スノッリのエッダ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スノッリのエッダはアイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンの主著。13世紀ごろの作。若手の詩人たちに北欧神話と詩の技法を教授する目的で書かれた。たいへんよくまとまっている上に、失われたエッダ詩(古エッダ)やスカルド詩も数多く含まれており、この本なくして北欧神話、ひいてはゲルマン神話を現代に復原することはほぼ不可能であると言ってよい。
元々は単なるエッダ(Edda)という名前であったが、この作品に引用される歌謡の形式もエッダと呼ばれるようになったため、区別してスノッリのエッダ(Snorri's Edda; ON. Snorra Edda)、或いは新エッダ (Younger Edda) 、散文のエッダ (Prose Edda) などと呼ばれる。
三部のそれぞれ完全に独立した作品からなる。
目次 |
[編集] 第一部 『ギュルヴィたぶらかし』
魔術王ギュルヴィが変装してアースガルドに赴き、そこでオーディン神らから古代の伝承や予言を語られる、という筋立て。古エッダや民間伝承に基き、世界創世や人間の創造、神々の一覧、未来に起こるであろう最終戦争ラグナロクなどのことがまとめられている。
[編集] 第二部 『詩語法』(『詩人の言葉』)
詩の神ブラギがエーギル神に詩の技法の説明をするという筋立て。完全に若手のスカルド(詩人)のための作品で、昔のスカルド詩の引用や、ケニングという技巧の説明などに終始する。だが、途中で神代の興味深い挿話が何篇か紹介されており、神話の資料としても欠かせない。
[編集] 第三部 『韻律一覧』
著者スノッリが様々な詩形を織り込んで作った詩で、いわば詩のお手本とも言うべきもの。著者スノッリが教育者としてだけではなく、詩人としても天才的であることが示されている。
[編集] 邦訳
『エッダ 古代北欧歌謡集』 谷口幸男訳 新潮社 (スノッリのエッダは第一部『ギュルヴィたぶらかし』のみ)