アルキルリチウム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アルキルリチウム化合物は一般式 RLi で表される炭素−リチウム結合を持った化合物のこと。その合成は主にハロゲン化アルキルと金属リチウムとの反応により行われる。また、アルキルリチウム化合物は溶液中で会合体を形成しており、配位性の化合物の添加により会合度が低下し、反応性に大きな影響を与える。
目次 |
[編集] 主なアルキルリチウム化合物
市販品として良く用いられるアルキルリチウム化合物としてはメチルリチウム、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウムなどが挙げられる。
メチルリチウムは主に化合物のメチル化に用いられる。ヨウ化メチルが Me+ 等価体であるのに対し、メチルリチウムは Me− 等価体である。
n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウムは主に有機化合物のリチオ化に用いられる。
[編集] 反応
アルキルリチウムはグリニャール試薬と同様に求核剤として用いられることもあるが、含ハロゲン化合物のリチオ化や塩基として用いられることも多い。
[編集] リチオ化
- 含ハロゲン化合物(R−X: 主に芳香族ハロゲン化合物)とのハロゲン−金属交換反応により、リチウム化合物 (R−Li) が生成する。n-ブチルリチウムが当量のハロゲン化合物と反応し、リチウム化合物とハロゲン化ブチルを生成するのに対し、t-ブチルリチウムを用いた場合には、生成したt-ブチルハライドに対してt-ブチルリチウムが塩基として反応するため二当量のt-ブチルリチウムが必要である。
- 含ハロゲン化合物に限らず、官能基を持った芳香族化合物はその官能基のオルト位置がリチオ化され得る。すなわちAr-Hがアルキルリチウムとの反応によりAr-Liとなる。このような反応はオルトリチオ化と呼ばれる。
[編集] 塩基としての反応
- 単純なアルカンの pKa は大きく、そのリチウム化合物は強い塩基となる。アルキルリチウムの求核性が高いため、塩基としての反応は限られるが、活性プロトン(R−OH, R2NH の H など)を持つ化合物との反応によりリチウムアルコキシドおよびリチウムアミドが生成する。