サタニズム
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サタニズム(Satanism)とは、宗教的、あるいは哲学的な概念、またはその運動。悪魔主義、悪魔崇拝。
一般的にサタニズムと言えば、「サタン(悪魔)」を崇拝し、悪の力をもって善なる力に打ち勝ち、世界を支配することが想像されるが、最大のサタニズム組織である「悪魔教会 (Church of Satan)」はこの考え方を否定する。悪魔教会は「サタン」が実際に存在するともしておらず、単にある概念を物質的に代表する名称として「サタン」の名を捉えている。サタニズムにも様々な形が存在するが、多くのサタニズムでは、サタンとは次のいずれかに該当する。即ち、イデア・人間性のある一面、あらゆる存在の源・あるいは宇宙を超越した何らかの力の人間界でのインターフェイス。
サタンと言えば悪や理不尽な力を連想させる言葉ではあるが、サタニズムは支持者にとってある少数派的な精神性と思想を示す言葉でもある。例えばそれは、少数派(左利き)と多数派(右利き)に言い換えることができよう。 多数派(右利き)の人々は、何か不満があれば、自分と同様に多くの人も困っているであろうと考え、状況を変化させようと努力する。それに対し少数派(左利き)の人々は、自己解決が全てであり、自分を変えようと努力する。
悪魔教会の創設者であるLaVeyansは、あらゆる神を信仰しない。例えそれがサタンという名の神であっても、だ。同様に、悪魔の掟に従うこともない(このことは、有神論のサタニズム信仰者も存在することから、サタニズムが自己矛盾した存在であると誤解されがちである)。 よって神に仕え、天の御命に従うような(欧米では一般的な)考え方も存在せず、サタニズムにおいては自身の物質的・身体的な発展と解決が殊更に重視される。
このような理由から、サタニズム信仰者は伝統的な宗教の信仰を疎んじ(キリスト教やユダヤ教。欧米では何らかの伝統的な宗教を信仰することが当然とされる)、自己中心的な世界観を構築し、エゴイスティックであることを好むと捉えられる。