カルデロン・デ・ラ・バルカ
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ペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカ (Pedro Calderón de la Barca, 1600年1月17日、マドリード - 1681年5月25日)は、ロペ・デ・ベーガと並ぶ17世紀スペイン・バロック演劇の代表的な劇作家、詩人である。奇知・誇飾というバロック的表現を得意とした。
ロペ・デ・ベーガやティルソ・デ・モリーナの開拓した娯楽としての演劇の潮流を受け継ぎ、趣向を凝らした舞台装置、舞踊や音楽を織り込んだ、スペインにおける「ショー」としての演劇を完成させた。
『当世コメディア新作法』などでロペ・デ・ベーガの提唱した「新しい演劇」(三幕、二重プロット、悲喜劇、王侯貴族と平民の混在、名誉と信仰のテーマ)を継いでいるが、カルデロンはさらに、修辞を駆使した、緻密で哲学的な独自の作風を築き上げた。
生涯にわたって約120本の喜劇と約80編の聖体神秘劇を書いたと言われ、幕間劇や笑劇なども数十篇残している。名誉(オノール honor)をテーマにした劇(『名誉の医者』)、いわゆる「マントと剣」のコメディア(『淑女「ドゥエンテ」』)、歴史を題材にしたコメディア(『サラメアの司法官El alcalde de Zalamea』)、また、現世の移ろいやすさと信仰の重要性をテーマとした哲学劇(『人生は夢La vida es sueño』)、宗教劇(『驚異の魔術師』、『不屈の王子』)、ギリシア・ローマ神話を下敷とした神話劇(『エコーとナルキッソス』)など、創作の幅は極めて多岐にわたっている。代表作である『人生は夢』 はコメディアと神秘劇の両方が存在する。
20世紀演劇におけるカルデロンの上演では、ポーランドの演出家グロトフスキによる『不屈の王子』(1970)が有名である。
参考文献: 佐竹謙一『スペイン黄金時代の大衆演劇 ロペ・デ・ベーガ、ティルソ・デ・モリーナ、カルデロン』、三省堂、2001年。