スクレイパー
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スクレイパー(スクレーパー、Scraper)は、物質の外面(または外面に付着しているもの、堆積しているもの)を削ったり、こそげとる刃状・ヘラ状の器具を言う。小さなものでは20cmほどの手動で扱うものから、大きなものでは大型の車両に数mのヘラ状の装置が装着されている建設機械まですべてスクレイパーと称される。小さなものは英語の clean からケレンと呼ばれることもある。 ちなみに、'30年代にアメリカで超高層ビルが建設された際に「空に向かって伸びる刃」のイメージからスカイスクレイパーと呼ばれ、日本ではそれを訳して摩天楼と呼んだ。
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[編集] スクレーパー(ウィンタースポーツ)
ウィンタースポーツ用の用具としてのスクレーパーには代表的なものにアクリルスクレーパーとメタルスクレーパーがある。
[編集] アクリルスクレーパー
名前の通り、材質としてアクリル系の素材で作られている。スキー用スノーボード用、また厚みや形においても四角型から三角型など各社が特徴的な製品を発売していたりする。用途としては、主に、HOTWAXでつけたWAXを削るために使用する用具である。
[編集] メタルスクレーパー
スキーやスノーボードなどの滑走面を修復した際に、滑走面をフラットに調整するのに使用する。低温用の硬いWAXを削りやすくするために使用する場合もある。
[編集] スクレイパー(石器)
石器としてのスクレイパーには代表的なものにサイドスクレイパーとエンドスクレイパーがある。
[編集] サイドスクレイパー
日本語では削器(さくき)、横型削器、側削器とも呼ばれる。薄片石器の一種。薄片の横に刃を付けたもの。皮を切ったり、木や骨を削るのに使ったと考えられている。中期旧石器時代以降。
[編集] エンドスクレイパー
日本語では掻器(そうき)、縦型削器、端削器とも呼ばれる。薄片石器の一種。薄片の端に刃を付けたもの。皮の裏側に付いた脂肪を掻き取る、皮なめしの道具であったと考えられている。後期旧石器時代以降。
[編集] 関連項目
[編集] スクレイパー(建設機械)
建設機械としての代表的なスクレイパーには以下のようなものがある。全て土工事において土を削り取り運搬する目的で使用されるが、細かい点でそれぞれに適した作業の違いがある。また、スクレイパーはブルドーザやトラクタショベルと同様に単体で掘削・運土・敷均しを一連でこなすことができるが、これら比較すると土溜め(ボウル)が装着されていることから一度に作業できる土工量が多く、また旋回性・掘削・積み込み精度に劣ることとから精度の高い作業には向かないという違いが挙げられる。
[編集] モータスクレイパー
モータスクレイパー(Motor scraper)は原動機を搭載した自走式のスクレイパー。形状は多くの場合車体前部と後部が分割され、旋回時に屈折するアーティキュレート式であり、前後の車軸間に掘削・削り取り機構(エプロン、エッジ)・土溜め機構(ボウル)・排土機構(イジェクタ)を備える。前後部それぞれに原動機を搭載したツインエンジン(タンデムエンジン)式の機械と前部のみに原動機を搭載したシングルエンジン式の機械が存在し、前者の方が自力での掘削能力が高い。作業に対して掘削・削り取り能力が不足している場合は、2台のスクレイパーを連結したりブルドーザをプッシャ(押し進めの補助)として使用することもある。
モータスクレイパーはホイール式(タイヤ式)であることが多く、被けん引式スクレイパーと比して走行速度が高いゆえに被けん引式スクレイパーよりも長距離の運搬に向いている。
[編集] 被けん引式スクレイパー(キャリオールスクレイパー)
被けん引式スクレイパー(Carryall scraper)は原動機を搭載しないスクレイパー。単体での自走は不可能で、トラクタやブルドーザでけん引を行う。自走式の機械と比して走行能力に劣るが、原動機や運転席部分がないので小型で現場への搬入性には優り、けん引機械に履帯式の機械を用いることが多いため軟弱地や不整地、勾配での作業能力に優る。自走式の機械と同様に掘削・削り取り能力が不足している場合は、プッシャを用いることもある。
[編集] スクレイプドーザ
スクレイプドーザ(Scrape dozer)はスクレイパーとブルドーザ両方の機能を併せ持った自走機械。ブルドーザに土溜め機構(ボウル)を付加した形状をしている。ブルドーザ同様に旋回性にすぐれているのでモータスクレイパー、被けん引式スクレイパーに比して狭隘な箇所での施工に適する。