スターラスター
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スターラスター | |
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ジャンル | シューティングゲーム |
対応機種 | ファミリーコンピュータ[FC] アーケード[AC] プレイステーション[PS] |
開発元 | ナムコ(現・バンダイナムコゲームス) |
発売元 | ナムコ(現・バンダイナムコゲームス) |
人数 | 1人 |
メディア | [FC]320Kbitカセット [PS]CD-ROM1枚 |
発売日 | [FC]1985年12月1日 [AC]1985年 [PS]1998年6月4日 |
『スターラスター』(STAR LUSTER)とは、ゲームメーカー ナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が1985年12月に家庭用ゲーム機ファミリーコンピュータ向けに発売したゲームソフトである。媒体は320キロビットROMカートリッジ。定価3980円。
目次 |
[編集] 解説
擬似3D処理によるリアルタイム戦闘パートと、これと並行して進行するリアルタイムストラテジー(シミュレーション)パートを融合した、当時としては画期的なゲーム作品であり、操作の難しさ等から広く一般には理解されなかったものの、マニアの間では根強い人気を呼んだ。
[編集] 概要
スターラスターの特徴は、1人称視点による擬似3D処理をメインとして、三次元の宇宙空間における戦闘をリアルタイム処理しながら、戦域に侵攻する敵勢力を阻止・撃退するためのストラテジーシミュレーションの要素も同時にリアルタイム進行し、プレイヤーはその双方への対処を求められるなど、当時としては画期的なゲームシステムを実現していた点にある。
このゲームシステムの直接のルーツとしては、米ATARI社の8ビットパーソナルコンピュータ Atari-800 用のゲームソフト「Star Raiders」に見ることができるとする指摘がある。 また個々の要素に関しても、3D戦闘は米ATARI社の業務用スターウォーズ(ベクタースキャンモニタとワイヤーフレームによる実装)や、国産PC-8001mkIIに実装されたORION等の擬似3Dシューティングゲームが、シミュレーション部も8bitコンピュータの黎明期においてBASIC(またはTINY BASIC)言語によって記述されマニアの間で遊ばれていた、スタートレック(スターフリート)というストラテジックシミュレーションゲームをモチーフとしている。
現在のゲームに例えるなら、共に一線級のリアルタイムストラテジー(RTS)と戦闘機シミュレータを一本に融合したようなものである。 これらをたった32KBのROMに詰め込み、当時としては高水準の3D処理とリアルタイム性を実現した点で高い評価を得ている。
実際には、ゲーム開始の時点における惑星や基地、敵などの初期配置でゲームの難易度が変化し、ゲームモードによっては(アドベンチャーモードでは)確実にクリア不可能な「詰んだ」配置も見られるなど、多分に「運ゲー」の要素もあるが、待ったなしで進行するリアルタイム3Dとストラテジーシミュレーションの融合は、独特の緊迫感と無常観が感じられるなど、小さなコンピュータ(のROM)の中に無限の宇宙を感じさせるとして、ファンの間では根強い人気を獲得している。
[編集] ストーリー
バッツーラと呼称される敵対勢力が人類の版図に侵入しており、また彼らは宇宙の中でもう一度ビッグバンを発生させ宇宙の破壊を目論んでいるため、それらを阻止する。
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[編集] ゲームシステム
一人称視点の3Dシューティングであり、プレイヤーは戦闘機ガイアを操り、侵攻する敵勢力バッツーラを殲滅することが目的となる。
自機となる戦闘機ガイアには、エネルギーおよびシールドのゲージがあり、エネルギーがゼロとなり行動不能になる、被弾してシールドを喪失した上でダメージを受ける、ないしはシールドでは防ぎ切れない大ダメージを被る等して機体が完全に破損した場合にゲームオーバーとなる。また、敵に全ての基地や惑星を破壊された場合もゲームオーバーである。 なお、シールドは(回復可能な状況であれば、エネルギーを消費して)自動的に回復される。
敵は幾つかの編隊に分かれて戦域に散開しており、放置するとそのうちに味方の基地や惑星を攻撃・破壊してしまうため、これらを広域レーダー画面で補足した後にワープし、会敵・殲滅を繰り返す形でゲームが進行する。
敵編隊と接触(広域レーダーにおいて同一のマスに移動)すると自動的に戦闘画面となり、三次元空間を縦横無尽に飛び回りながら戦闘を行うこととなる。またこの戦闘中にも広域画面上では敵編隊は個々に移動を続けており、惑星や基地などが新たに(場合によっては同時に複数が)攻撃されることもあるため、プレイヤーにはどの編隊とどの順番で戦うか、またどの基地や惑星を回り守るかといったストラテジー面においても、迅速かつ的確な判断が要求される。
[編集] ゲームモード
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- TRANING
- トレーニングモード。戦域内に補給基地と少数の敵編隊が現れ、これを殲滅する。
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- COMMAND
- コマンドモード。戦域内に補給基地と敵編隊多数が現れ、これを殲滅する。
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- ADVENTURE
- アドベンチャーモード。戦域内に補給基地と敵編隊多数、および8つの惑星が現れ、敵勢力の侵攻を阻止しながら各惑星を巡回して7つのキーを集め、敵対勢力の本拠地となる暗黒惑星を探し出しこれを殲滅することが目的である。
- コマンドモードと同様に敵編隊を全て撃破した場合にもゲームクリアとなるが、これによって真のエンディングが訪れる事はない。
[編集] 惑星
- アドベンチャーモードにおいて、8色(Red,Orange,Yellow,Green,Blue,Indigo,Violet、および名称不明(後述)の水色)の惑星が登場する。なお、惑星の色・種別などをあらかじめ広域レーダー上で知ることはできない(実際に行ってみるまで判らない)。
- 惑星には、暗黒惑星の居場所を知るために必要となる、7色のキーアイテムが存在する。キーは所定の条件を満たした上で各惑星とドッキングすることによってのみ獲得でき、獲得条件は敵編隊の殲滅数に拠るため、キー獲得前の惑星を敵に破壊された場合には、アドベンチャーモードの真のエンディングを迎えることは事実上不可能となる。逆に言えば、既にキーを獲得した惑星は(スコアや心情的な問題を別とすれば、ゲームの進行上は)殲滅されても問題ないため、どの惑星を先に訪問し、あるいは囮にするかが攻略の成否を分ける。
- また8つ存在する惑星のうち一箇所だけ、条件を満たしてもキーを得られない惑星(水色の惑星。プレイヤー間では地球と通称されるが、設定上の名称は存在しない模様)が存在し、この惑星は最終盤まで死守する必要がある。
[編集] 基地
- トレーニングおよびコマンドモードでは2つ、アドベンチャーモードでは4つの宇宙基地が戦域に登場する。ドッキングすることによって、エネルギーの回復と故障個所の修復が可能となる。
- またアドベンチャーモードでは、ドッキングによって4箇所の基地でそれぞれビーム、シールド、エンジンの強化、および光子魚雷の補給のいずれかが行われる。
[編集] 敵
- バッツーラと呼称される敵対勢力であり、数機の戦闘機群から成る複数の編隊として存在する。編隊がゲーム中に増加・生成される事はなく、ゲーム開始の時点で敵兵力は確定している。
- 敵機は外見上の色によって攻撃力に差があり、弱い順から青(水色)、灰色、紫色、黒となる。シールドの強化以前に紫色の編隊のザコ敵の攻撃に被弾した場合には、たとえシールドがフルチャージの状態であっても機体の一部が破損し、また紫色のディスラプター(編隊ボス)の攻撃を被弾した場合には、一撃で機体が破壊される(ゲームオーバーとなる)。
- シールドの強化後であっても、紫色編隊のボス、および黒色編隊の攻撃に被弾した場合には、シールドがフルチャージであっても機体の一部が破損する。
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- ラグラ
- X字型の戦闘機。動きも遅い。
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- アレフ
- 戦闘機型。敵の主力で、横方向への機動を積極的に行う。
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- レイト
- 高速な偵察機だが、攻撃力もそれなりにある。縦方向及び奥行き方向への機動力が高い。
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- ディスラプター
- スターウォーズのデス・スターのような球形。編隊ボスであり、暗黒惑星を除き各編隊に一機のみ存在する。動きは遅いものの耐久力が高く、また編体内において攻撃力は最強である。
[編集] 暗黒惑星
- 敵対勢力バッツーラの本拠地とされる。アドベンチャーモードで特定の条件を満たした際に、一度だけその位置が一定の間レーダー上に表示される。プレイヤーは、示された点を照準の中心の穴に重ね合わせてワープすることにより暗黒惑星へたどり着くことができる。
- この暗黒惑星の位置は、プログラム上はゲーム開始の時点で確定し固定されているため、何らかの手段(後述)であらかじめその位置を知り得るならば、例えばゲーム開始直後であってもその位置にワープすることで会敵可能である。同様の理由で、暗黒惑星の宙域にワープした後も、形勢不利などで補給基地などへ一時退却し、補給や修理を受けた後に再度突入することも可能である。
- 暗黒惑星へたどり着くと、背景がそれまでの黒色から青色の宇宙へと変わり、それまで効果音以外のサウンドが無かった状態からおどろおどろしいバックグラウンドミュージックが流れ、黒色のラグラ、アレフ、レイト、ディスラプター、暗黒惑星本体が襲い掛かってくる。ちなみにゲーム開始時のファンファーレ(?)とゲーム終了後のリザルト、バッドエンド時のデモ、およびスタッフロールを除くと、ゲーム本編中にBGMが奏でられる唯一のシーンはこの暗黒惑星の宙域のみとなっている。
- 暗黒惑星本体を破壊することによって、アドベンチャーモードの真のエンディングを迎えることができる。
- 暗黒惑星の宙域では、暗黒惑星を破壊しない限り黒色のディスラプターが無限に現れる。これはシールド強化後であっても被弾すれば確実に故障を招く強敵であるが、中にはこの状況で黒色のディスラプターを敢えて多数撃破することでスコアを稼ぐ猛者も居る。
[編集] エネルギー
- 戦闘機ガイアのあらゆる行動(ワープ、推進、ビーム発射、シールドの回復など)によって消費される。味方の宇宙基地にドッキングすることで補給が可能である。ただし、補給は一瞬で終了するわけではなく、補給量に応じたドッキング期間を要求される。
- また、ファミコン版では補給回数に制約はなく、いつでも基地にドッキングさえできればエネルギーの補給(と修理)を受けることができるが、VS筐体で供給された業務用バージョンでは、一つの基地から受けることのできる補給回数は一度限りとなっている。
[編集] シールド
- 戦闘機ガイアの防御シールド。敵の攻撃を被弾した場合に、一定範囲内のダメージを吸収する。喪失したシールドは、シールド装置が健在、且つ回復に必要なエネルギーが残存している場合に限り、時間に従って自動的に回復される。
- つまり、単発の被弾では吸収可能な攻撃であっても、シールドの回復を待たずに連続して被弾した場合には、故障や撃墜などの被害を被り得るということである。
[編集] レーダー
- 広域レーダーと短距離(リアルタイム)レーダーの2つのモードを切り替えて使用する。
- 広域レーダーは完全な平面空間であり、戦域全体の惑星や基地、アステロイド、そして敵編隊の位置などがプロットされる。広域画面上の移動はワープによってのみ可能であり、ワープ先の指定や光子魚雷の発射もこのレーダー画面上において行う。
- 短距離レーダーは、敵編隊との会敵時、また基地や惑星の空域でドッキングを行う際などに使用される。自機ガイアを中心として、敵機や基地、惑星などとの相対位置を示す球形の空間を俯瞰方向から平面上にプロットしているため、とくに若年層・子供などの間ではその見方(解釈法)を理解できず、「わけがわからない」といった批判・不満が存在した。
- X68000版では、これを多少なりとも緩和するため、自機を中心とした球形の空間内において、自機の水平軸面から上方と下方に存在する対象物をそれぞれ色と形状で区別してプロットするように改善されている。
[編集] 故障と修理
- 被弾によって被ったダメージがシールドによって吸収し切れなかった場合には、戦闘機ガイアに搭載されている機器の一部(エンジン、レーダー、コンピュータのいずれか)が破損する。またダメージが甚大であった場合には機体そのものが破壊され、ゲームオーバーとなる。
- 故障には、DM(損傷)およびNG(故障)の2段階あり、DM段階では下記の故障のいずれか、NG段階では双方の症状が発現し、修理までの間、能力が制限される。
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- エンジン
- 推進力が通常時の1/8に低下する。
- シールドを回復できなくなる。
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- レーダー
- 広域レーダーの更新が停止する。(敵編隊の侵攻などが察知できなくなる)
- 短距離レーダーが点滅する。(敵機や基地・惑星の補足が困難となる)
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- コンピュータ
- 光子魚雷を発射できなくなる。
- 戦闘画面上において照準(ガンクロス)が表示されなくなる。
- 故障個所の修理は、味方基地へのドッキング、またはスターノイドの召還によって可能となる。
- また、エンジン、レーダー、コンピュータの全てが破損(NG)したとしても、機体そのものが破壊されない限り、ゲームの続行は(より困難なものとなろうが)可能である。
[編集] パワーアップ
- アドベンチャーモードでは、広域マップ上に4箇所存在する味方基地にドッキングした際、エネルギーの補給完了後に、ビーム、シールド、リアクター(エンジン)のいずれかがパワーアップされる。
- ビームは攻撃力倍増、シールドはダメージ吸収量の倍増と回復の際のエネルギー消費量の減少、リアクターは推進力の倍増およびワープ時を含むエネルギー消費量の減少、といった恩恵を受けられる。
- 4箇所の味方基地のうちパワーアップを受けられない基地では、条件を満たした際にフォトントーピドー(光子魚雷)の補給を受けられる。
[編集] 称号
- ゲームクリア(ゲームオーバー)後、敵の撃墜数、惑星および基地の生存数、消費エネルギー量、経過時間(ゲーム内における日数)などの要素から算出されるスコアによって、プレイヤーに称号(階級)が与えられる。
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- TARGET SCORE … A
- BASE … B
- STAR … C
- USED TIME … D
- USED ENERGY … E
- とするとスコア(TOTAL)は以下の式で計算される。
- TOTAL = {A + 50B + 100C - (D - 3A) - (E - 128A)/128}F
- ただしFは任務遂行度
- 任務遂行した場合は1
- エネルギー切れで1/2 (ただしFを掛ける前にマイナスの場合2)
- 撃墜されると1/4 (ただしFを掛ける前にマイナスの場合4)
- 任務遂行出来なかった場合はBとCは0となる。
- 暗黒惑星を破壊するとボーナスとしてTOTALに1000点プラスされる。
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[編集] その他
[編集] 世界設定
- ゲームに登場する味方の宇宙基地(補給基地)がボスコニアンに登場した敵基地と酷似しており、マニュアル上でもボスコニアンと設定上の繋がりが存在する(ボスコニアン戦争より後の時代の話であり、基地は当時のものを接収した後に改修して使用している)との説明が存在した。(余談だが、ボスコニアンは同時代のナムコ作品としては珍しく、ファミリーコンピュータに移植されていない)
- この作品の続編であるプレイステーション用ソフト「スターイクシオン」の設定によって、スターラスターとボスコニアンは、UGSF戦史に統合された。
- この作品では、スターラスター、ボスコニアンのみならず、「ギャラクシアン3」「スターブレード」「ギャラクシアン」「ギャラガ」「ギャプラス」など同社の他のSF系作品の多くもUGSF戦史に内包するという設定が提示されており、各作品に登場した自機が当作においても自機として使用可能である他、敵勢力としてバッツーラやボスコニアン、ギャラガ等が登場する。
[編集] 攻略Tipsなど
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- アドベンチャーモードにおいて各惑星からキーワードをもらうためには、キーワード1つにつき敵編隊1つを殲滅することが必要であるが、光子魚雷によって殲滅させた場合はもらうことができない。
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- 既に説明した通り、暗黒惑星の位置の表示はゲーム中に一度きりしかないため、機体が故障した際に一旦修理に戻れるようにと、事前にTVモニターの前にラップやセロファンテープ等を張りつけておき、位置表示中にマーカーで印を付けた人もいる。
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- 暗黒惑星のあるマスは、惑星や基地と同様に敵編隊がそこを通過することができない。この特性を利用して、キーワードを得ずに暗黒惑星を見つけた強者がいるという。1マスは8×8ドットで構成されるため確率は1/64であり、これを虱潰しに試すことでドット単位の位置を特定することも可能である。
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- ファミコン版ではコントローラー2のABボタンを押しながらマイクに音を拾わせることでスターノイドを呼び出せる。ただし呼び出しには条件があり、RAD、COM、ENGのいずれか1つがNG状態であり、なおかつエネルギー残量がゲージの1/10以下でなければならない。
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- ・スターノイドと接触する事により得られる効果は以下の通り。
- エネルギーをゲージの半分まで補充
- RAD、COM、ENGの修理
- ・スターノイドと接触する事により得られる効果は以下の通り。
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- なお、スターノイドはアステロイド帯でしか呼び出せない様な記述がWeb上で見受けられるがそのような事は無い。
[編集] 移植版
- スターラスターは業務用のVS4筐体でも供給され、ファミリーコンピュータと異なる仕様上の都合から、スターノイドの召喚にはコントローラ2のマイクではなく、筐体上のプレイヤーセレクトボタンの乱打を用いるなどの違いがあった。
- シャープが発売したゲーム用パソコンX68000シリーズ用に、電波新聞社が独自に移植したバージョンも存在する。グラフィックの強化および暗黒惑星破壊後の展開等に一部差異が存在するが、基本的には同一のゲームである。