サモトラケのニケ
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「サモトラケのニケ」は、サモトラケ島(現在のサモトラキ島)で発掘され、現在はルーヴル美術館に所蔵されている勝利の女神ニケの彫像である。
現存するギリシャ文明の彫像の中で、女神ニケを題材にしたものとして貴重な彫像でもある。
その題材のみならず、優美でダイナミックな姿や翼を広げた女性という特徴的なモチーフなどが印象的で、各地にレプリカが作られ親しまれている。
大理石製で高さは328cm。紀元前2世紀頃の作であり、紀元前190年、シリアのアンティオコス3世との海戦に勝利したロードス島の人々がそれを祝ったものとする説がある。また、逆風を受けて船の舳先に立っていたとされる。
最初の発見は1863年で、フランス領事シャルル・シャンポワーゾによって胴体部分が見つかった。それに続いて断片と化した翼が見つかった。断片は全部で118片にのぼる。その後復元された像は1884年にルーヴル美術館の『ダリュの階段踊り場』に展示され、現在に至る。
右腕は1950年に発見され、ルーヴル美術館に保管されている。手は大きく広げられている。
[編集] 日本にあるレプリカ
- 美ヶ原高原美術館(長野県小県郡武石村)
- JR奈良駅
- 鳥取県立米子東高等学校
- ルーブル彫刻美術館(三重県一志郡白山町)
- 武蔵野美術大学(東京都小平市小川町)
- 多摩美術大学(東京都八王子市鑓水)
- 石川県立金沢辰巳丘高等学校
- 東京都池袋区池袋サンシャインシティー10階特別展示場
- 女子美術大学(東京都杉並区和田)
[編集] 影響
- アメリカ映画『パリの恋人』(1957年)で、ルーブル美術館の階段踊り場に置かれたサモトラケのニケを背景に、ヒロインの写真モデルが階段を降りるシーンを撮影に使っている。
- アメリカ映画『タイタニック』(1997年)で、ヒロインがタイタニック号の甲板先端で両手を広げたポーズを取るのは、船の舳先に立つサモトラケのニケの真似事である。
[編集] 外部サイト
- http://www.louvre.or.jp/louvre/japonais/collec/ager/ma2369/ager_f.htm
- 「サモトラケのニケ」、ルーヴル美術館(日本語ページ)