まじっく快斗
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『まじっく快斗』(まじっくかいと)は青山剛昌の漫画作品。 週刊少年サンデー1987年26号に初登場。その後、同年の週刊少年サンデー11月増刊号より連載化された。翌1988年8月号まで連載していたが、週刊少年サンデーで『YAIBA』の連載が決まったため中断。2006年現在も未完のままである。単行本は1~3巻まで発売中。『YAIBA』『名探偵コナン』執筆中も週刊少年サンデー増刊号、週刊少年サンデーに不定期に掲載し、コミックス一冊分は書かれたが、4巻の発売は未定。週刊少年サンデー2007年4・5合併号と6号で前後編として連載予定。
目次 |
[編集] あらすじ
マジック好きの高校生、黒羽快斗はある日、自室の隠し扉を発見し、開いてしまう。それは、8年前にマジックの最中に事故死した世界的マジシャンの父、黒羽盗一が仕掛けた最後のマジックだった。そこにあったのは世界的な大泥棒、怪盗キッドの衣装。キッドは8年前から姿を消していたが、最近復活していた。快斗は衣装を纏い、キッドに会いに行く。そこで出会ったのは父のかつての付き人、寺井。そこで快斗は父が怪盗キッドであり、事故死ではなく、殺されたのだと知る。快斗は父を殺した人物を探すべく、自らが怪盗キッドとなった。
怪盗キッドとして活動していたある日、キッドは自分を「黒羽盗一」と呼ぶ組織と遭遇。彼らこそ父の仇だった。その組織が求めるのは不老不死が得られるという伝説のビッグジュエル「パンドラ」。快斗はその野望を阻止すべく、組織より先にパンドラを見つけ出して、破壊することを決意する。
[編集] 作品構造
作者の代表作『名探偵コナン』に怪盗キッドが登場した(参照:スピンオフ作品)ことにより広く知られることとなった本作ではあるが、連載開始は本作の方が古く、1987年の初出以前にも『さりげなくルパン』という原型作品が存在する。作者曰く、元々漫画家になった動機は、この作品を描きたかったからだという。
この作品はTVアニメ版『ルパン三世』を思わせるようなコミカルな世界観であり、非現実的なトリックを使ったり、魔法が存在したりする。これは、より現実的な世界を追求していると言える『名探偵コナン』の世界観とはかなり異なっており、この点から両者の世界が完全に同一のものであるとは言い難いが、特別編(名探偵コナンVS怪盗キッド 完全版に収録)にてまじっく快斗の世界に工藤新一が登場したり、基本的設定を継承している。主人公・怪盗キッドに対する印象も読者にすれば両者の間で印象が異なるが、これは視点そのものが違うためと思われる。『名探偵コナン』における怪盗キッドはクールさが強調される。
また、「謎の組織」、「主人公が正体を偽り世間一般に秘密にしている」、「主人公の元の容姿や声が似ている」などなど共通(類似)の設定も多々あり、ファンにとっては大変興味深い。 作者曰く、それら類似の設定には何か理由があるらしい。
増刊号連載期は単にコミカルな怪盗ものといった雰囲気であったが、盗一の仇である組織が登場して以降、快斗の盗みの目的が明確化したこともあり若干趣が変わっている。コミカルな世界観であることに変わりはないものの、組織の影がちらついたり、父の過去にまつわるエピソードがあったりと以前にはなかったシリアスさが加わるようになった。このことは、『名探偵コナン』においても連載初期はややシリアスさが薄かったことから、作者の作風全体の変化とも考えられる。
[編集] 登場人物
- 黒羽 快斗(くろば かいと)(声優:山口勝平)
- 本編の主人公。マジックが得意な江古田高校二年生。父の秘密を知り、その仇を討つべく「怪盗キッド」となる。初めは宝石だけではなく様々な美術品を標的にしていた。少々スケベ。青魚とアイススケートが苦手。『名探偵コナン』の主人公・工藤新一との最大の違いは彼がかなり上流家系のお坊ちゃんで、両親も健在であるのに対し、こちらは父のかつての付き人こそいるものの、第一話に登場した家は母子家庭のかなり質素な雰囲気である。幼い頃に新一の母、工藤有希子と面識があった。
- 作者が言うには、『名探偵コナン』での彼の役割は、真の『ホームズ対ルパン』を描くためのアルセーヌ・ルパンであるらしく、(作者は、ホームズシリーズとルパンシリーズ両方のファンであるため、)両方に勝たせたくない(正確には、両方に負けてほしくない)らしい。その為か、工藤新一とは何かと対になるように描かれており、工藤新一は探偵で黒羽快斗は泥棒、工藤新一の制服はブレザーで黒羽快斗の制服は学ラン・・・などと挙げればキリがないほど完全なまでに対を成すように配慮されている。
- 身長174cm。体重58kg。B型。IQ400。誕生日6月21日。
- 黒羽 盗一(くろば とういち)
- 快斗の父で世界的なマジシャン。初代怪盗キッドだったが、8年前のマジックの最中に亡くなる。新一の父・工藤優作と対決し、ライバルと認めていたようだ。工藤有希子と黒の組織のベルモットに変装術を教えた事がある。
- 怪盗キッド(かいとうキッド)(声優:山口勝平)
- 世間を騒がせている正義の大怪盗。18年前のパリに初めて出没、8年前に活動が無くなったが最近日本で活動を再開。神出鬼没で大胆不敵、変装が得意で何人もの声色を変声器なしで使うことができる。純白のシルクハットにマント、モノクル(片眼鏡)といったステージ衣装を身に纏い、トランプを発射する拳銃や折りたたみ式のハンググライダー、催眠スプレーなどを駆使して獲物をねらう。標的を盗む際は、事前に必ず予告状を送る。作品内の一部では「快盗」の表記も使われている。黒羽親子のもうひとつの姿。
- 怪盗キッドの名前の由来は、どこかの警察的組織(噂ではインターポールともFBIともCIAともいわれるが正確なところは不明)が極秘につけたシークレットナンバー1412が外部に漏れ、怪盗1412号と呼ばれるようになったという。しかし日本では各国の警察を子供のように手玉にとる怪盗1412号に興味をもった工藤優作が、新聞記者が殴り書きした1412を「KID.」と読んだため、それが定着した(『名探偵コナン』より)。
- 中森 青子(なかもり あおこ)(声優:岩居由希子→高山みなみ)
- 快斗の幼馴染みで同級生。キッドの正体が快斗だということは知らない。警察官の父親がキッドをなかなか捕まえることができないため、キッドを嫌っている。
- 中森 銀三(なかもり ぎんぞう)(声優:石塚運昇)
- 青子の父親で港警察署に所属する警部。後に警視庁捜査二課へ転属となる。先代キッドの頃からキッドを逮捕するため追い続けている。『まじっく快斗』においては怪盗キッドを捕えるべく毎度気炎を吐くものの、結果的にいつも振り回されてしまうという負け役としての描かれ方が多いが、コナンに登場した際にはキッドの癖や手口を経験的に熟知し、コナンより先にキッドの暗号を解くなど、刑事としての捜査力、推理力はかなりのものであると思われる。
- 小泉 紅子(こいずみ あかこ)(声優:林原めぐみ)
- 寺井 黄之助(じい こうのすけ)(声優:肝付兼太)
- 近所にあるビリヤード場のオーナー。快斗の世話人であり『怪盗キッド』の助手。元は快斗の父・盗一の付き人。一時は彼が盗一の死後、その仇を討つため『怪盗キッド』の名を騙っていた。
- 桃井 恵子(ももい けいこ)(声優:岩居由希子)
- 快斗、青子、紅子らの同級生。
- 白馬 探(はくば さぐる)(声優:石田彰)
- キッドを捕まえようとしている高校生探偵。警視総監を父に持つ。時間には正確で、懐中時計を所持。犯人に対して放つ「なぜこんな事を…」が決めゼリフのキザな男。現場ではシャーロック・ホームズの格好をしているが、『名探偵コナン』に登場するときは普通の格好をしている。イギリス在住だったが、快斗と同じ江古田高校へ転校、のちに再びイギリスへ帰る。ワトソンという鷹を飼っている(『名探偵コナン』のみでの登場)。
- 作者が言うには、「『まじっく快斗』での役割は、シャーロック・ホームズであったのだが、『名探偵コナン』に出すにあたって、ホームズはコナン(新一)であるため、イジドール・ボートルレ(ルパンシリーズ内の探偵)となってしまった。」らしい。
[編集] 原型
本作の原型として、読切作品『さりげなくルパン』がある。この作品では、学校からテスト問題を盗み出す問題児流犯快斗(るぱん かいと)と、探偵部をやっている刑事の娘宝陸藍子(ほーむず あおこ)が登場する。雑誌掲載が一切なかった作品で、少年サンデーブックス「青山剛昌短編集 4番サード」で初めて日の目を見ることとなった。
[編集] ほかの作品との関わり
怪盗キッドは同じ作者の漫画作品、『名探偵コナン』の中でたびたび江戸川コナンと対決している。工藤新一と容姿や声が似ていて(声優は同じ)、『名探偵コナン』初登場時(すれ違った蘭が新一と間違う)や映画『名探偵コナン 世紀末の魔術師』、『名探偵コナン 銀翼の奇術師』に活かされている。なお、映画限定で快斗はコナンの正体を阿笠博士との通信を盗聴し、掴んでいる。ただし、原作やレギュラーアニメではその通信傍受の場面そのものが無いためにこの設定はないと思われる。また、中森警部は数回、白馬は2度、コナン本編に登場している。反対に工藤新一と目暮警部も快斗本編に1度登場している。作者によれば、怪盗キッドの『名探偵コナン』への登場は、元々一度限りの「スペシャルゲスト」であったという。
『まじっく快斗』内では『YAIBA』の鉄刃と宝刀を巡り対決、工藤新一とは『名探偵コナン』のコナンと対決する前の話として時計塔を巡り対決している(この際二人は顔を合わせなかったため、互いのことを知らないまま対決は終わりになっているが、その後工藤新一について調べマークしていた為にコナンの正体を知っている)。なお、宝刀を巡る対決の話は、原作にあたる漫画では登場しなかった『名探偵コナン』のコナンなどのキャラクターまでも登場させた、『コナンVSキッドVSヤイバ 宝刀争奪大決戦!!』というタイトルでOVA化され、サンデーの応募者全員サービスで一時期販売されていた。この話は2006年にDVD化され一般に陽の目を見ることとなる。
[編集] 単行本
- まじっく快斗1 1988年04月15日 ISBN 4091220819
- まじっく快斗2 1988年10月15日 ISBN 4091220827
- まじっく快斗3 1994年09月15日 ISBN 4091220835
[編集] 関連書籍
- 名探偵コナンVS怪盗キッド 2004年05月01日 ISBN 4091794041
- 青山剛昌短編集 4番サード 1999年12月15日 ISBN 4091218466(原型作品『さりげなくルパン』収録)