グアニジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
グアニジン(guanidine)はHN=C(NH2)2の構造を持つ有機化合物の一種。強いアルカリ性を持つ結晶性の固体で、グアニンの分解によって得られる。またタンパク質の代謝によって生成し、尿中にも検出される。
[編集] 性質
分子量は59.0706 g/mol、 CAS登録番号1729-17-5、 融点50 °C、SMILES表記はC(=N)(N)N。3つの窒素によってプラスの電荷が分散安定化されるため強い塩基性を示し(pKa=12.5)、生理的条件においてはプロトン化されて+1価の陽イオンとして存在する。
[編集] 用途
プラスチックや爆薬の原料として用いられる。また水素結合を作りやすい性質から、塩酸塩などがタンパク質の変性剤として用いられる。化石燃料に代わる燃料としての研究も進められている。誘導体は有機合成において強塩基として用いられる。
[編集] 誘導体
グアニジンを含む化合物としてはアミノ酸の一種アルギニンがあり、タンパク質内でDNAとの結合など重要な役割を負う。またアルギニンから生合成されたグアニジノ基を含むアルカロイドが知られており、サキシトキシンやテトロドトキシンなど強い生理作用を持つものが多い。また、ニトログアニジンは爆薬として用いられる。
近年アルギニンを多数含むペプチドが細胞膜を容易に透過することが発見され、この作用の源がグアニジノ基にあることが証明されている。グアニジノ基を多数付けておけば大分子量のタンパク質や人工分子も容易に細胞内に取り込ませられるため、医薬・生化学分野において応用の期待が高まっている。
カテゴリ: アミン | 化学関連のスタブ項目