魁皇博之
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
魁皇博之（かいおう ひろゆき、1972年7月24日 - ）は、福岡県直方市出身で友綱部屋所属の現役大相撲力士。最高位は大関。趣味はラジコン。身長184cm、体重168kg。本名は古賀博之（こが ひろゆき）。血液型はA型。
目次 |
[編集] 来歴
握力・腕力が強く左四つに組んでから右からの上手投げ、小手投げを得意とするが、握力計の針が振りきれる程の怪力に頼った強引な相撲が災いして大関昇進後は腰痛など怪我に悩まされることも多い。そのため場所ごとの好不調の波が激しく、好調な時は横綱をも負かしてしまうが、不調な時は平幕にあっけなく負けることもあり、何度も横綱昇進の機会を逃している。「気が優しくて力持ち」と言われるが、「怪力だが気が弱い」「蚤の心臓」と揶揄されることもある。
特に地元福岡県では絶大な人気があり、十一月場所での声援は他の力士を圧倒している。その人気はとどまることを知らず、2001年に登場した博多～直方間の特急列車の名前（かいおう）にもなった（力士の四股名に限らず、人名が特急列車の名前に採用されるのは極めて異例である）。また、地元の直方市では、魁皇が勝利した日の夜には花火が上がっている。直方市の銘菓「成金饅頭」でも地元出身の力士である魁皇を応援するため、十一月場所のころ魁皇の焼印を押したものが販売されるときもある。
得意の小手投げで数々の力士の腕を怪我させたことから、四股名をもじって「破壊王（魁皇）」とも呼ばれる。浪之花、栃乃洋、琴龍、栃東らがそれぞれ左の肩、肘を壊された。
明治以降では横綱に昇進していない力士の中で最多の幕内最高優勝5回を誇る。優勝力士からの白星も最も多く、地力の高さを示している。
2005年十一月場所には千代大海と並び史上最多の通算8回目の角番を経験し、2006年三月場所に は9回目の角番となった。序盤から本来の相撲が取れず、負けが先行すると引退を示唆して、師匠の友綱と相談し負け越したら引退する決意を固めたが、7敗してから踏ん張り千秋楽に朝青龍と優勝争いをしていた白鵬を寄り切って勝ち越しを決めた。
大関昇進後は豪快な相撲で地力の高さを見せ付け、横綱候補の一番手だった時期もあった。2004年9月場所に5回目の優勝を遂げ、2000年五月場所から続く日本人横綱不在で翌11月場所は準優勝でも横綱昇進の気運が高まっていた。しかし12日目に3敗を喫し、優勝争いから脱落したことが災いして結局昇進は見送られた。翌場所までも綱取り場所とされたが、怪我で途中休場して失敗に終わった。
2006年九月場所番付において戦後初の34歳の大関となった（横綱では35歳10ヶ月の千代の富士がいる）。翌場所には史上1位の10度目の角番を経験した。
[編集] 略歴
- 1988年3月場所 - 初土俵。同期には曙、貴乃花、若乃花、和歌乃山、力櫻ら。
- 1992年1月場所 - 新十両。四股名を本名の古賀から魁皇（読みは最初「かいこう」、師匠に力強さが無いと言われ、「かいおう」）に改名。
- 1993年5月場所 - 新入幕。
- 1994年3月場所 - 初金星を曙から挙げる、初の三賞は殊勲賞。
- 1994年5月場所 - 新三役（小結）。
- 1995年1月場所 - 新関脇。以降、13場所連続して関脇の地位に付く。
- 1999年 - 元女子プロレスラーの充子夫人と結婚。
- 2000年2月21日 - 年寄名跡・浅香山を取得。
- 2000年5月場所 - 初の幕内最高優勝（14勝1敗）。
- 2000年7月場所 - 11勝4敗で、10回目の殊勲賞受賞（歴代1位タイ）、大関昇進を決めた。大関推挙伝達式での口上は「大関の地位を汚さぬよう稽古に精進します」。
- 2000年9月場所 - 新大関。直前の稽古で親指を骨折しながらも、終盤まで優勝を争い11勝4敗。
- 2000年11月場所 - 大関として九州に凱旋（11勝4敗）。武蔵丸との一番で珍しい一本背負いを決めた。
- 2001年3月場所 - 2度目の幕内最高優勝（13勝2敗）。この場所は、武双山との千秋楽ライバル対決であったが、千秋楽に二人が優勝をかけて対戦するのは、最初で最後である。
- 2001年5月場所 - 初の綱取り場所、腰椎椎間板ヘルニア及び左腰神経根麻痺のため9日目から途中休場。
- 2001年7月場所 - 初の角番、3度目の幕内最高優勝（13勝2敗）。
- 2001年9月場所 - 2度目の綱取り場所、腰椎椎間板ヘルニア及び左腰神経根麻痺が再発のため4日目から途中休場。
- 2001年11月場所 - 2度目の角番。千秋楽結びで、武蔵丸に勝利した際、会場から祝福の座布団が舞った。
- 2002年7月場所 - 左上腕二頭筋長頭及び短頭断裂のため4日目から途中休場。
- 2002年9月場所 - 3度目の角番。
- 2002年11月場所 - 右上腕二頭筋長頭腱断裂のため4日目から途中休場。
- 2003年1月場所 - 公傷で全休。
- 2003年3月場所 - 4度目の角番。
- 2003年7月場所 - 千代大海との相星決戦を制し、4度目の幕内最高優勝（12勝3敗）。
- 2003年9月場所 - 3度目の綱取り場所、15日間皆勤するも負け越し（7勝8敗）。
- 2003年11月場所 - 5度目の角番、座骨骨折に悩むも、10勝5敗。
- 2004年9月場所 - 5度目の幕内最高優勝（13勝2敗）。
- 2004年11月場所 - 千秋楽で朝青龍を寄り切って優勝次点の12勝を挙げるも、横綱昇進を見送られる。
- 2005年1月場所 - 再び綱取り場所であったが、左肩腱板炎のため10日目から途中休場。
- 2005年3月場所 - 6度目の角番、左肩と左上腕の怪我に苦しんだが、10勝5敗。
- 2005年5月場所 - 初日から5連勝するも、左腰部筋筋膜炎のため6日目から途中休場。
- 2005年7月場所 - 7度目の角番は小錦と並ぶ史上2位タイ、10勝5敗で角番脱出。
- 2005年9月場所 - 右大腿屈筋筋繊維断裂のため4日目から途中休場。千代大海に並ぶ史上最多の角番となる。
- 2005年11月場所 - 8度目の角番、地元の声援もあって、10勝5敗。
- 2006年1月場所 - 腰椎椎間板症のため9日目から途中休場。
- 2006年3月場所 - 9度目の角番は千代大海と並ぶワースト史上1位タイ、12日目までに5勝7敗と引退の瀬戸際に追い込まれるも、13日目からの3連勝で千秋楽に勝ち越して、8勝7敗。
- 2006年5月場所 - 初日から2連敗して再び引退が騒がれていたが、3日目から8連勝して10日目に勝ち越し。引退説を弾き飛ばした。
- 2006年9月場所 - 本年2度目の腰椎椎間板症のため7日目から途中休場。
- 2006年11月場所 - 10度目の角番は史上1位。初日から勝ち続け、8日目に勝ち越しを決めて角番脱出。途中まで優勝争いにも入ったが、後半戦は失速して10勝5敗に終わった。全日程終了後、「来年も、九州に現役で戻って来れるように頑張ります。」と、力強く話した。
[編集] 幕内での場所別成績
| 場所 | 地位 | 勝数 | 敗数 | 休場 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平成5年5月 | 西前頭15枚目 | 4 | 11 | 0 | 新入幕 |
| 平成5年11月 | 西前頭15枚目 | 10 | 5 | 0 | 再入幕 |
| 平成6年1月 | 西前頭6枚目 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成6年3月 | 西前頭筆頭 | 9 | 6 | 0 | 殊勲賞(初)、金星1 |
| 平成6年5月 | 東小結 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成6年7月 | 東小結 | 5 | 10 | 0 | - |
| 平成6年9月 | 東前頭2枚目 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成6年11月 | 東小結 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成7年1月 | 東関脇 | 8 | 7 | 0 | 殊勲賞(2) |
| 平成7年3月 | 東関脇 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成7年5月 | 西関脇 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成7年7月 | 東関脇 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成7年9月 | 西関脇 | 11 | 4 | 0 | 殊勲賞(3) |
| 平成7年11月 | 東関脇 | 9 | 6 | 0 | 敢闘賞(初) |
| 平成8年1月 | 東関脇 | 10 | 5 | 0 | 殊勲賞(4) |
| 平成8年3月 | 東関脇 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成8年5月 | 西関脇 | 11 | 4 | 0 | 殊勲賞(5) |
| 平成8年7月 | 東関脇 | 10 | 5 | 0 | 殊勲賞(6) |
| 平成8年9月 | 東関脇 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成8年11月 | 西関脇 | 11 | 4 | 0 | 敢闘賞(2) |
| 平成9年1月 | 東関脇 | 6 | 9 | 0 | - |
| 平成9年3月 | 東前頭筆頭 | 12 | 3 | 0 | 殊勲賞(7)、金星2 |
| 平成9年5月 | 東関脇 | 7 | 5 | 3 | - |
| 平成9年7月 | 西小結 | 0 | 0 | 15 | 公傷制度適用 |
| 平成9年9月 | 西小結 | 3 | 8 | 4 | - |
| 平成9年11月 | 西前頭3枚目 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成10年1月 | 東小結 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成10年3月 | 西小結 | 8 | 7 | 0 | 殊勲賞(8) |
| 平成10年5月 | 西関脇 | 7 | 8 | 0 | - |
| 平成10年7月 | 西小結 | 7 | 8 | 0 | - |
| 平成10年9月 | 東前頭筆頭 | 7 | 8 | 0 | 金星1 |
| 平成10年11月 | 西前頭筆頭 | 8 | 7 | 0 | 金星2 |
| 平成11年1月 | 東前頭筆頭 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成11年3月 | 西小結 | 10 | 5 | 0 | - |
| 平成11年5月 | 西関脇 | 12 | 3 | 0 | 敢闘賞(3) |
| 平成11年7月 | 東関脇 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成11年9月 | 東関脇 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成11年11月 | 東関脇 | 11 | 4 | 0 | 敢闘賞(4) |
| 平成12年1月 | 東関脇 | 7 | 8 | 0 | - |
| 平成12年3月 | 西小結 | 8 | 7 | 0 | - |
| 平成12年5月 | 西小結 | 14 | 1 | 0 | 優勝(初)、殊勲賞(9)、敢闘賞(5) |
| 平成12年7月 | 東関脇 | 11 | 4 | 0 | 殊勲賞(10) |
| 平成12年9月 | 東大関 | 11 | 4 | 0 | - |
| 平成12年11月 | 東大関 | 11 | 4 | 0 | - |
| 平成13年1月 | 東大関 | 10 | 5 | 0 | - |
| 平成13年3月 | 東大関 | 13 | 2 | 0 | 優勝(2) |
| 平成13年5月 | 東大関 | 4 | 5 | 6 | - |
| 平成13年7月 | 東大関 | 13 | 2 | 0 | 優勝(3)、角番 |
| 平成13年9月 | 東大関 | 0 | 4 | 11 | - |
| 平成13年11月 | 東大関 | 10 | 5 | 0 | 角番 |
| 平成14年1月 | 東大関 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成14年3月 | 西大関 | 12 | 3 | 0 | - |
| 平成14年5月 | 東大関 | 11 | 4 | 0 | - |
| 平成14年7月 | 東大関 | 0 | 4 | 11 | - |
| 平成14年9月 | 東大関 | 12 | 3 | 0 | 角番 |
| 平成14年11月 | 東大関 | 2 | 2 | 11 | - |
| 平成15年1月 | 東大関 | 0 | 0 | 15 | 公傷制度適用 |
| 平成15年3月 | 西大関 | 10 | 5 | 0 | 角番 |
| 平成15年5月 | 西大関 | 11 | 4 | 0 | - |
| 平成15年7月 | 東大関 | 12 | 3 | 0 | 優勝(4) |
| 平成15年9月 | 東大関 | 7 | 8 | 0 | - |
| 平成15年11月 | 東大関 | 10 | 5 | 0 | 角番 |
| 平成16年1月 | 東大関 | 10 | 5 | 0 | - |
| 平成16年3月 | 西大関 | 13 | 2 | 0 | - |
| 平成16年5月 | 西大関 | 10 | 5 | 0 | - |
| 平成16年7月 | 東大関 | 11 | 4 | 0 | - |
| 平成16年9月 | 東大関 | 13 | 2 | 0 | 優勝(5) |
| 平成16年11月 | 東大関 | 12 | 3 | 0 | - |
| 平成17年1月 | 東大関 | 4 | 6 | 5 | - |
| 平成17年3月 | 西大関 | 10 | 5 | 0 | 角番 |
| 平成17年5月 | 東大関 | 5 | 1 | 9 | - |
| 平成17年7月 | 西大関 | 10 | 5 | 0 | 角番 |
| 平成17年9月 | 東大関 | 0 | 4 | 11 | - |
| 平成17年11月 | 西大関 | 10 | 5 | 0 | 角番 |
| 平成18年1月 | 西大関 | 3 | 6 | 6 | - |
| 平成18年3月 | 西大関 | 8 | 7 | 0 | 角番 |
| 平成18年5月 | 西大関 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成18年7月 | 東大関 | 9 | 6 | 0 | - |
| 平成18年9月 | 東大関 | 1 | 6 | 8 | - |
| 平成18年11月 | 西大関 | 10 | 5 | 0 | 角番 |
| 通算 | 671 | 414 | 115 | - | |
[編集] 主な成績
平成18年11月場所終了現在
- 通算成績：839勝533敗132休(113場所 - 勝率0.612)
- 幕内成績：671勝414敗115休(80場所 - 勝率0.618)
- 幕内在位：80場所（歴代8位）
- 大関在位：38場所
- 三役在位：32場所（関脇21場所、小結10場所）
[編集] 各段優勝
- 幕内最高優勝：5回
- 幕下優勝:1回
- 三段目優勝:1回
[編集] 三賞・金星
[編集] 改名歴
- 古賀 博之（こが ひろゆき）
- 魁皇 博之（かいこう -）
- 魁皇 博之（かいおう -）
