スターブレード

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スターブレード』 (STARBLADE) は、ゲームメーカー ナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が開発した業務用ビデオゲーム。先行作品『ギャラクシアン³』の世界観を踏襲した、一人用の3DCGガンシューティングゲームとなっている。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


[編集] 概要

「戦闘機に乗り込んで戦う」という一人称視点を採用したゲームでありながら、プレイヤーはその操縦には触れず、パイロットではなく砲手を担当するというその内容は、実のところオーソドックスなガンシューティングゲームである。 決められた進路と視野運動に沿って現れる敵を両手で持つ大きな火砲(ガンシューティングとしては非常に取り回しの難しい大きさ)で撃ち落す。映画『スターウォーズ』等で見られるような宇宙戦闘を体感できる。 他では絶対に味わえない視覚、聴覚、触覚への刺激により極めて品質の高い、”スターウォーズシミュレーター”と言えるものだった。

システム基板には、同社のシステム21(ポリゴナイザー)を採用している。技術的にも、先行するギャラクシアン3などはプリレンダリングされた背景映像をレーザーディスクによって再生し、その上に一部のオブジェクトのみをリアルタイム生成しオーバーレイ合成して表示する形式を取っていたものが、本作では画面に登場する全てのオブジェクトが2基のDSPによってリアルタイムに生成・描画されるという画期的なものであり、当時の水準では最先端のリアルタイムCG技術を投入したものとして話題を呼んだ。

全てのオブジェクトをリアルタイム生成するとはいえ、現在のリッチなテクスチャマッピングやシェーディングが施された映像に見慣れた目には、もはや素朴とさえ映る生ポリゴン主体の映像ではあるものの、逆にテクスチャやシェーダによってごまかすことのできない造型に依存した表示手法であることから、シーンによっては極端に精密なモデリングが行なわれており、そこに組み合わされる細かいビットマップによる文字情報やワイヤーフレームが豊かな表現力を見せた。 生ポリゴンによるソリッド感と、ブリーフィングを除きゲームスタートからエンディングまでワンカットで進行する継ぎ目のないゲーム進行、乗り込み形の半開放式大型筐体によるダイナミックな宇宙空間の表現が話題になった。

BGMについても、冒頭のブリーフィング以降の本編進行中にBGMは存在せず、高品質な爆発音やビームの発射音などがアンプ基板上のサラウンド処理ICによる4chステレオで聞こえる、ストイックで臨場感の高い内容であった。最終ボスと遭遇し、最終決戦からエンディングへと至る時になって初めてBGMが流れるという高視野な演出は、ゲーム業界においては極めて新鮮で高い評価を受けたが、先行してファミリーコンピュータ向けに開発・発売され、のちに同じUGSF戦史に統合される「スターラスター」も同様の演出を取っており、同作の魂が受け継がれていたとして男泣きしたマニアが存在したともされる。

[編集] 無限遠投影と凹面鏡

非常にインパクトの強い筐体だったが、凹面鏡のため、筐体に乗り込んだプレイヤー以外からはゲーム画面の正常な視認が不可能な上、座高が許容範囲を超えた場合に映像の焦点が合わない弱点を持っていた。この問題は後の球面モニターを模索したO.R.B.S.筐体(完全密封で120度以上の視界)でも解決されていない。ヘッドマウントディスプレイも肉体的な許容範囲に限界があり、球形スクリーンへ投影する際の歪み補正技術の確立と合わせて今後の課題とされている。

この筐体は後に、日光の当たるところに置いてあると日光を凹面鏡が反射し、筐体の数メートル後方に日光が集まって火災が発生する可能性が指摘された。そのため「当製品廃棄の際は、凹面鏡を破壊してください」という注意書きと、移送時等に使用する遮光板が追加された。 だが現実問題として、この運用制限を遵守しない/できないロケがかなりあり、最終的な対策として筐体の設計変更が行われ、凹面鏡は反射/集光度を下げたタイプのものに変更された。設計変更時点で出荷済みの筐体に関しては、ナムコ社より同等品の凹面鏡が供給され、全数交換がなされている。

この改修以降は、筐体の分割搬入時に、モニタが収まる頭上ルーフ部を取り外した状態、つまり凹面鏡に直射日光が射しこむ状態で屋外に長時間放置でもしない限り、凹面鏡の集光問題はまず影響なくなった。したがって、完成後の筐体を窓際に設置する程度なら安全上の問題はない。 ただし、その改修の影響として、凹面鏡の光線反射率が下がったため、店内の照明で筐体周囲が少々明るい程度でも、画面が非常に暗く感じるようになってしまった。

[編集] 移植

プレイステーション3DOメガCD等に移植されている。

メガドライブ版は、リアルタイム処理はさすがに荷が重いと見られ、一部飛行物体などがワイヤーフレームになってしまっているが、再現度は悪くない。

3DO版とプレイステーション版は、ポリゴン画像にテクスチャを貼った画面と、オリジナルのままの画面の2種類からプレイ画像を選ぶことが出来る。しかし、テクスチャマッピングを施した画面は「スターブレードらしくない」とするファンも多い。 プレイステーション版は、ゲーム中に破壊可能なオブジェクトのみリアルタイムでレンダリングしている。それ以外の物体・背景は、全てプリレンダリングのムービーを再生している。

また、プレイステーション2用『鉄拳5』でロード中に序盤が遊べるようになっているが、ある条件を満たすと全編遊べるようになる。

同一世界観の作品『スターイクシオン』では自機としてジオソードを選ぶことができる。

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