イールドカーブ
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イールドカーブ(Yield curve:利回り曲線)とは、債券などの利回りと償還期間の相関図における曲線のこと。
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[編集] 概要
一般に、利回りは償還期間が長くなるほど高い。
例を挙げると、債券・定期預金は1年満期のものより、2年満期のもののほうが一年あたりの利率が高い。
[編集] 金利上昇リスク
仮に、1年で償還される債券の利回りが1%とする。市場では、先々金利が上昇すると見込まれており、来年は2%、再来年は3%と予測されていたとする。1年物債券を毎年購入していくと、三年後には複利で1.061倍に増えることになる。もし、3年物債券があるとすれば、三年間で6.1%増えるはずである。これは一年当たりに換算して1.99%の利回りになる計算になる。
この条件の場合、2年もの債券は、1.50%の利回りになる。
X軸を償還期間、Y軸を利率として表を作ると、右上がりの線になる。
これがイールドカーブ(利回り曲線)である。
[編集] 将来リスク
債券発行体の信頼性は、遠い将来ほど低下する。明日は倒産しないだろうし、1年後も大丈夫そうだが、10年後となると分からないといった具合である。
この場合、1年満期と10年満期が同じ金利であれば、みな1年満期を選び、満期後に買いなおすという行動でリスクを低下させるであろう。
そのため、償還期間の長い債券を発行する場合は金利を上乗せしなくては発行が困難となる。
これを将来に対するリスクプレミアムと呼び、X軸を償還期間、Y軸を利率として表を作ると、右上がりの線になる。
[編集] 結果
結果的に、二つの傾向を合成することで、イールドカーブが形成され、多くの場合右上がりの傾向にある。
このカーブの傾斜が緩やかになることをフラット化、傾斜が急になることをスティープ化と呼ぶ。
また、逆イールドカーブと呼ばれる、右下がりの曲線になる場合が稀にある。これは長短金利の逆転という現象が起きている場合である。