キャットウーマン
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キャットウーマン(Catwoman)はDCコミックのアメリカンコミック、『バットマン』に登場するキャラクター。及び、そのキャラクターを元にしたハル・ベリー主演の映画のタイトル。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] キャラクター
[編集] 原作コミック
- 本名、セリーナ・カイル(Selina Kyle)。猫のコスチュームに身を包んだ女怪盗。ゴッサム・シティの荒廃した東地区の守護者を自認する。義賊であり人を殺さないのが信条。バットマンとの共闘も多い。近年はショートカットの黒髪で、スーツは黒いレザー、暗視ゴーグルを装備する。マグダレーナ(通称マギー)という妹がいる。
[編集] 旧設定
- 初出は1940年。「ディティクティブコミック」誌に次ぐバットマンの看板雑誌「バットマン」1号より登場。ザ・キャット(The Cat)と呼ばれていた。過去は飛行機事故で記憶を失った乗務員とされたが、バットマンをごまかすための嘘であった。暴力を振るう夫から逃げ出し、自分の宝石を取り戻そうとしたのがその始まり。幾度も更正したり泥棒に戻ったり、バットマンと協力したりした。
- パラレルワールドである「アース2」では、ブルースと結婚、娘ヘレナ(Herena Wayne)を産むが後に死亡。他に「アースB」では殺人を行うキャットウーマンも描かれた。
- 当初はただのドレスを着ていたが、猫型の顔を隠すマスク、耳の付いたフードやブーツにマントをまとうようになる。緑のコスチュームであったが80年代終わりごろから紫のタイツになる。
- 60年代実写版はジュリー・ニューマン、後に黒人のアーサー・キットが演じた。スーツは黒である。ニューマンがスケジュールの都合で出演できなかった66年の映画ではリー・メリウェザーが演じている。
[編集] 現在の設定
- 1986年のリメイク版バットマン誕生譚、『イヤーワン』より設定が変更された。元売春婦として描写され、バットマンの存在を知った彼女は、それに刺激され、自らもネコをモチーフにしたコスチュームを着用し「キャットウーマン」を名乗るようになる。マフィアのボス、カーマイン・ファルコーネの娘である可能性も示唆されているが真相は未だ不明。友人にホリー・ロビンソン(Holly Robinson)がいる。『イヤーワン』でセリーナと一緒に居た売春婦である。
- 89年の映画、『[[バットマン・リターンズ』の成功により、個人タイトル『キャットウーマン』誌が与えられ、その出自が詳細に描写される。また売春婦の設定はそぐわないとして、この作品からは変更されていく。猫好きだった母親は自殺し、暴力的な父親もアルコール中毒で死亡。孤児となったセリーナは孤児院に送られ、13歳の時に院の責任者の横領を発見してしまう。バッグに詰められ川に流されるが、脱出しゴッサム東のドヤ街にたどり着いた。
- ママ・フォルトナなる泥棒のボスに盗みを仕込まれるが、友人シルヴィアを連れて逃げ出す。シルヴィアは売春婦になり疎遠になった。泥棒として活動するセリーナはバットマンとも関わりのあった挌闘家、アームレス・マスターに格闘技を仕込まれる。この後、ギャングの下請けとして用心棒のようなことをしていたとされた。『イヤーワン』での描写を売春婦から変更するためである(劇中ではセクシーなボンデージ姿だが男を痛めつける描写しかされていない)。
- アリゾナ(Arizona)という女の子を養子にしたり、一時バットマンを務めたアズラエルに協力して強敵ベーンとの戦いを助けたり、政府の諜報機関で嫌々ながら仕事をこなしたりした。この時期DCコミック社の古いヒーロー、ワイルドキャット(Wildcat)に教えを受けたりもした。ニューヨークで恐喝などの末、某社の副社長にまでなり上がり市長の座を狙うがフラッシュの敵であるトリックスター(Trickster)により正体をばらされ失脚する。
- 『No Man's Land』の時期にゴッサムに戻り、バットマンを助ける。その後、暗殺者デスストローク(Deathstroke)に殺されたものと思われていたが、その行方を追っていた探偵スラム・ブラッドレイ(Slam Bradley)と古い友人ホリー(Holly)と共に、バットマンのように東地区イーストエンドの自警行為を行うようになる。
- 『Hush』の時期はバットマンの正体を知り、恋愛関係にあったが結局身を引いた。この時期のセリーナの改心は、魔術師ザターナ(Zatanna)による洗脳の影響だと知り、彼女は不安定となる。売春婦になったかつての友人シルヴィアはセリーナを憎んでおり、彼女から情報を得た脅迫者はホリー達を狙ってくる。怒りに燃えたセリーナは黒幕のブラックマスクを殺害してしまった。
- 『One Year Later』で再登場するが、既にイーストエンドを離れ、イレーナ・ドノヴァン(Irena Dubrovna)と名を変え、父親の分からない娘ヘレナ(Helena)を生む。その間、ホリーがキャットウーマンを引き継いでいた。狂信的映画マニアフィルムフリーク(Film Freak )と重力を操るアングルマン(Angle Man)により正体がばれ、ヘレナが誘拐される。セリーナはキャットウーマンとして復帰、ヘレナを奪回し、ザターラに彼らの記憶を消すよう頼んだ。テッド・グラント(Ted Grant)(ワイルドキャットの本名)の知らせで、ホリーがブラックマスク殺害犯として逮捕されたことを知り、ゴッサムに戻った。
[編集] エルスワールド
- パラレル、番外編として描かれた作品にもセリーナは登場する。『ダークナイトリターンズ』では売春婦の元締め。ジョーカーに利用され、ボロボロにされる。ブルースの葬儀でスーパーマンに食って掛かっていた。ヒーロー達の老年期を描いたキングダム・カムではリドラーと共に、超能力者たちを危険視する人類悪役同盟側で登場。
[編集] ホリー・ロビンソン
- 二人目のキャットウーマン。セリーナがいない時期に代役を務めた。レズビアンでカロンという恋人がいる。
- セリーナと別れたあと、彼女の妹マギー(Maggie)の修道院に身を寄せていた。売春婦に戻ったのち、キャットウーマンと再会、イーストエンドで彼女の助手を務めていた。ブラックマスクに差し向けられた刺客により瀕死の重傷を負い、セリーナは彼女自身に挌闘を学ばせるため、テッド・グラントに彼女を任せた。その後セリーナがシティから姿を消したため、キャットウーマンとなる。
[編集] 映画『バットマン・リターンズ』
- 本名セリーナ・カイル。ティム・バートンの作家性の強い本作では大胆に設定が変更されている。
- ゴッサムの実業家、マックス・シュレックの秘書として登場。自分に自信がなく、常におどおどしている。だがシュレックのシティを支配しようとする野望を知ってしまい、口封じのためにビルから突き落とされてしまう。運良く一命を取りとめた彼女は、ネコの神秘的なパワーと感応し、キャットウーマンとなって復讐を誓う。
- ツギハギした黒革のボンデージ風コスチュームに身を包み、長いムチをふるう。
- 演じたのはミシェル・ファイファー。
[編集] アニメ『バットマン』シリーズ
- 表の顔は動物の権利保護運動家として登場。環境破壊などを行う企業などから金品を盗む。初期は灰色のコスチュームで、ムチを武器としていた。デザイン変更後は黒のコスチューム。日本語版は高島雅羅が演じた。
[編集] 映画『キャットウーマン』
- 本名、ペイシェンス・フィリップス(Patience Phillips)。シャイで感じやすい芸術家タイプのグラフィックデザイナー。
- ある日、彼女が働いている巨大な化粧品会社「ヘデア・ビューティー社」が革命的な老化防止商品の発表を控えて際、彼女はその商品に関する驚くべき秘密を知ってしまい、暗殺される。
- しかし彼女はエジプトの猫神「マオ・キャット」の力によって蘇り、猫の強さやスピード、俊敏さ、そして超人的に鋭い感覚を持って生まれ変わった。
- 2004年にピトフ監督で実写映画化されたもの。ハル・ベリーがキャットウーマンを演じたが振るわず、作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞の4部門でラジー賞を受賞した。ベリーはこの授賞式に出席し(賞の性質上、ノミネートされた上で出席する人はほとんどいない)、アカデミー賞を受賞した時のスピーチを再現してみせた(このときの言葉はスタッフに対する皮肉を込めたものだったようであるが真意かどうかは不明)。これは呆れられるどころか、喝采を浴びた。
- 出演:
- ペイシェンス・フィリップ-ハル・ベリー
- トム・ローン刑事-ベンジャミン・ブラット
- ジョージ・ヘデア-ランバート・ウィルソン
- オフィーリア・パワーズ-フランセス・コンロイ
- ローレル・ヘデア-シャロン・ストーン
- 監督:ピトフ
- 撮影:ティエリー・アーボガスト
- 美術:ビル・ブルゼスキー
- 編集:シルビー・ランドラ
- 音楽:クラウス・バデルト
- 製作:ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズ
[編集] 外部リンク
- キャットウーマン(映画)
[編集] アニメ『ザ・バットマン』
[編集] ゴッサム・シティ・エンジェル
- バットマンに登場する女性キャラクターをメインに製作された実写ドラマ。ヒーローの一人、ハントレスの母親としてゲスト出演。