義には、Viola mandshuricaという種の和名である。広義のスミレについてはスミレ属を参照、ここでは種としてのスミレについて記す。
目次 |
[編集] 特徴
種名としてのスミレ(Viola mandshurica )は、道ばたで春に花を咲かせる野草である。深い紫色の花を咲かせる。
地下茎は太くて短く、多数の葉を根出状に出す。葉は根際から出て、少し長めの葉柄があって、少しやじり形っぽい先の丸い葉をつける。
花は独特の形で、ラッパのような形の花を横向きかやや斜め下向きにつける。5枚の花びらは大きさが同じでなく、下側の1枚が大きいので、花の形は左右対称になる。ラッパの管に当たるのは大きい花弁の奥が隆起したもので距(きょ)という。花茎は根際から出て、やや立ち上がり、てっぺんで下を向いて花のラッパの管の中程に上側から着く。
平地に普通で、山間部の道ばたから都会まで、都会ではコンクリートのひび割れ等からも顔を出す。
[編集] 由来等
「スミレ」の名はその花の形状が墨入れ(墨壺)を思わせることによるとの説があるが、定説とは言えない。
[編集] 変種
種内の変種としては、以下のようなものがある。
- アツバスミレ var. triangularis Mizushima
- 本州中部南岸から九州にわたる海岸に見られるもの。葉は厚くて幅が広く、表面に光沢がある。
- アマナスミレ var. crassa Tatew.
- 北海道から本州中部日本海側の海岸型。葉は矛型で細く、厚くて光沢がある。
[編集] 類似種
スミレ属には種類が多い。日本産でスミレに似た姿の種としては以下のようなものがある。いずれも茎は地表にあって太くてごく短く、葉は根出状。また、人里周辺に顔を出すものも多い。
- ヒメスミレ V. confusa Champ. ex Bentham subsp. nagasakiensis (W. Becker) F. Maek. et Hashimoto
- 人家周辺に多い。全体に一回り小さく、葉は三角形。本州から九州、台湾に分布。
- ノジスミレ V. yedoensis Makino
- 平地に生育。普通、葉や花茎一面に毛がある。葉はやや長い楕円形っぽい。本州から九州、朝鮮南部、中国に分布。
- コスミレ V. japonica Langsd.
- 葉は卵形っぽいハート形。北海道南西部から九州、朝鮮南部に分布。
- リュウキュウコスミレ V. pseudo-japonica Nakai
- コスミレに似るが、葉はハート形より3角に近い。南西諸島に分布。
- アカネスミレ V. phalacrocarpa Maxim.
- サクラスミレ V. V. hirtipes S. Moore
- ヒカゲスミレ V. yezoensis Maxim.
姿が似ていて白い花をつけるものに次のような種がある。
- アリアケスミレ V. betonicifolia Smith var. albescens (Nakai) F. Maek. et
- 形はスミレに似た点が多く、花は白。本州から九州、朝鮮、中国に分布。琉球列島には同種ながらリュウキュウシロスミレ var. oblongo-sagittata (Nakai) F. Maek. et Hashimoto がある。花がより長い柄の先につく。種としては東南アジア一帯にまで分布する。
- シロスミレ V. patrinii DC