アンホ爆薬
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アンホ爆薬(Anmonium Nitrate Fuel Oil explosive, ANFO, 硝安油剤爆薬)は、爆薬の一種。 火薬学会規格 (VI) では硝酸アンモニウムと燃料油(引火点50℃以上)からなり、他の火薬、爆薬、金属粉等を含まない爆薬で工業雷管または電気雷管で起爆しないものをいう。配合例は、硝安94%燃料油6%。起爆には他の爆薬(ダイナマイト等)を雷管で起爆し伝爆する。日本で製造が始まったのは1964年である。ダイナマイトより安全 (発生ガスの量に比して発生熱量が少ない) かつ安価なので砕石などの坑外発破に急速に使用を広げた。
[編集] 歴史
アンホ爆薬が発明されたのは1950年後半であるが、発明者は不明で特許もない。当時北米でロバート・アッカーやメルヴィン・クックが硝安と種々の物質を組み合わせた安価な爆薬の特許を多数取っている。特にクックは硝安と水、鋭感剤のスラリー爆薬をカナダの鉱山で実用していたので、誰かが硝安と軽油を混ぜてみたのであろう。軽油は鉱山機械のディーゼル燃料として到るところにある。特許が無いため北米から世界に急速にひろまった。日本で製造が始まったのは1964年である。ダイナマイトより安全かつ安価なので砕石などの坑外発破に急速に使用を広げた。最初は既存のダイナマイト製造者がアンホを製造し、ダイナマイトと同様に一本ずつ包装したが、それではアンホの利点を利用できないので、発破業界で製造し、バルクで発破現場に運搬し、発破孔に注入するようになり、さらに火薬類取締法の改正で移動式製造機の使用が可能になり、肥料硝安と軽油から発破現場で製造してアンホの利点を完全に享受できるようになった。アンホがダイナマイトと製造量で比肩したのは1973年であり、最近ではダイナマイトの約3倍以上の量が使用されている (その代わり国によってはこれを使った密漁が横行しており、材料がどこでも入手可能なため取締りが困難である) 。
[編集] 組成
主成分の硝安は軽油を良く吸収するように多孔質プリル状のものを使用する。これは硝安製造工場で高い塔頂から熱溶融硝安をスプレーし落下中に冷却し粒にする。硝安は保存中に空気から湿気を吸い固化する性質があるので、有機防結剤を添加するが法規上0.2%以下と規定されている。有機物があると硝安の爆発性が増し危険なためである。1947年にアメリカテキサスで肥料用硝安を満載した貨物船が火災から大爆発をおこしたのは有機防結剤の存在のためであろう。またアンホは雷管では起爆されないことが法規上の絶対条件であるが、ある種の有機防結剤は製品アンホの雷管感度を上げてしまう。