みどりの機関車ヘンリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
みどりの機関車ヘンリー 汽車のえほん6(みどりのきかんしゃへんりー きしゃのえほん6、英:HENRY THE GREEN ENGINE)は、イギリスのウィルバート・オードリー牧師が1951年に発表した汽車のえほんシリーズの第6巻。
目次 |
[編集] 概要
シリーズ中唯一5話の短編作品を収録。低学年の児童向け絵本。挿絵はレジナルド・ダルビーが担当。ポプラ社から1973年12月に日本語訳が出版されていたが、2004年頃一旦絶版。2005年に改定新版がでた。
[編集] 成立の過程と作品背景
1945年から、ほぼ毎年に1巻づつ続巻してきた本シリーズの第6巻。これまで、たびたび不調を訴えていたヘンリーが活躍する話4篇と、前巻で新登場したパーシーがちょっとした失敗をする話1篇。
[編集] 収録作品
- ヘンリーと石炭 (Coal)
- フライング・キッパーごう (The Flying Kipper)
- ゴードンのきてき (Gordon’s Whistle)
- パーシーのマフラー (Percy and the Trousers)
- ヘンリーのくしゃみ (Henry’s Sneeze)
[編集] 登場機関車
テレビシリーズの機関車紹介と重複する解説は省略、本巻の内容で特筆すべきものを紹介。
- ヘンリー ついにダルビーの救済のため、ヘンリーが大改造を受けてゴードンとは別の外見になる。改造前でも少し機関車を見る目があれば充分別の機関車に見えたが、ダルビーには区別が出来無かったらしい。そんな訳で充分オードリー牧師の指示を聞いている此の巻は、挿絵に整合性の無い所が少なく旧版P9のようなダルビーが苦手なメカニカルな挿絵も破綻なく描かれている。あえて難癖をつけると、スポーク車輪が細かすぎるくらいか。旧版P21の列車種別標識灯は、もちろん急行貨物を表している。また、イギリスの機関車はヘッドライトが無いのが普通で描き忘れたわけではない。
- ジェームズ
- パーシー 牧師に言われて、真横の絵だけは指示通りに描いたようだ。前からみると相変わらずまんまるのタンクがボイラー下部まで回り込むありえない形状をしている。
- トーマス 真正面の挿絵で真空ブレーキのホースが中央にあり、ここはおかしい。牧師は見落としたんだろうか。
- エドワード この巻から、登場機関車に番号が描かれるようになった。小さい挿絵でも「2」が確認できてエドワードとわかる。
- ゴードン
[編集] トップハム・ハット卿
本書の前書きの中で機関車たちに番号が振られた事を報告する一方で、局長の名前を始めて明らかにしている。第4話「パーシーのマフラー」の2枚目の挿絵(旧版P45)のホーム脇の荷物用踏切を渡る台車には、「SAR TOPHAM HATT」と書かれた黒い荷物が載せられている。作中にふとっちょのきょくちょうの名前が出てきたのは、この挿絵が初めてである。
[編集] 表現上の問題
5話の旧版P60最後の行が原文では、当初“as black as niggers”とあって、これが言葉狩りに逢って“as black as soot”に書き直されてしまった。子どもの顔が黒人みたいだったの表現には、悪意は無かったが、ニガーの単語の使用は不適切だった。
[編集] ミステリー
本巻の出版の翌年1952年12月15日にウェールズのデボン州トーレ駅において、ダートマス発ロンドン行きの鮮魚と肉の専用急行貨物列車と、同駅の構内の貨物操車場でその専用貨物列車の通過を待つ普通貨物列車との間で発生した事故は、本巻第2話に酷似していてミステリアスである。折からの寒波でポイントが凍結して操作場の普通貨物列車側へ分岐したまま不動作になっていた。当然通過線を通るはずだった専用急行貨物列車は、通過線に入らずに普通貨物列車の後部に激突した。死亡者こそ奇跡的にでなかったが、いくつかの折れている腕、脚、いくつかの壊れているコーヒー・マグ、いくらかの駄目になったトーストが雪の上にある事故直後の様子は、絵本旧版P27の挿絵で予言されていたかのようだ。