カッサンドラ
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カッサンドラは、ギリシア神話に登場する悲劇の予言者として知られるイリオス(トロイア)の王女である。
プリアモス王とヘカベとの間に生まれた。長兄にイリオスの英雄ヘクトル、兄に「パリスの審判」で知られイリオスに戦乱(ひいては滅亡)をもたらしたパリスを持つ。同じく予言能力を持つヘレノスとは双子だという。
アポロンに愛され、予言能力を授かった。しかし、アポロンの愛を拒絶したため、カッサンドラの予言は誰にも信じられないようにされてしまったという。カッサンドラは、パリスがヘレネをさらってきたときも、トロイの木馬をイリオス市民が市内に運び込もうとしたときも、これらが破滅につながることを予言して抗議したが、誰も信じなかった。
イリオス陥落の際、小アイアスにアテナの神殿において陵辱された。小アイアスは、これによってアテナの怒りを買い、ギリシアへの航海の途中で溺死させられた。カッサンドラはアガメムノンの戦利品となり、ミュケナイにつれてゆかれた。そして、アガメムノンと共に、アガメムノンの妻クリュタイムネストラの手にかかり、命を落とした。
これにちなんで、イタリア語では日常の会話で「カッサンドラ」で「不吉、破局」といった意味を持たせて使う。
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[編集] 関連項目
[編集] カッサンドラを扱った文学・芸術
[編集] 現代文学
- 『ファイアーブランド』 (マリオン・ジマー・ブラッドリーの小説)
[編集] 音楽
- 『カッサンドラの嘆き』フランチェスコ・カヴァッリのオペラ中の一曲
- 『カッサンドラ』 ヤニス・クセナキスの独唱声楽曲
- 『トロイアの人々』 ベルリオーズのオペラ。前半はカッサンドラが主人公。後半はアェアネス(アエネイス)。
- 『カサンドラ』 スウェーデンのポップ・グループ、アバもグループ末期の1982年にトロイアの悲劇を題材にした抒情詩的曲を発表。当初はシングル「ビフォー・ユー・ケイム」B面に収録され、その後アルバム「ザ・ビジターズ」にボーナストラックとして加えられた曲だが、かつてのヒット曲に比べ知名度は低い。日本語表記は「カサンドラ」。
[編集] 映画
- 「カッサンドラ・クロス」 カッサンドラは、直接登場しない。列車の衝突予測場所に命名されている。日本語表記は「カサンドラ」。