スピリチュアリティ
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スピリチュアリティ(Spirituality)(霊性)とは、霊魂などの超自然的存在との見えないつながりを信じるまたは感じることに基づく、思想や実践の総称である。
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[編集] 歴史的背景
近代西洋におけるスピリチュアリズム(心霊主義)は、マルクス主義の勃興に対抗する形で、19世紀半ばから高まりを見せ、その始まりは1848年にニューヨーク郊外の民家で起こったポルターガイスト現象事件(フォックス姉妹によるハインズビル事件)といわれる。シャーロック・ホームズで有名な英国の小説家、コナン・ドイルも心霊主義に共感を寄せ、強く擁護したことで知られる。
近年では、スピリチュアリティは、特に英国で1980年代より始まったといわれるチャネリングが始まりとされている。 日本では 1990年代前半 NIFTYSERVE 内ルーム ARION 等がチャネリングの紹介場として扱い始めたが、その当時ではまだ精神世界の一部分として認知されていた程度であり、一般への理解及び普及には壁となる部分が大きかった。 1990年代後半、 VOICE出版社より BASHAR(バシャール)関連の本が発売された事により、スピリチュアリティと無関係だった一般大衆への関心が高まると共に、普及に向かうきっかけになった事は間違いないと思われる。同時期に「聖なる予言」や「神との対話」等、スピリチュアリティを扱う本が立て続けに刊行され、かなり関心を集めた事は記憶に新しい。
[編集] 社会現象および既存宗教との関係
スピリチュアリティは、社会現象としてみると、占いや 瞑想などとの関係が深く、「霊魂や神はいると思うけど宗教団体に所属して信仰を持つつもりは無い」というような人々の心的態度や実践である。 その意味で、スピリチュアリティとは、非宗教分野での擬似宗教的な実践や、組織性を有さない擬似宗教的な思想と見ることができる。もちろん、このことは宗教団体に所属している信者がスピリチュアリティを有することを妨げない。むしろ、スピリチュアリティは鈴木大拙らのいう「霊性」や神秘主義という概念と親和性があり、宗教の基盤や根底をなすものであると考えることができる。職業宗教家やインテリ層に限定されない、より幅広い市民の関心を支持を持ちうることが、スピリチュアリティの真骨頂といえよう。しかし、崇高な宗教性をバックグラウンドとして持っていた鈴木大拙などに比べると、オタクのおふざけとも言うべきスピリチュアリティが多数を占め、その精神性の貧困さを指摘する声も多い。
[編集] 学術的研究
非宗教分野での擬似宗教的な実践としてのスピリチュアリティへの関心は、非宗教分野での研究者からも広く注目されるようになっている。特に医療・教育では特定の宗教色のない精神性への要請から、日比野由利、木原活信、牛久保美津子などの多様なバックグラウンドの研究者が、文部科学省の研究助成などを受けるなどしてスピリチュアリティ研究を進めている。 また、そういった観点から市民性のスピリチュアリティの現われとして、スピリチュアル・コンベンション(すぴこん)が、島薗進はじめ、多くの宗教学者の注目を集めている。