カーボンブラック
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カーボンブラック(Carbon Black)は、工業的に品質制御して製造される直径3-500nm程度の炭素の微粒子。炭素の微粒子として広義の用語であるススは工業的に品質制御して製造されていないものを含んでいる。化学的にはいちおう単体の炭素として扱われるが、表面には様々な官能基が残存した複雑な組成を持ち、いわゆる無定形炭素と呼ばれるものに含まれる。絵具に使われるランプブラック(油煙)もカーボンブラックに含まれるが、一般的には石炭乾留で副生されるクレオソート油、石油精製等で副生される重質芳香族油、アセチレンなどといった炭化水素を熱分解して製造する。
粒子表面の官能基のため、ゴムとなじみがよく補強材として添加され、この用途が使用量の90%を超える。カーボンブラックで補強された製品としてはタイヤがよく知られている。他に黒い色を利用して黒色顔料としても使われる。顔料としてのカーボンブラックのカラーコードはPigment Black 7で、塗料、印刷インク用の着色顔料として使用される他、直接プラスチックと混合させて着色させたり、着色プラスチックを粉砕して微粒化してコピー機のトナーにも用いられる。
なお黒色顔料の名称として「カーボンブラック」と呼ぶときは狭義には冒頭で定義した炭素の微粒子を指すが、広義には炭素からなる黒色顔料の総称として使われるので、顔料以外の分野ではカーボンブラックに含まれないアイヴォリーブラック(象牙黒、今日では使われない)、ボーンブラック(骨炭、今日の黒色絵具で「アイヴォリーブラック」とあるものはボーンブラックを主成分とする)、ピーチブラック(桃核炭)、ヴァインブラック(葡萄黒)も顔料の分野では広義のカーボンブラックに含まれる。なおこのうちアイヴォリーブラックとボーンブラックは動物を原料とするので動物性黒と総称され、ピーチブラックとヴァインブラックは植物を原料とするので植物性黒と総称される。